イャンガル諸島
海洋竜の群れを抜けて二日。
旗艦である戦艦ベルファスクを先頭に撃龍艦隊は進む。
大艦巨砲を以てモンスターを撃ち、国家の治安を守る海軍の花形。
それを象徴するように、ベルファスクには国家最大の艦砲、四十センチ三連装砲が鈍色に輝く。
「前方にイャンガル諸島」
望遠鏡を構えた士官、アイリーンが報告する。
赤黒白の三色の髪を持つ女性。
胸には士官学校を最優秀成績で卒業した証である金月章が煌めく。
「減速せよ」
「機関減速!」
ヘルブレードの指示に、艦隊が減速する。
「海中ソナー、反応なし」
「そのまま港に進め」
士官の報告に、ヘルブレードは入港の指示を出す。
次第に近づくイャンガル諸島。
ランデル国の友好国、ルルガ公国の領土であり、ダラオス海の豊富な養分による生命あふれる豊かな土地で、各所にある大小さまざまな港を中心に街が発展している。
一方でモンスターも数多く生息しており、それを狩猟することで現地民は交易用の商品を確保している。
貨物を積んだ交易船団を横目に、艦隊は海軍基地のあるクック島の港へと入る。
イャンガル諸島の中央、戦略的要地に建てられた軍事拠点。
ルルガ公国自体はランデル国と比べて大きく発展が遅れているものの、港を始め交易に関する設備はランデル国の支援によって近代化されている。
「礼砲用意!」
ゴゴゴと大きな音を立てて主砲が港に向けて向けられる。
炸薬のみを詰め込んだ空砲。
「撃ち方はじめ!」
「撃ち―方―はじめ―!」
諸島内に響き渡る十五発の轟音。
ベルファスクを始めとする数隻の戦艦が礼砲を撃ち、撃発のたびに爆風で海が荒れ、港が揺れる。
「下船用意」
礼砲を撃ち終わると、入港に向けて全員が身だしなみを整える。
礼装に着替え、ヘルブレード以外の全員が帽子を被る。
タラップが降ろされ、現地の海兵の敬礼を受けながら、ヘルブレードたちは艦を降りる。
「お初にお目にかかります、イャンガル諸島海軍司令官クルス・サンダース中将であります!」
ヘルブレードの目の前に立ち、ビシッと敬礼するクルス。
海のような青い髪が、海風に揺れる。
「第三撃龍艦隊司令官、ヘルブレード・フォン・パトラスである。
お目に掛かれて光栄である」
敬礼を返し、挨拶。
そのままクルスに先導される形で基地へと案内される。




