8月19日 追記
帰ってから、着替えてお茶を飲んでいると、イオちゃんが訪ねてきた。
もう、下がっていいと言ったのに、まだメイド服を着たままで、何か深刻そうな顔をしていた。
『どうかした?』
イオちゃんは、いつもとは違う、僕と眼を合わせられない様子で、立っている。
スカートの端を握りしめて、言いあぐねている。
『言ってちょうだい』
意を決したイオちゃんは、口を開いて
「旦那さんは 背の高い女 好き?」
何を言い出すのだ。いや、それより、つまりさっきの出来事を知ってるのか?
『イオちゃんは 舞踏会来てない どうして 知っている?』
「『ミッショデゴザル』から、教えてもらった」
ホビット忍者か!
いつの間に手懐けた?!
『いつ 仲良くなったの』
「それよりも! 旦那さんは! 背の高い女! 好き?!」
夜中にそんな大きな声出さないでほしいなあ。
しかし、イオちゃんは本気なのだと思う。だから、僕も何か回答しなくては……。
『僕 ミシェールさん 好き 理由 心 豊かな人だから 背が高い 理由 違う』
「……」
『僕 イオちゃん 好き 理由 知恵と勇気 たくさん持ってる人だから 背が小さい 理由 違う』
「……」
少しだけ顔を赤くしたイオちゃんは、一礼して、部屋を去った。
……いかんな、酒がまだ残ってるのかな?