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魔王の艦隊  作者: 影光
1章 撃龍艦隊
1/3

魔王ヘルブレード・フォン・パトラス

「これで終わりだ、魔王ヘルブレード!」

 暗夜に包まれた魔王城。

 勇者ジークの放った魔剣の一撃が、ヘルブレードの身体を貫く。

「バカな、人間がまさか...魔剣を使いこなすとは」

魔剣を刺すジークの手を掴み、押し戻そうと抵抗する。

魔剣イグナス。

魔族の王であるヘルブレードに対抗できる数少ない武器のひとつであり、神話に語られる武器職人が伝説のモンスターの素材を元に作り上げた。

「ぐ...ぬぅん!」

刺さった魔剣を引き抜き、魔王城の床に投げ捨てる。

「これで終わりだと思うな!吾輩を討ったところで、真の平和は訪れん!

仮初の平和の後、大乱が起こるで...あろう!」

膝から崩れ落ち、ついにヘルブレードは倒れる。

途端、魔王城が大きく揺れ動き崩壊が始まる。

「あばよ、ヘルブレード」

暗転してゆく視界の中、勇者ジークは背を向けて去ってゆく。





=======









「――――閣下

ヘルブレード閣下!」

「む...」

 呼び声で目が覚める。

 目を開けると、そこには海軍中将を務めるエレナの姿。

 白灰色の髪をした黒い軍服の女性。

「む...我輩としたことが、寝てしまっていたか」

 提督の座席から立ち上がり、目を擦る。

(またあの時の夢を見るか)

 「こちらの世界」に来る前の出来事。

 それを未だに夢見る。

「…現状を報告せよ」

 前方を見据えたまま、後ろにいるエレナに報告を求める。

「ハッ、現在当艦隊はトーセイ海峡を抜け、予定通りにイャンガル諸島へと向かっております」

「そうか」

 イャンガル諸島。

 南半球における海上交易の要。

 艦隊の属するランデル国の南西に属し、無数の島で構成されている。

「前方に海洋竜の群れらしき」

「進路を変更、取り舵一杯」

「は、とーりーかーじいっぱーい!」

 艦橋内に響く艦長ゴルムの声。

 野獣のような立派な体格にふさわしい声量。

 海洋竜という、巨大なモンスターの群れを避け、ヘルブレードの指揮する第三撃龍艦隊はそのままイャンガル諸島へと向かう。

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