第三話 ヴィクターの執務室
今回はヴィクターの深堀り会ですよー
第三話
ここ一週間、アレンがジークに剣を教わっている⋯⋯正直に言おう。
私はアレンに期待をしてはいない⋯⋯我が最愛の妻【エレノア】と俺の一人息子⋯⋯アレン。
俺は息子を見限らなくてはいけないかもしれない。
四大貴族でありながら、属性魔法を何一つ使えず【固有魔法】も未知数。
領内の陳情に目を通しサインをする、最近は他領から流れてくる、荒くれ者共が目障りだな⋯⋯
コン コン コン
執務室の扉がノックされる。
「入れ」
「失礼します」
ジークが扉を開け入ってくる。
「ジークか、なんのようだ?」
新しい陳情か?と頭を悩ませる。
「アレン様の件ですが⋯⋯」
毎日稽古終わりに、アレンの様子をまとめさせていたな。
ジークが手に持った資料を、俺に見せながら言う。
「アレン様の固有魔法ですが⋯⋯おそらくですが【終焉】だと私は考えています。」
ガタン!
思わず机から立ち、口角が上がってしまう。
「根拠はあるのか?」
【終焉】とは【終焉の魔王】が使用していた固有魔法⋯⋯四大貴族及び王族、一部の人間しか知らない極秘情報。
「アレン様と模擬戦をした際のことですが⋯⋯」
ジークからの報告を聞き、疑惑が確信に変わる。
「アレンがジークに勝つなんてな⋯⋯」
口から漏れ出てしまう⋯⋯元王国騎士団長に勝ったという事実に現実味を感じられん。
「アレン様の成長は早いですよ、ヴィクター様」
机の鍵のかかった棚から、一冊の本を読み確信する。
【終焉の魔王 オメガ・ラグナ】は属性魔法を使用することができなかった⋯⋯と【聖勇騎士教団】の言っていることなんて、信用に値しないが⋯⋯
自分の息子がそんな大きな、力を手にしている可能性があるなんてな⋯⋯嬉しい反面問題ができたな。
「ヴィクター様のおっしゃりたいことはわかります。」
ジークが口を開き、資料を見ながら言う。
「この事実が一般的にバレでもしたら【聖勇騎士教団】が黙っていません。最悪武力行使に出る可能性も⋯⋯」
【聖勇騎士教団】⋯⋯勇者を信仰する、金と欲に落ちた愚か者どもの組織だ。
「【終焉の魔王】を殺し世界を救ったのは、勇者様」
「忌々しい、セリフですね。」
【聖勇騎士教団】の謳い文句だが、実際に勇者が魔王を倒したのかは、ハッキリとしていない。
兎にも角にも、アレンには何かしら言っておかなくてはならんかもしれないな。
(人の道を踏み外させてはいかん)
「今のアレン様は変わりました。ヴィクター様が心配するようなことには、ならないと言わせてもらいます。」
ジークが目を合わせ俺に言う。
「様子を見よう⋯⋯【聖勇騎士教団】に動きがあれば、報告しろ、領内の奴らの動きも逐一確認しろ。」
「了解いたしました。」
ジークが出ていった部屋で、ため息を付き上を見る⋯⋯頬には雫がほとばしる
「エレノア⋯⋯アレンは四大貴族の恥なんかではないみたいだ⋯⋯お前の時のようなミスはしない!アレンは、必ず守り抜いてみせる⋯⋯」
もう、後悔はしたくないんだ⋯⋯エレノア。
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ヴィクター様の独り言が聞こえてくる⋯⋯⋯
(その気持を、アレン様に言えていたら、エレノア様がお亡くなりになったときに、言ってほしかったものですな。)
今のアレン様には、必要ないでしょうが⋯⋯今思えば昔のアレン様の領民への暴力や下級貴族への当たりの強さも⋯⋯⋯いや、過ぎたことは忘れましょう。
アレン様に命じられた、賞金首の件まとめて提出しておきましょうか⋯⋯⋯
「父上には言わなくてよい。」
アレンの声を思い出しながら、廊下を歩いていく⋯⋯ジーク。
(今日のご夕食はアレン様がお好きなものにしましょうか)
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父の息子を思う気持ち⋯⋯元のアレンが悪役貴族としての片鱗を見せる前に⋯⋯その気持を伝えてあげていられたら⋯⋯
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「ジークいいやつだな⋯⋯」
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