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俺は奈落の底に落ちている  作者: 緋色唯
7/10

episode7 奈落な2日目の宿

ここの旅館は怖い…本当に怖い。


俺たちは古い宿の指定された部屋の前で黙り込んでいた。それは部屋割りを考えいたからだ。空いてる部屋はあったのだが2人部屋だけ。俺たちは2人部屋を3部屋借りることにした。だから自動的に誰かが1人部屋になる。始め中間が1人部屋にとか言い出したが、馬城を先頭にそれは阻止した。鍵も今にも壊れそうな作りでセキュリティもあったもんじゃない。

部屋割りで揉めるなんて修学旅行じゃあるまいし…とか思われるかもしれないが、この宿はホラー映画が好きな俺でさえリアルに怖い。部屋をチラッと覗いたが、古い日本人形が置いてあった。ということは、寝ているところをずっと人形に見守られている状況になるということだ。あのお婆さんなんのためにこんな事を…肝試しの仕掛け人としか思えん。

この空気に耐えかねたのか佐々木が話を切り出した。


佐々木「とりあえず廊下で話すのもなんですし、この部屋入りません??そしてゆっくりUNOでもしながら話し合いましょうよ!」


ナイス佐々木。

…王道のトランプでババ抜きとかじゃく、UNOを、持ってくるらへんが佐々木らしい…。


俺たちは指定された部屋の真ん中の部屋に入った。


そして佐々木がカバンからUNOを出し半分に分けて俺に片方渡してきた。


森「え?なに?」


佐々木「UNOって枚数多いんでカード切りにくいっすから手伝ってください。すみません。」


森「あーそゆことか。」


まぁ、トランプはジョーカー2枚含めて54枚に対してUNOは108枚だもんな。気持ち分からんでもない。

俺は渡された半分の量のUNOを切った。

そういやUNOの始め方ってどんなのだっけ…?えっと確かまず、

・7枚ずつ配って、真ん中に山を置き、ディーラーを決めて、ディーラーから時計回りに始めるんだったよな。

・色か数字が同じなら出せる。ブラックカードはいつでも出せる。

・始めに山から一枚目をめくったカードがブラックカード以外だった場合、ディーラーは容赦なくそのカードの効果を受けなければならない。

・+2なら二枚山から引いて、スキップなら次出す人が飛ばされて、矢印だと出す順番が逆回転になり、ブラックカードは色が指定できる。

・複数出しはOK。ただし、ブラックカードでの、上がりは禁手。自動的に最下位になる。後、ラス1になった時次の人が出す前に「UNO!」って言わないとペナルティとして即座に+2される。そして手持ちのカードが無くなったら勝ち。基本的なルールはそんなもんだ。


UNOとかトランプって友人によってルールが少し違うんだよなー。まぁ、今回は細かいルールを佐々木に任せるが…カオスそうで不安だがな。それはそれで面白そうだ。


佐々木ルールだと、

・+2カードが出された場合、手持ちに+2カードがある時は出せる。そうするとセーフとなる。だがその次の人が+2カードを持ってない場合その人は山から4枚引くことになる。+2に対し+4のブラックカードでは対抗できるが。+4は+2では対抗できない。

・出せるカードがあるのに出さずに山からカードを引くのは禁止。


なるほどな…ほんとにカオスなルールだ…。でもやり方次第では面白くなりそうだ。


佐々木「んじゃとりあえずディーラー決めるんで山から一枚ずつ引いてください。」


中間は8。馬城は4。衣子は1。佐々木と俺が記号カードいわば0って事だ…。ディーラーは中間。


佐々木がシャッフルし直し、7枚ずつ配った。そして山を置き、一枚めくった。

『青6』


順番はディーラーの中間から時計回りに馬城→佐々木→衣子→俺だ。だから馬城がまずはじめに出せる。


馬城『青4』


佐々木『黄4』


奈落『黄7』


森『黄7』


そして本題の部屋割りの話をしながらゲームをした。


中間「『黄+2』セキュリティって…そんな心配する事じゃないんじゃないの??」


馬城は渋々2枚引く

馬城「でも女1人はなにがなんでも危ないし…第一俺が嫌だ。」


佐々木「『黄5』おお!?」


展開に思わず声が漏れたな佐々木。

また紳士的だな…馬城、お前はいつからそんなに紳士的になったんだ??


奈落『ブラックカード』「…赤」


中間「んじゃ、衣子ちゃんと2人ならいい??」


森「それはそれで腑に落ちないな。女2人ってのもな。ここの鍵は簡易的で壊れそうだからな。『赤+2』『青+2』!」


勝負をかける。二枚出しだ!

ふっ…中間…悪いな。


中間「『青+2』んじゃ男女一部屋って事に??」


お。+2カードを2枚持ってたってことか。


馬城「『赤+2』その方が安全だろう。まぁ、自動的に男の誰かが1人部屋になるがな。」


おぉ。もしそうなったら自動的にこの2人は同じ部屋になるだろうな。はっ!もしかして馬城は中間との2人部屋を望んでこんな事を??まぁ…馬城の真剣な顔を伺う限り下心は無さそうだがな。本当に真剣に中間が心配なんだな。これって友情なのか!?訳が分からなくなってきた。


佐々木「『緑+2』んじゃ馬城さんと中間さん同じ部屋になればいいじゃないですか。そうしたら安心なんですよね?」


お…佐々木も+2持ってたか…。

それに…真面目に思った事を素直に口に出すよな本当に佐々木って奴は…。


馬城「まぁ、そうだな。百合子が嫌じゃなければ。」


おっ!


中間「…嫌じゃ…ないけど…。んじゃ直人宜しくね」


馬城「あぁ。」


え!?今の馬城のってどう考えたって告白紛いじゃないのか!?

で、なにその中間のすんなりOKみたいなこの会話。俺はどう受け取ればいいんだ!?今後の仕事関係に影響が…


奈落「…『緑+2』『赤+2』」


はーーー!?!?!?衣子の奴持ってたんか!!てか皆んな持ちすぎだろ!!

お、俺、勝負仕掛けて+2を2枚出してしまった…あの時一枚でも保険に残していれば…。


佐々木「足して+12ですね。森先輩?」


佐々木が意地悪そうに笑顔を向けてきた。っやっろー…


俺は1枚ずつ山からカードを引きながら言った。


森「中間は馬城が付くってことで決まったったが、衣子はどうしたい??」


奈落「なんかめんどくさいから私1人部屋でいいです。」


佐々木「奈落さんそれはダメですって!話をまた拗らせないでくださいよ!なげやりは良くないです。」


佐々木の言葉に衣子は少し反省したような様子だ。


中間は手持ちがなかったらしく一枚引いて、一枚目でビンゴらしい。

中間「『+4』んじゃ衣子ちゃんのナイトは誰になるのかな??『…んー青』」


馬城「げっ!!…+4かよー…」


馬城は渋々山から引く。


佐々木「んじゃ先輩こうしませんか?このゲーム順位高かった人が奈落さんと同部屋って事で!」


馬城「お!それイイじゃん!潔い。」


まぁ、別にいいけど…と言いたいところだが、俺は+12食らった後なんですけど??それ分かった上でこのシステム導入してきやがったな!?


佐々木「森さんも異論はないと言うことで!そうしますか!『青0』『黄0』『赤0』よっ!!」


計画的犯行だぁぁー!!!!

ここでの3枚同時出しとか…


奈落「…出せるのこれしかない。ごめんね『+4』」


衣子ぉぉぉぉぉー!!!!!!!




そして俺は普通に最下位になった。一位は佐々木だ。佐々木が上がった時点でもう戦意消失だったけどな。


森「カード運が悪すぎた…」


佐々木「安心してくださいね森先輩!奈落さんは僕が死守しますから!だからそんな顔しないでくださいよ。ゲームに負けたくらいで。」


佐々木は憎たらしく言った。俺はカチンときて佐々木の胸ぐらを両手で掴んでしまった。


馬城「おい!も!!」


俺たちの仲裁に入ろうと前にでた馬城を中間がパッと腕を出し阻止した。

それに驚いた馬城は小声で中間に話しかけた。

馬城「なんで止めるんだよ!」


中間「これは2人の問題。とりあえずギリギリまで見守ってみましょうよ。」


中間の真面目で真剣な言葉に馬城も頷いた。


佐々木「なんですか先輩?僕を殴るんですか?」


俺はゲームに負けたからとか佐々木に憎まれ口を叩かれたから腹が立っているんではない。知ってる…ただの嫉妬だ。胸ぐらを掴むこの手は離そうにも離せないくらい佐々木に腹が立っていた。


奈落「森。そんな、ゲームに負けたくらいで熱くならないでよ」


森「ゲームに負けたから怒ってるんじゃない!!」


奈落「私が佐々木くんと同室になるから?」


森「うっ…」


俺は衣子の言葉で頭に血が上っていたのが一気に下がった。


奈落「…正直佐々木くんでよかったなって思ってる」


佐々木・森「え…?」


俺はショックのあまり力が抜け、佐々木の胸ぐらをつかんでいた手がほどけた。


奈落「森と同じ部屋とか…無理。」


奈落がそっぽを向いて冷たく言った。


がーーーーん…。口より手が早かったからか!?嫌われたのか俺!?

がーん…がーん…


俺の頭の中で鐘が鳴りっぱなしだった。てっきり衣子の方も…とか思ってた自分が嫌になってきた。


佐々木は真面目な顔をして俺と衣子を見ていた。そして、無理に作ったかのような笑顔でみんなに話しかけた。


佐々木「勝ちは勝ちです!はい!では寝ましょうか!明日に備えてゆっくり休まなきゃですよね!」


空気を読むかのように中間と馬城が部屋を出た。


馬城「んじゃまた明日!」


中間「いい夢見れるといいわね。おやすみなさい」


佐々木「おやすみなさい!」


奈落「おやすみなさい…」


森「あぁ。楽しくな。」


何言ってんだ俺は。こんなこと言いたい訳じゃない。惨めになるだけだ。

馬城と中間は俺の心を読んだかのように笑顔で手を振って戸を閉めた。


森「あぁ。んじゃ俺も行くわ」


俺は立ち上がった。


佐々木「もっ…!」


森「この部屋の鍵、特に錆びてて壊れそうだからよろしく頼むな。佐々木。」


佐々木「森さん…はい。任せてください。」


衣子が重そうな口を開けた。


奈落「ありがとう森」


森「…あぁ。」


あぁ…もうほんっとに女ってワカンねぇ!!無理って拒絶したり、ありがとうとか優しくしたり。特に衣子はそうだ。


衣子のことはわかっているつもりだったのに、さっぱりわからねぇ…


俺は戸に向かって歩いた。それを引き止めるかのように佐々木が言った。


佐々木「ま、負けは負けですからっ!」


森「解ってるよ。」


佐々木「僕がです」


森「は?」


佐々木は俺に真っ直ぐな目で訴えるように言ってきた。


佐々木「そのままの意味です。分からないのなら森先輩が…あ、あ、アホなんですよ!!!」


森「アホだと!?」


佐々木「無礼承知です。でも言わなきゃならないような気がして…謝りませんよ」


森「訳ワカンねぇ。じゃあな」


奈落「おやすみ…森」


森「あぁ…」


俺は戸を閉めた。隣の部屋の鍵を開け部屋に入った。

真っ暗で不気味な部屋の中で、佐々木の言い放った、自分は負け…という言葉がずっとひっかかっていた。


俺は寝支度をし、倒れこむように布団に横になって佐々木が言っていた言葉の意味をずっと考えていた。


ゲームに勝ったのに勝った気にならなかった…大差をつけて勝ってしまったから、勝った気にはならなかった。

って事なのか?なんかそれはそれで腹がたつ。でも、『負け』というのとは何か違う気がする。


佐々木のやつ…なに考えてんだよ…。


真っ暗闇の中だから日本人形は見えない。けど、今の俺の事を嘲笑ってやがるんだろうな。『無様な俺』を。


みんな…どんな会話して寝んのかな…


そんなわかるはずもないことを変に考えた。

俺はそんなことを考えているうちに眠ってしまった。ふて寝だな…



ー その後の佐々木・衣子の部屋。


*To be continued…

第7話もありがとうございます!


次は奈落と佐々木の部屋編です!


お楽しみに!

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