8月15日 草原の国 死霊祭 締まらないどころではない話になってしまった。
おそらく平成26年8月15日
剣暦××年7月15日
草原の国グラスフィールド
王都バーミューダ
僕の家。
今朝、王都へと帰ってきた。
僕は以前の功績で、グラスフィールド人としての戸籍を与えられており、屋敷も王都内にある。
祭事の参加資格はあるし、固定資産税だって払ってる。
そんな善良な国民を追いたてようとして、それがまかり通るのだから、この国も法治国家としてまだまだ。
さて、何から記しておくか。
今は全て片がついた15日の夜。
とりあえず、僕が見聞きしたこと、後から教えてもらったこと。間にあったことを想像で補完などして、今日一日をまとめておこうと思う。
さて、何から記しておくか。
剣暦7月14日
・レミィ(ドワーフ)昼食後、通販で届いた子供用ドワーフ変身セットを見て「こんなのドワーフじゃない!」とダダをこねる。じゃあ、もう自前の服と斧でドワーフの仮装ってことにしよう、ということになる。
・シャラク(エルフ)、結局十曲中4曲しか習得できず。けどまあ、ベストの4曲だと思うので、それでいく。
・レミィ、シャラク、アレグロ(料理人)の凸凹三人組馬車の積荷に紛れて出発
・僕とジンさん、ストーンサークルでレンちゃん(ダークエルフ)と再会。契約を行う。
・世界廃滅主義者の手の者が、ストーンサークル強襲。せっかく契約したダークエルフは次々と捕縛される。とりあえず、14人くらい生き残るので、一緒に逃げる。
・レミィ、シャラク、アレグロ王都に到着。城門での検閲にひっかかり馬車の積荷から引っ張り出される。仕方がないので、門番を叩きのめして一度城外へ逃げる。
・レミィ、そもそもドワーフ軍団の駐在派遣武官として草原の国にいるということに気づき、正門から堂々と入る。ばれない。
・シャラク、城壁をよじ登る。潜入成功。
・アレグロ、かつてホビットの国に研究に行くために出奔に使った方法を思い出す。つまり、城への抜け道を使う。
・レミィ、詰所に帰ると、早速スタンバってた敵側の命令を受けた警邏部隊に拘束される。
・シャラク、道に迷う。
・アレグロ、間違えて、うっかりイリス(姫様)の部屋に出る。
・僕とジンさんとダークエルフ軍団の生き残り、捕縛された味方を助けに行くことにする。
書いてて、すでに前日の段階で計画が破たんしていたことにびっくりした。
続き。
剣暦7月14日 深夜
・ホビット忍者、王都に到着。
・渡航命令書の原本を持って第一隠れ家に待機していたイオ(うちのメイド)、レミィが全く来る気配がないので、なんか失敗してるな、と気づく。隠れ家を放棄。
・放棄した十分後、敵が第一隠れ家を強襲。もぬけの殻の室内で、イオちゃんが残した偽物の計画書に惑わされ、一晩中見当違いな場所を探しまわる。
・イオちゃん、浮浪者に変装して路地裏に退避。
・シズカ&トモエ(竜宮巫女)王都に到着、主賓として城内に案内される。
・僕以下ダチョウの騎士団(レンちゃん命名)、仲間の捕縛されている敵アジトに潜入、仲間を救い出す。
・僕、負傷。
・ホビット忍者軍団、カンテラ邸にて、デミトリと打ち合わせ。まずは関係者全員の情報を把握することから始める。
・レミィ、ホビット忍者の手引きで牢獄から脱走、しかし、軍服ではばれるので、もしものために持ってきた子供用ドワーフ変身セットに着替える。これで、見るからに仮装した人間の子供。
・シャラク、未だに道に迷うが、ホビット忍者に発見され、誘導される。
・シズカトモエの手引きで場内に潜入したホビット忍者、姫様が軟禁された部屋をつきとめ、何故か一緒にいるアレグロを城の外に連れ出す任務にうつる。
・ホビット忍者城内で火遁の術と称して部屋の一部を爆発させる。
・敵側の忍(ダークホビット なんだそれは?!)との戦闘になるが、なんとか逃げ切ることに成功。
・どさくさに紛れて、姫様も城外に。
・ホビット忍者、イオと合流。イオの機転で、ホビットに渡航命令書を持って、僕のところへ行くように依頼する。
・ホビット忍者軍団、王都外の敵アジトで苦戦するダチョウの騎士団と合流。
・アレグロ、パン製造のための厨房を持つ第2隠れ家に到着。
・姫様、「私もパンを作るのを手伝いたい」とか言い出し、早速竈を爆発させるという料理音痴ぶりを示す。
・爆発を聞きつけ、死霊祭テロ特別警戒中の兵士、第2隠れ家に押し掛ける。
・イオ爆発を聞きつけ、アレグロと姫様を確保。予備の第3隠れ家に連れていく。
・シズカトモエ、城下町でのテロ騒ぎのどさくさで、うっかり城内で迷子になり、うっかり宝物庫に行き、うっかり中に入り、うっかり袖の下に隠していたレプリカと本物の秘宝を入れ替える。
・イオ、たまたま城内にいた魔女を見つけ、魔女速達書留で現状を僕に伝える。
くそう、まだ15日の記述にたどりつけない。
こうなればがんがん省略だ。
・僕、王都の現状を魔女郵便で知り、頭を抱える。
・ホビット忍者軍団、魔女郵便にライバル意識が芽生える。
・頭を抱えるのは3秒で、次の対応を考える。
・デミトリとイオちゃんに丸投げすることにした。ホビット忍者軍団とダークエルフ軍団に先に王都に先行してもらうことに。
・僕、とりあえず傷口の止血。
・城内、姫様がいないことに気付く。
・城内、カンテラの手先が目撃されたとの情報が駆け巡る。
・城内、ついにカンテラが草原の国に害を成すために動き始めたとの声があがる。
・反論するもの、おらず。
・イオ最大の機転、「姫様の命を保証してほしくば、死霊祭を中止するな」との怪文書を僕名義で城にたたきつける。
・そのころイオちゃん、第3隠れ家にパンを焼くための竈を作るために奮闘中。
・姫様、僕の無事を聞いて、久しぶりに熟睡。
・シャラク、僕に覚えさせられた『炭坑節』『日本全国酒飲み音頭』の歌詞の意味を知り、「こんな下品な歌を何百人もの前で歌えない」と泣きだす。
・レミィ、第3隠れ家に到着。竈を作ろうと煤まみれになってるメイドとおいおいと泣いているエルフと小麦が足りないと嘆く室内を見て、ブチ切れる。
・レミィ、外に飛び出し、敵側の命令を受けて動く非正規の戦闘員を片端から殴り飛ばして回る。
・夜明け、暴れてすっきりしたレミィ、第3隠れ家に帰宅。ホビット忍者軍団、ダークエルフ軍団も順次到着。肉体労働が終わった頃に続々集まる連中に
イオがブチ切れそうになるが、こらえる。
・フレイムロード候(偽)、手下を全てぶちのめされ、人質のはずの姫様まで手元からいなくなり、自分が不利になったと焦る。(ぶっちゃけこの時点では、まだ僕は犯罪者扱いだし、正規軍を動かせる立場にいるのだから、圧倒的に有利ではあったのだが、それに気付かないほどに焦っていた)
剣暦7月15日
・僕とジンさん、早朝に王都に向けて出発。
・レミィ、シャラク、姫様、イオ、ホビット軍団、ダークエルフ軍団、それぞれ仮眠を取る。
・アレグロ、徹夜でパンの仕込み。
・フレデリカ(貴族のお嬢様)、ゴリ押しにより、死霊祭当日の貴賓席警備に入りこむことに成功する。
・僕とジンさん、下水を伝って王都に潜入。
・浮浪者に紛れて時間をつぶすつもりが、すでにイオが使っていた手であり、正規兵の職務質問がすごかったので、もう僕の家に行ってみることにする。
・僕、ジンさん。カンテラ邸に到着。とりあえず、体を洗うことにする。
・僕、さっぱりする。
・イオ、起床。
・途中経過報告のために、泥だらけになりながらカンテラ邸に戻ってきたイオ、こざっぱりとした僕を見て、ブチ切れそうになるが、なんとかこらえる。
・とりあえず、僕も第3隠れ家に移動。
・第3隠れ家、テロ警戒中の警備兵に家宅捜索される。
・とりあえず、ホビット忍者、第3隠れ家を火遁の術と称して、爆発。
・爆発に乗じて、散り散りに逃げる。
・アレグロ、残骸となった隠れ家からパンのタネだけは持ち出す。
・隠れ家だった残骸を見て、ついにイオ、ブチ切れ通りこして泣きだす。
・困ってしまって、とりあえず朝ごはんを食べようと提案。イオが一度行ってみたかったというカフェ(値段が一級品)に今から行く。
・僕、イオの愚痴を延々と聞かされる。
・それから夕方まで、それぞれの話を聞きとるが、よくわからないのでもう割愛。
・カフェで延々とお茶していたのに、誰も僕を通報しようとかしなかった。サインを求められたりもした。もしかして、僕のスパイ疑惑は国民にまで広がっていない?
・店の外を通り過ぎる人を眺めていたら、シャラクとレミィを見つける。
・デミトリ、アレグロを確保。カンテラ邸の厨房を使わせる。
・ホビット忍者軍団。偶然休憩を取った納屋でフレイムロード候(本物)を確保。
・ダークエルフ軍団、姫様を探すが、見つからず。
剣暦7月15日 日没
・敵勢力における最大戦力 魔女傭兵 動き出す。
・カンテラ邸に僕、ジンさん、レンちゃん、シャラク、レミィ、アレグロ、イオ、デミトリ、とりあえずのメンバーが揃う。
・シャラクに流しの芸人風の格好をしてもらうとすると「歌えない」と泣かれる。
・困った。
・仕方がないので、ジンさんに代わりに出てと振ってみる。
・犬頭人の心底迷惑そうな顔。
・しかし、このメンバーで歌を歌えるのはジンさんだけなので、頑張ってもらう。
・アレグロ、パンを焼成。
・イオ、過労で倒れる。デミトリ看病することに。
・魔女傭兵 カンテラ邸強襲
・レミィ、シャラク、追いついたホビット忍者軍団による迎撃。
・相打ちになる。
・ダークエルフ軍団、カンテラ邸に召集。パンを運ばせる。
・死霊祭開催。
・ジンさんの歌う北島三郎は、まさにコブシの効いたいい歌だった。
・でも、2位
・1位は、フード被った背の低い女の子で、アメージンググレイスを歌った。
・なんで地球の歌を知ってるんだと驚愕したがよくよく考えたら、ぼく一回歌ったことあるわ。
・それを覚えていた、町人のフリして飛び入り参加した姫様、見事一位を取り、王様から優勝賞品を受け取る。
・なんてことにはならなかった。病気のはずの姫様が、何故かここにいるのだから。
・フレイムロード候(偽)、逆に偽物の証拠をでっちあげ、僕と姫様が共謀して、他国に利敵行為を働き、王都でテロを起こした、と糾弾する。
・あながち間違っていないので、タチが悪い。
・しかし、グッドタイミングでフレイムロード(本物)登場。
・どちらが本物かで言い争いになるが、そこに生えてる木と見比べて、頭が悪そうな方が本物だろうという草原の国の王ギャリク・グラスフィールドの言葉で、フレイムロード候(本物)が本物ということになる。
・フレイムロード候(偽)、観念して正体を明かす。
・その場で暴れようとするがそれまで暴れるのを我慢に我慢を重ねてきたフレデリカによりぼこぼこにされる。
・その場でとっ捕まるが、余裕の表情。
・それは陽動で、本命は手薄になった王城の宝物庫にある秘宝を盗むことだから。
・世界廃滅主義者の本隊、城を襲い、秘宝(すり替えられた偽物)を持ち返る。
・貴賓席のシズカトモエ、秘宝(本物)をポケットから取り出して見せびらかす。
・持ち出していいのかと驚くが、竜宮巫女がシロと言えばシロなのだとか。
・アレグロ、王様の前に人間にも美味しくて体にいい改良ホビットパンについてプレゼン。
・僕、その横で美味しそうにパンを食べてみせる。
・アレグロ、恩赦により、国外追放の罪を取り消される。
とりあえず、僕は姫様と自分の名誉を取り戻し、盗まれそうになった秘宝を守りきった英雄ということになったらしい。
……パン食っただけなのに。




