貴族狩り
いつもお読みいただきありがとうございます!
今回は【デスソード】のアジトへ単身乗り込んだユリウス視点です。
圧倒的な力で掃討を進めるユリウスですが、第7話で名前だけ登場していたあの不穏な存在――【貴族狩り】がついにその姿を現します。
王国最強クラスの騎士VS謎の刺客。
そして屋根の上で見下ろすアレンはどう動くのか……!?
ぜひお楽しみください!
―ユリウス視点―
街の中央から離れたスラム街区域へ足を踏み入れる……奴らの根城はココだろう。
切り取った男の手についていた紋章。ドクロが剣を咥えている紋章だ。
(王都内の危険度の高い盗賊団は全て記憶している。あれは【デスソード】だ。)
この通りを右、次を左。入り組んだスラム街の地図はすでに頭に叩き込んである。
地道に調べ、有事の際に最も早く現場に行き処理してきた。
(この建物だろう。)
右に曲がると現れたのは、スラム街の崩れた家々とは違い、大きく立派な木造の酒場の様な建物だった。
看板に描かれた【デスソード】の紋章を確認し、扉に向かい――
バキンッ!!!!!!!!!
「だ!? 誰だテメぇ!!!」 「て!? 敵襲ぅ??」
扉をいきなり蹴破られ、動揺を顕にする盗賊たち。
なんだかんだと聞かれたら……答えてやるのが騎士の情。
「王国近衛騎士団・団長――ユリウス・エルクラインだ!!」
右腕に雷を集中させ、一気に解放する……!
「【エレクトリック・パルス】」
「やられ!? ガガガガガガ!?」 「なんッ!? グァァァァァァァァ!!!!!!」
周りに居た盗賊団、三十人程に強烈な紫電が走り、一瞬で崩れ落ちる。
「悪いが、早く頭領を出してもらおうか?」
目の前でたった一人、電撃の被害を受けていない男に剣を向ける。
「お、王国騎士団は礼儀がなってねぇのか? いきなり乗り込んで来て一気に討伐するなんてよ……」
男が額に汗を垂らし、口元を震わせながら言う。
「私は強い者にしか興味がないのだ。申し訳ないが大人しく頭領を出してくれ。」
男は口元の震えを止め、ニヤリと口を歪ませる。
「お前、死んだなッ!?」
PAN!!PAN!!!PAN!!
ユリウスの後ろから乾いた銃声が鳴り響く。一射目がユリウスの目の前に居た男の額を貫き――間髪入れずに二射目、三射目がユリウスの喉元と心臓を目がけて放たれる!
「遅い!」
紙一重で避けたユリウスは、射殺した勢いのまま銃口をこちらへと向け直してきた襲撃者を見て、驚きを隠せない。
「どうして、お前らが居るんだ!!!!」
黒のシルクハットに黒のスーツ、胸には黒薔薇のバッジ。微笑んでいるピエロの無機質な仮面。
間違いない……だが、何故奴らがココに居るんだ?
「何故か……飼い主の言うことを聞かない犬どもの殺処分だ。」
拳銃の銃口を俺に向けたまま、静かに話を続ける……【ブラック・ローズ】の男。
「私に銃を向ける理由を聞かせてもらおうか。」
会話で時間を稼ぎ、今俺の出せる最高の電気を溜める……!
「私達には面子がある……貴様ら騎士団なんかに尻拭いをされては、ボスが許すわけもない。」
「そんな拳銃一丁で、私を相手にできると思っているのですか?」
極めて慎重に相手の手先の動きに集中し、警戒を高める。
男がクツクツと失笑して言った。
「確かに私一人では分が悪いようです――【貴族狩り】」
何も喋らず、男の隣にいた“泣いたピエロの仮面”をつけた男が前に出た瞬間……部屋中の空気が一変する。
(なんだ……この男!! なんて血の匂いだ……!)
特段強そうでもなく、ただ立っているだけの男から発せられる圧倒的な鉄の匂い。
「あぁ〜、彼はちょうど仕事を終えたばかりでして……まぁ、貴方の相手くらいは出来るでしょう。」
【貴族狩り】と言われた男の手元に黒い渦が漂い……渦が消えた瞬間、その両腕に握られていたのは見たこともない黒光りする長い機械だった。
(見たことが無いぞ!?)
長年、様々な犯罪者や盗賊を討伐してきたが見たことのない武器……警戒しなくてはッ!?
ドォォォン!!!!
一瞬の閃光と共に、ユリウスの頬を赤く染める激痛。
(俺の反応が……遅れた……!?)
「手早く終わらせて下さいよ……妹さんの為にもねぇ?」
後ろで見ている男にそう囁かれた時、【貴族狩り】の肩が微かに震えていた。
第23話をお読みいただきありがとうございました!
第7話で名前のみ出ていた【貴族狩り】ですが、まさかのタイミングでユリウスの前に登場となりました。
見たこともない異質な武器、そして背後にチラつく「妹」の存在――。本来のゲーム展開とは異なる動きを見せる裏組織に対し、アレンがどう介入していくのか注目していただけると嬉しいです!
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