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王子みっしょん  作者: シラ猫


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3/3

チーム名はシルバーキッツ

 あの後すぐに兵士二人が俺の部屋まで来て、陛下がいる執務室まで連行された。ワットから報告を受けた陛下が指示したらしい。その場で宰相と一緒になってさんざん小言を言われた。


 小一時間叱られぐったりしたが、なんとか部屋に戻ってきた。ソファに座っていると、メイド服に着替えたジーンが紅茶を入れてくれた。


「アルマ様、作戦失敗でしたね」


 多分俺への慰めよりもケーキをゲット出来なかったショックのが大きいはずだ。コイツはそんな奴だ。俺には分かる。


「ああ、事前情報が不十分だったな。次は成功させるから心配するな。それよりも初任務とはいえ、ジーンはもっとしっかりしてくれ。ナンバー2に相応しい行動を頼む」


「ナンバー2って言いますけど、三人しかいないじゃないですか」


「お前は馬鹿か? コタローがいるじゃないか。三人ではなく四人だ。それにもっと増やす予定だ」


 隣で丸くなって寝ているコタローを撫でる。毛並みの手触りが気持ちいい。


「コタローさんは猫ちゃんじゃないですか」


「只の猫ではない使い魔だ。それにコタローは我が部隊の最高顧問だからな。チーム名のシルバーキャッツもコタローの毛色のシルバータビーからもらっているんだ」


 15歳の誕生日に父上に頼み込んで特例で王宮に設置してる使い魔召喚の魔方陣を使う許可をもらった。


 本来は王国に登録している魔術師が使い魔の申請を出して許可が必要になる。国が管理していないと、いざというときに困るからだ。それに魔術師の人間性が重要で、危ない思考をもつ輩か判断してるとか。


 子供の頃に猫が飼いたいとお願いしたが許可して貰えなかった。パーティーとか国の行事がある時に服に猫の毛が付いてるのは駄目らしい。メイドの手間が増えるような事は控えるようにと小言も言われた。


 みんなから問題児扱いされるけど、そんなに迷惑かけた事ないのに。これは王宮の七不思議候補に入れていいと思う。


 それにしても使い魔をゲット出来て本当によかった。毛が抜けないから問題ないし、主が死ぬまで存在するので先に死なれて悲しい思いをする事もない。


「アルマ様は名付けのセンスが悪いのに、シルバーキャッツは変ではないですよね」


 紅茶を飲んでいたら、ジーンに突然ディスられた。なんかもやっとする。


「センス悪くないだろ? 何を根拠にそんな事を言うんだ。ターニャもそう思うだろ?」


 対面のソファで魔具を弄ってるターニャに同意を求めた。ターニャは大概俺の言う事に賛同してくれるので今回も大丈夫なはず。


「えっと、アルマ様の事は尊敬してるっす。けど作戦名は壊滅的に酷いっす」


「本当ですよね、ワキワキ作戦なんて意味分かりません」


 主なのに従者の二人からフルボッコはないぜ。俺の本意を理解してくれてないとは。


「あのな、ワット料理長からケーキを奪還する任務だからワキワキ作戦なんだ。理由を聞けば納得するだろ?」


「無理ですね」

「無理っす」


 辛辣過ぎる。そこまで拒否する事ないだろ。なんか意地悪したくなってきたわ。


「ジーンは専属メイドなのに大雑把なとこあるし、おっちょこちょいだから、母上に言って叱ってもらおうかな」


 ニヤリとした顔にカチンと来たのか、珍しくジーンが言い返してきた、


「それなら私も言わせてもらいます。この前わたしの着替えを覗いてた事を王妃様に言いますからね」


「お、お前なんちゅう事を母上に報告するつもりだ。あれはだな、お前を呼びに行こうとしたらたまたま着替え中だっただけではないか」


 専属メイドであるジーンには寝泊まりする部屋が隣に用意されており、何かあっても直ぐに対処出来るように、お互いの部屋を行き来できる扉がある。一緒にいる時間が長いのだからそういうハプニングがあっても仕方ない事だ。そうだ仕方ないんだ。


「本当ですか~? 呼び鈴を使われておりませんし、ノックも無しに女子の部屋に入ったみたいですけど?」


 勝ち誇ったジーンがしたり顔で責めてくる。ちょっと分が悪いかも。


「違うから! ワキワキ作戦の妙案が浮かんで興奮してたんだ。王子である俺が覗きなどするわけがない。そ、それにだな、俺は1歩も足を踏み入れていない。女子の部屋に無断で入るはずがない」



「ターニャさんはアルマ様が扉の隙間からじっくり見てたって言ってましたけど?」


「ターニャ、俺を売ったのか!」


 口止め料としてクッキーを与えたのに効果無かった。王都で人気のやつだったのに。


「うちはアルマ様に立派な人になって欲しいっす。従者として当然の行いっす」


 正論で諭されるとは無念。


「ジーン、俺が悪かった。母上には内緒にして欲しい」


 テーブルに両手を付けて頭を下げた。


「うーん、どうしましょうかね。並ばないと買えないティファのケーキでもいいですし、そんなに私の事が大好きならデートしてもいいですよ?」



 嬉しそうにしながら俺の横に座ってきた。コタローが隣で寝てるから余計に狭いわ。ターニャを見ると、クッキーをリスのように食べている。幸せそうだ。


 有頂天のジーンが俺の頬を指でつついていたら、扉がノックされた。


「突然すいません。アルマ王子、入っても宜しいでしょうか?」


「あら、誰か来たみたいですが、アルマ様どうします?」


 誰かは知らんが、気になるし別にいいか。


「ジーン、扉を開けてやれ」


「はい」


 ジーンが扉を開けると見知った男が現れた。第一王子であるディナン兄上の側近だ。確か名前はラティアスだ。


「アルマ王子、お久し振りでございます。さっそくで申し訳ありませんが、ディナン様がお呼びです。今すぐ来て頂けないでしょうか?」


「……分かった」


 呼ばれた理由が全くわからん。なんか嫌な予感もするが、行かないと分からないから従うとしよう


「ジーン、ターニャ、悪いが一緒に来てくれ」


「分かりました」

「分かったす」


 不安に思いながらラティアスの案内に付いて行った。


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