ディナンからの指令
久々の更新です。
ネタだしに苦戦して投稿できていませんでした(^^;)
ラティアスの案内に付いていく。お供に不安があるが引き連れ、兄上のいる部屋に向かう。
部屋は次期国王が確定しているだけあって、国王陛下の執務室から近い。
3年前のおれの誕生日に兄上から高価な短剣を受け取った時以来になる。
「ジーン、一応言っておくが、粗相のないようにな」
「わかってますよ。アルマ様こそ、やらかさないでくださいね」
俺を心配しているのか、皮肉を言ってるのかわからんな。たぶん後者だろうけど。
兄上の部屋までたどり着くと、屈強そうな護衛騎士が二人で扉を守っている。
さすがにうちとは違うな。俺なんて面倒だからって護衛騎士いないもんな。父上には呆れられたけど。
厳密にいえばジーンはいざという時、護衛にもなるけど、俺より弱いし……。
門番の二人が俺を見て敬礼してきた。そのうちの一人が俺に話しかけてきた。
「アルマ王子、ようこそいらっしゃいました。ディナン様は執務中ですので、くれぐれもお手を煩わせることをないようにお願いします」
おい、どんだけ信用ないんだよ。俺いちおう王子だよ?
部屋に通された俺たちは、ラティスの後をついて歩く。
「私の案内はここまででございます。ディナン様はあちらの奥の部屋におられます」
視線の先には扉があり、その前を一人の護衛騎士が守っている。
「これはアルマ様」
護衛騎士が一礼してくる。
「兄上はおられるか?」
「はい。中でお待ちしております。どうぞ」
護衛騎士が横に移動した後に、扉をノックする。
「兄上、アルマです。ご指名により参上しました」
「入ってよい」
護衛騎士が扉を開けてくれたので、中に入る。
「兄上、ご無沙汰しております」
「わざわざすまない。ちょっと話たい事があったのでな。そこのソファーに座ってくれ」
ローテーブルが置かれているソファに腰かける。
従者である二人は俺の後ろで立っている。座っていいと言ったけど、さすがによそ様の部屋でそんな大胆なことはできないか。
執務中だった兄上は席を立ち、おれの対面に座った。
近くに控えていたメイドがお茶を淹れてくれたので一口飲む。
「待たせたな。最近はどうだ? 父上がワット料理長を困らせたことに嘆いておったぞ」
いきなり痛いところを突かれた。
言われることは予想してたけど、実際に面と向かって言われると、あの失敗は恥ずかしい。
「ホントですよ」
俺にしか聞こえない声量で後ろからジーンの陰口が聞こえた。
あんにゃろう、後で覚えておけよ。平静を装い兄上に答える。
「父上にも散々叱られたので勘弁してください。反省しておりますので」
お茶をひと口飲んだ後、カップを置いた兄上がため息を吐いた。
「真面目な話、お前はこの先どうしたいのだ?」
「この先ですか? 国のために頑張りつもりですけど」
俺だって王子だ。国のために尽くす気持ちは持っている。
「そういうあやふやな言い方ではなくだな、しっかりとした目的をもってほしい。俺は父上の後を継ぐために努力しているし、次男のルイスは第一騎士団で副隊長で頑張ってくれている。末っ子のお前だけが評判が悪い。あまりこのようなことはしたくないが、役に立たないのであれば、他国へ政治の道具として婿になってもらうしか道はないぞ」
おおっと、いつかは言われると覚悟していた事がここで言われるとは。
これは真剣に回答しかない。
「私も王族ですから国の為に婚姻が必要な事は分かっています。でもこの国が好きなので、出来れば他国には嫁ぎたくありません」
「なら実績を積むしかあるまい」
「……実績ですか?」
「正直お前に出来るのか分らんが、こちらも人手不足で困っている。いい機会だと思ってやってみないか?」
兄上はそう言うと席を立ち、執務机に行ってから戻ってくるとテーブルの上に紙を置く。
俺はそれを手に取り読んでみた。
「えっと、殺人事件調査報告書……」
「ああ、そうだ。女性ばかりが狙われる殺人が起きていてな。犯人はまだ分かっていない。これをお前に頼みたい。どうだやってみるか?」
「やります。やらせてください」
考えるより先に答えてしまった。
昔からこういう事件を解決してみたいと思っていた。
「なら任せるが、失敗した場合は覚悟しておけ」
ごくりと唾を飲み込んだ。それって他国へお婿さんに行くってことだろ。
兄上の部屋を出た俺たちは自室に戻った。
「猶予は10日と短いが、ここはシルバーキャッツの実力を見せるしかない」
「実績がワット王級料理長を怒らせたことしかありませんけど」
士気を上げたいのにジーンが余計なことを言ってきた。
「お前な、俺が婿に出て行ったらジーンもターニャもどうなるかわからんぞ。ターニャは技師として優秀だからいいけど、ジーンはクビだろうな」
「ちょっとアルマ様、それって大変じゃないですか、くっちゃべってないでどうするか考えましょうよ」
こいつは本当にいい性格している。俺が言えた話じゃないけど取柄は見た目だけだよな。
ソファに座ってクッキーを食べているターニャに声を話かける。
「ターニャ、頼りにしてるからな」
「任せて欲しいっす」
ターニャは大人しい性格だけど頼りになる。
何かあったらまた魔術具とか作ってもらわないとな。ジーンはノーコメントだ。
複写してもらった調査報告書を全員に読んでもらう。
「女性の死体にかぎ爪の跡があるってサイテーな人ですよね。絶対に犯人は男です。間違いありません」
調査報告書を人差し指で叩きながらジーンが宣言しているが、どこにそんな自信があるんだ。
「なんで男だと断言できる? 報告書には性別とか書いてないだろ?」
「私にはわかるんです。女性に何度もフラれた男が仕返しに起こした犯行です。ターニャもそう思いせんか?」
「思わないっす」
ターニャの冷静な意見にジーンはショックを受けた顔をしている。
「そんな……。ターニャ酷いです。アルマ様も思いませんか?」
「いや、どう考えてもお前の推理が酷いだろ」
これは前途多難だ。
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