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王子みっしょん  作者: シラ猫


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9/14

アルマと愉快な仲間たち

昨日に引き続き3話目の投稿になります。


 レイチェルを引き連れて自室に戻ると、こっちを見たジーンが現実を受け入れられないのか、両手を口に当てている。


「アルマ様、酷いです。私がいるのに新しい女を連れてくるなんて。信じられません!」


 コイツはいきなり変な事を言い始めた。


「おい、いきなりどうした?」


 ちょっと落ち着いてほしい。

 レイチェルが目をまんまるにして固まってるじゃないか。


「私とターニャは遊びだったんでしょ?」


 何これ? マジで言ってるの? 俺で遊んでるの?

 いきなりの展開についていけなんだが。


「おい、本当にどうしたんだ?」


 いつもの遊びなのか、マジの病気なのか判断できない。

 おい、レイチェル。女性の敵みたいな目で俺を見るな!


(もてあそ)ばれて捨てられてしまったっす。この部屋に来た女の定めっす」


 ターニャまでなんちゅう事を口走るんだ。

 レイチェルは俺から少し距離をとって、身をよじって不安そうにするな!


「お前まで何だよ。何を騒いでいるんだ?」


 部屋の空気が悪い。

 おれまで悪い事をした気になってくる。


 くそ、飲まれてなるものか。


 レイチェルも護衛騎士なんだから、俺を守ってくれ!

 少しずつ後ろに下がろうとするな。


「コタローさんを連れて実家に帰らせていただきます。ターニャさんも行くわよ」


 執務机の上で丸くなって寝ていたコタローをジーンが抱きかかえた。

 ジーンに言われたターニャもそっちに向かう。


 もう何なのさ。マジで帰るの?

 というか、コタローは俺の使い魔だ!


「おい、それは本当にやめろ!」


 二人に近づくと、あいつらは逃げるようにして距離をとる。

 部屋の中でグルグル回るように追い掛け回す。


「アルマ王子。私は急いでディナン様の所に参ります」


 これは駄目だ。完全にジーンの話を信じてるな。

 兄上の許に行かせたら、洒落にならないことになってしまう。

 余計な事はするなと、さっき念を押されたばかりなんだから。


「ちょっとレイチェルも落ち着け。こいつらの話を信じるな。嘘だから。これはつくり話だから」


 レイチェルに手を伸ばして近づくと、怯えるようにして距離を取られる。

 完全に誤解されているじゃん。どうすんのよ。


「私の着替えを覗いたのに?」

「現場を見てたっす。口止めされたっす」


 このタイミングでその話をするか。

 レイチェルはジーン達の許に向かっていく。完全に俺が女の敵って思ってるじゃん。


「その件は謝ったじゃないか」


 くっそー。あの件が余計に話をややこしくさせる。

 レイチェルはジーン達を守るように二人の前に立っているし。


 お前は俺の護衛騎士だろうが。


 カオスなこの状況を何とか出来る手立てはないのか。

 必死で思考を巡らせて考える。


「ワット王級料理長にこの間のケーキを作ってもらうように言っておこう。これならどうだ?」


 この提案が功を奏したのか、ジーンはコタローを床に置く。

 三人で輪になるように両手を繋いでコタローを中心に踊るように回りだした。


 コタローは不思議そうに踊っているジーンらを見上げている。可愛い。


 レイチェルも戸惑っているが、しっかり踊っているな。

 真面目な堅物かと思いきや、空気が読めるのかもな。


 しばらく踊って落ち着いたのか、ジーンはお茶の準備を始めた。

 ターニャも自分の作業場に戻る。

 展開についていけないレイチェルだけがその場に取り残されている。


 ソファーに座っている俺にお茶が出された。カップを手に持ちお茶を飲む。

 あぁ、なんかどっと疲れたから、落ち着くわ。


「それでアルマ様、この女性は誰なのですか? 服装からして騎士様ですけど」


 やっと本来の会話に戻れた。

 マジでさっきまでの寸劇はなんだったのさ。


 留守番させた腹いせなのか?

 でもそれは兄上の指示だから俺は悪くないぞ。


 まあいっか。

 またおかしくなる前にさっさと紹介しておこう。



「今日から俺の護衛騎士になった。レイチェルだ」


 自分の名前が呼ばれてレイチェルがはっとした顔している。

 騎士団の人間を惑わすジーンはある意味で大物かもな。


「レイチェル・スペンサーです。アルマ王子の護衛騎士を任されました。皆様、よろしくお願いいたします」


「アルマ様の専属メイドのジーンです。仲良くしましょうね」


 ジーンはレイチェルに近づくとハグしている。


「専属技師のターニャっす。よろしくっす」


 ターニャはレイチェルの後ろからハグしている。

 君たち、仲いいね。


「アルマ王子、私はどうしたらいいのでしょうか?」


 ジーンのノリにまだついていけないのか、レイチェルは困っている。


「騎士団にいたからギャップが凄いだろ? うちはちょっと特殊なんだ。まあ、徐々に慣れてくれ」


 仲が良いのはいいけど、うちは本当に変わったメンツが多い。

 俺も変わり者だと思われてないか心配してしまう。


「確かに凄かったです。まだ混乱しておりますが、頑張ります」


 レイチェルもシルバーキャッツの一員として頑張ってもらうんだ。

 これからに期待しよう。


「兄上も言っておられたが、俺もお前に期待している。環境の変化が大きくて大変だと思うが、宜しく頼む」


「お任せください」


 ちょっとはレイチェルの信頼を取り戻せたかね。


「レイチェルの寝泊りはしばらくはジーンと同じ部屋で頼む。ジーンから何かあるか?」


「そうですね。レイチェルさんは私より背が大きくてスタイルいいですね。アルマ様に着替えを覗かれないようにしてくださいね」


 ジーンが爆弾を投下した。

 俺がせっかくいい感じにまとめてたのを壊しやがった。


 こいつは天然なのか、わざとなのか判断つかないから困る。


 またレイチェルが女の敵みたいに俺を見てくるじゃないか。


「あれは事故なんだって。レイチェルもそんな目で俺を見るな。覗かないから。ターニャも便乗して手で胸を隠すな。話をややこしくさせないでくれ」


 メンバーが一人増えただけでこれだ。

 なんかものすごく不安になってきた。

 父上達に怒られる未来は近い気がする。


読んでいただいてありがとうございました。

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