あるいは、きみはどっち
「──はい、こちら、分かれ道で、ございます」
「右にゆけば……いけば? ……まあ、どっちでも。つきます」
「え? 右? 右は、橋のほうです」
「……逆、でしたかも。……どちらかが、どちらかです」
「お気をつけて、旅のお方ー」
「──あ。とまってる人が、いますね」
「お困りですか、旅のお方。あちらの道しるべより、くわしいご案内ですよ。……よし」
「あ、花。──これで、きめてあげる」
「花びら、いっこずつ。みーぎ、ひーだり、みぎ、みぎ……」
「あれ、みぎがおおいな。この花、みぎがすきなんだ」
「…………」
「……きえちゃった」
「……わかったんだ。よかった」
「──あ、ふたりとも。けんかちゅう?」
「ふたりはね、にんむのとちゅうなの。にんむ。……いいことば」
「名前も、つけてあげる。こっちは……せいじょ、さま? みたいな」
「こっちは。……えらい、まほうの……」
「…………わすれた」
「じゃ……えらいひと? 火をだすひと?」
「……どっちも、いいな」
「……火をだすひと。火、だすし」
「せいじょさまは、なおすひと。……おそろい」
「で。にんむは、どっちいくの」
「火をだすひとは、みぎ、って」
「なおすひとは、ひだり、って」
「……にんむ、ひとつなのに」
「──ねえ、きみ。きみは、どっち?」
「……ないしょ? ……ふうん」
「じゃ、ふたりのかわりに、きめてあげる」
「みぎ。……ひだり。……みぎ──」




