開会式
大変申し訳ないのですが、この話に出てくる『可視化HP』という単語は、この話を投稿した9月8日時点で5話目に大幅な編集を加えており、そこに説明を記載してあります。もうすでに5話を読んで頂いた方にわざわざ読み返して貰うのも申し訳ないのでここに『可視化HP』の説明を記載させて頂きます。
『可視化HP』
シンドレア学院で使用されている訓練用の擬似ステータスであり、模擬戦などでよく使われている。
使用すると、使用者の頭上にHPバーが表示され、攻撃を与えた時、互いのステータス値や当たった部位から算出されたダメージ量分のHPバーが削られる仕組みになっている。
また魔法などの回復を受けると削られた分のHPを回復する事も出来る。
本当に失礼いたしました。
「それでは、出張中の学長に代わり、私、ジーク・ルーマスが今日の注意事項とルールの確認をさせて貰う」
総勢32人、16組の学院の生徒達が学院近くにある、カンパネラの南東にある小さな森――ルナーラの森付近に集合していた。
ルナーラの森は非戦闘空間として認定されており、危険なモンスターはおらず自然豊かなこの場所は学院の野戦訓練場として使用されている森であった。
「決着の方法は普段の模擬戦と同じ『可視化HP』方式。チームである両者のHPが無くなれば敗退。片方でも生き残っていれば試合は続行可能とする。途中でリタイアする場合は森の外へ出るか、監視員役の教師に伝えればリタイア出来る。また事前に用意した武器や防具、そしてアイテムの使用を禁ずる――」
その後も当たり前のようなルールを長々と話すルーマスの話に鬱陶しいと感じ始める頃にようやく
「以上、ルールと注意事項だ」
ルーマスの話が終わる。
「では、保険医のアイリス先生から挨拶だ。では、どうぞアイリス先生」
ルーマスは一歩下がり身長が半分くらいしかないメルに場を譲る。
外でも保健室と同じく合わない白衣姿のメルは眠たそうな顔で
「はあ……ボクは早く帰って保健室で寝たいんだ。なるべく早めに終わらせてくれたまえ……以上」
「いや、アイリス先生、出来れば保険医らしく怪我のないように注意喚起をして欲しいのですが」
完全に自分の我侭だけを話して終わるメルにルーマスは困ったように言う。
「これから戦わせるって言うのにおかしな事を言うじゃないかジーク。それに何のためにボクがいると思っているんだ――おい、参加者諸君、死なない限りどんな怪我でもボクが直してやる。存分に暴れてきたまえ、以上」
逆に生徒達を煽るメル。そして諦めたように次の進行をルーマスは始める。
「あ、ありがとうございます……では、最後に開会の挨拶をエルシア先生、お願いします」
今回のタッグ方式の模擬戦を行うきっかけを作った本人が生徒の前に立つ。
「あーと、まあ、これを機にお前らには考えて戦う事を学んで欲しい。格上の相手に勝つために、自分が持つ能力と仲間との関係を最大限に活用して、知恵を絞って考てくれ。それが今回の大会を開いた目的だ」
いつもよりも真剣な様子でエルシアはまともな挨拶を始める。
「悔いなくやりあえ。冒険職にとって闘争こそが青春だと私は思っている。自分の持てる力も知恵も技術も全て出して優勝を目指せ。この大会がお前達の今後に役に立つ事を祈る――以上だ……そんじゃまあ、これより大会を開催する。一応、試験的な模擬戦訓練だが楽しんでやってくれ」
一礼すると、再びルーマスに場を譲る。
「では各チーム、クジの番号順に森の中へ行き指定された場所へ向かってくれ」
生徒達からすればやっと長い話から解放されたという感じでゾロゾロと立ち上がる。
そして、クジで一番を引いたチームから少し時間を置いて順に森の中へと入っていく。
イルミとコーデリアのチームは7番目。シャミアとレオンのチームは2番目であり、すでに森の中へと入っていった。
「次、7番! イルミ・シンドレア! コーデリア・サスフィール!」
――さあ、始まる。
イルミは柄にもなくほんの少し興奮していた。
「じゃあ行こう、リア」
「うん」
先に森に入っていったチームと同じく二人は森の中へと駆け出していった。




