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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
草原の国へ帰ろう!ドワーフの国旅行編
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8月13日 ドワーフの国 全員集合 計画について説明 動き出す

 おそらく平成26年8月13日

 剣暦××年7月13日


 ドワーフの国バーンスタイン

 立入禁止区域レスナー山脈未踏破地域

 密約の洞窟内



 噂にだけ聞いていた密約の洞窟。これも完全に噂話だが、この洞窟は内緒話をするための魔法がかけられており、どんな魔道具を利用しても盗聴は不可能。そして、ここで紙に何か文字を書くことができないということらしい。

 どういうことなのかと思っていたが中に入ってわかった。


 入り口は蝙蝠がきゃっきゃきゃっきゃ言ってて、中の音が不明。

 その上湿度がアホみたいに高くて、すぐに紙が湿ってインクが滲むと、そういうことだった。

 後は、ドワーフの国で起きた事件、政変には、必ずこの洞窟がかかわるのだとか。

 それが因果が逆転して、今やこの洞窟で密談をすると謀がうまくいくなどというジンクスまで生まれてる。

 まったく、本末が転倒した話だ。


 そんな洞窟の中で、ついに全員が揃う。


 ちなみに、この日記は洞窟から出てから書いている。

 だって滲むんだもん。


 密約の洞窟の奥。

 びっくりするくらい真っ暗な洞窟の奥で、二つのランプが照らす。

 ここに、明後日草原の国で決行する作戦のメンバーが揃った。


 僕、高町観照

 

 犬獣人のジンさん。

 

 旅先で出会った、銀髪黄眼のムチを振り回す女の子、フレデリカさん。

 

 ドワーフの軍人で、小さな体になんか妙に大きな斧を担いだレミィちゃん

 

 去年退役したけれど、まだ弓の道は捨てていないエルフのシャラクさん

 

 一昨日来てもらった、竜宮巫女のシズカちゃんとトモエちゃん


 そして、草原の料理人  アレグロ・スタッカートさん。



 この場所で、明後日の計画について説明したが、自分のために、もう一度手帳に記録しておこう。

 しかし、弓を持ったシャラクさんと斧をちらつかせるレミィちゃんが「で、私は誰を殺ればいい?」なんて訊いてきた時はこの子ら何もわかってないとびびってしまった。

 フレデリカさんなんて、エルフとドワーフの軍人に竜使役者なんて呼んでおいてテロ以外に何をする気なのか? なんて言うし。

 

 なんか、こうもっとほんわかとした馬鹿話を展開したいのだよ。だって、姫様を助けるために血を流したりしたら、姫様は悲しむじゃないか。


 そう説明すると、なんか皆複雑な顔をしていた。


 ジンさんに「皆そんなに闘争がしたいのだろうか?」と訊いてみたら「お前のために集まった女達の前で、別の女のためになんて言われたら、それはな」と嘆息された。

 いや、彼女たちが僕に好意をもってくれてるのは知っているけれど、それは幼年期の子供が大人に対してませたことを言うのだったり、同じ修羅場をくぐった戦友としての気持ちであったり、『カンテラ様』への崇拝を混同してるものだったりだと僕自身は感じていることを、説明してジンさんは納得してくれるだろうか。


 まあ、それも全部うまくいってからだ。



 そこで、僕の考える計画について説明し(日本語のわからない人にはジンさんに通訳してもらいながら)質疑応答を行った。


①草原の国にある僕の家で家宰をしているデミトリに依頼して、輸入品の購入を手配している。明日、斧の町を出るその馬車に乗り込み、レミィちゃん、シャラクさん、アレグラさんは草原の国王都に密入国してもらう。


②来る8月15日 レミィちゃんはその小さな体を活かして、子供に扮装し、死霊祭に参加する。死霊祭の夜は頭巾を被った子供たちが各家を訪ねてお菓子をねだる習わしがあるので、それを利用して、デミトリが手配した借家を訪ねて、お菓子をもらう。そのどさくさに紛れて、そこにいるはずの僕の家のメイドが扮している家人から、僕が小人の国に旅立った後、僕の家に届けられたオークの国への渡航命令書を受け取る。家宅捜索(という名の証拠隠滅)を受けた時に、それだけは確保しておいてくれたらしい。それで、僕は正当な命令を受けて旅をしていたことの証拠を取り返す。


③アレグラさんは手配した別の厨房にスタンバイしており、そこで、ホビットパンを作れるだけ大量に作る。もちろん、決着の瞬間に、皆に食べてもらうために。


④シャラクさんは、死霊祭の夜に行われる歌祭(国主催ののど自慢)に流れの芸人のフリをして参加してもらう。そこで優勝し、王様から直接優勝賞品をもらう栄誉につく。そこで、正体を明かし、僕を紹介してもらう。そうすれば、僕がいきなり姿を見せても逮捕しろとはならない。決着の瞬間の舞台を作る。そこで、ホビットパンを食べて見せる。


⑤登場した僕が、オーク王からの親書を渡す。


⑥ここで、正式に王国から主賓として呼ばれている竜宮巫女のシズカちゃんとトモエちゃんが観覧席から登場。僕が行方不明になっていた数か月はその親書を受け取るために費やしていた、と偽証してもらう。この世界で最も格の高い生き物である『竜』の従者の言葉は、公的な現場では、非常に重要である。つまり、シズカちゃんとトモエちゃんがシロと言えば、シロになるくらい。


⑦お見舞いと称して、フレデリカさんが城に潜入、イリス王女の軟禁場所を確認。位置を確認し次第、待機していたホビット忍者が脱走を手伝う。


⑧死霊祭の最も盛り上がる広場、突然現れた僕が自分の無実を証明した現場で、姫様登場無事な姿を見せ、敵を糾弾。



 そこまで説明して、皆が雪崩の如く「できるわけがない!」と言いだした。

 特にシャラクさんの「私に歌なんて無理です!」という涙交じりの反論がすごかった。しかし、そこにも切り札は用意している。まだ、この世界に来てから歌っていない、草原の国の人間が好きそうなJpop十曲くらいを、今から伝授すればなんとかなる。

 レミィたんの「人間の格好なんてできるか!」という怒声にも対応済。魔女通販で子供服を注文済である。人間の子供がドワーフの仮装をする時に使う服、という面白いものが売っていた。これなら、本物ドワーフではないけれど、なんかドワーフっぽいをキープ。

 シズカちゃんとトモエちゃんは「それなら爺ぃを登場させた方が早いのでは?」「それなら爺ぃを登場させた方が早いのでは?」という提案を受けたが、それはできない。竜が、勝手に剣祖文明人の国に降り立つのは、できるだけ控えたい。

 フレデリカさんから「私にも暴れさせろ」という趣旨を全く理解していない発言をされた時は、もしかしてこの子も頭の中がロマンでたゆってるタイプ?と危惧したが、嫌でも暴れることになるから、あきらめた。


 最後にジンさんから「それで、敵を糾弾した後はどうするんだ?」と訊かれる。

 たとえば、開き直って暴れ出したらということだろう。確かに、戦闘は想定していない。レミィちゃんやシャラクさんは戦士だけれど、腕利きを何人か連れたところで、大立ち回りになれば、とても対応できない。

 もちろん、対応策は考えている。明日、皆を密輸馬車に乗せた後、僕とジンさんはそれの準備を始めることにしている。



 さて、この適当な計画から、どれだけ滅茶苦茶なことになるか楽しみだ。


 

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