呪い
少々駆け足気味で進みます。
練り直しで一部弄っているので登校遅れるやもしれませんヾ(:3ノシヾ)ノシ
レアちゃんを屋敷に迎え入れ、その日の夜は《姉妹達》にエッテとマリウスの顔合わせを会議室で行った。
パニエやパーシェルは森の整備を行っているため不参加だったが、大体のメンバーが集まった。
紹介も何事も無く進み、エッテに限れば鈴がよく連れ出していた事もあり、皆すんなりと受け入れてくれていた。
マリウスはソーニャと以前から面識があり、何かしら因縁があったようで、再開してすぐ喧嘩腰でソーニャとヒートアップしていた。
マリウスは他にも、自分を一瞬で無力化したイーリスに手合わせをして欲しいと絡んでいたが、凄く適当にあしらわれていた。
そして二人の顔合わせが済み、エッテとマリウスの二人を部屋に返し一度皆解散すると、各々用事を済ませて再び会議室に集まる。
メンツは戻ってきたパニエとパーシェルを入れて《姉妹達》全員が集まっていた。
「皆、再び集まってもらって済まなかったな。少し気なる事があったので呼び出させてもらった。とりあえず早速だがリット、リーゼ、聖教国について報告を」
先日、わざわざリットとリーゼが配下を送り込むため、現地へ赴いた一件である。
これは一晩も掛からず終わったが、どうやらかなり手こずっていたようなので詳細を聞きたかった。
「儂から報告しよう。兼ねてよりリムリス聖教国の首都にあたる聖都、ウィルナミリスには強力過ぎるとも思える結界が張っておって、儂らの配下を忍び込ませる事が難儀じゃった。今回リーゼと儂が現地へ赴き、結果的には新たな工作員を忍び込ませる事には成功したのじゃが、転移陣の起動などの、規模の大きな魔力の使用はすぐに探知される恐れがある。我等の計画の一番の障害じゃと思われるが、目下結界の調査に当たっておる。時期にカラクリも分かるじゃろう」
結界自体は、聖教国以外の国でも主要な都市では張ってあったが、今まで問題になる程の物でもなかった。
しかし聖教国の首都には、異世界の魔法レベルでは扱うことのできない結界が張ってあり、ルピナの《精神汚染》に感染した者達を何人か送り込む程度でしか情報を集める事ができなかった。
今では爆発的に増えた感染者達から聖都内の情報を得ているが、俺たちの計画実行のための下準備を行うためには、多くの工作員となるリーゼ配下のアンデッドやリットが従える精霊達を送り込む必要があったため、多少強引にだが結界を突破し送り込む事に成功した。
リットとリーゼが力を合わせねば突破できない結界など、もはやプレイヤーが築いた要塞レベルである。
だが今のところプレイヤーの影は見つからない。つまりこの世界に住む者達が作り上げた結界なのだろうが…。
「詳細が分かったらすぐに報告してくれ。しかしその結界は気になるな…障害にならないよう、できるだけ無力化しておきたいもんだ」
「うむ。早急に調査し対処するのじゃ」
俺ももう少し早めに気付くべきだったな。報告には上がっていたと思うが、周辺都市には潜り込めているからあまり気にしていなかった節もある。
これも反省点だな。
「最悪、力技で対処できそうならそちらも視野に入れておこう。何か分かれば随時報告を頼む」
「了解なのじゃ」
と、自分の報告が終わるとテクテクと歩きこちらへ来ると、俺の膝によじ登るリット。
ポスっと定位置となりつつある膝の上に座り、ツインにお茶を注がせようとしている。
俺も最近は気にしなくなっている。
「次はミストだな。ここにはマリウスはいない。話せるか?」
そして俺の中では本題であるミストの話。
俺は態々メッセージを使い、マリウスに聞かれないように配慮したミストの話を聞くため、不自然にならないようエッテとマリウスを部屋に帰したのだ。
「はい。本日、我等の協力者となったマリウス・アザゼルの妹、レア・アザゼルの事についてです」
予想は付いていたが、その内容もあまり良いものでは無さそうだ。
「レア・アザゼル…レアちゃんは生まれつき魔力欠乏症と言う、常に魔力が枯渇寸前の状態の病気を患っていたようですが、私が奥まで診た所、別の要因が判明致しました」
「ただの病気では無かったのか?」
「はい。魔力欠乏症以外に、レアちゃんには何者かから受けたスキルの痕跡が見つかりました。私の《魔天視眼》で鑑定したところ、《生命力吸引》と言うスキルのようです。このスキルはその名の通り、対象を生かさず殺さず生命力や魔力を吸収し、スキルを掛けた者へ送り続けます。嫌らしいのは吸い取り過ぎない程度しか吸収しない所です。元々の魔力欠乏症の症状がカモフラージュとなっており、鑑定スキルを持っている者でも発見は困難でしょう」
《生命力吸引》…ゲーム内に似たようなスキルはあったが、その大体は副次的な効果でそこまで凶悪的なものでは無かったはずだ。
たがこの異世界独自のスキルは多い。
リットやリーゼはその辺も調べてはいるようだが、ゲーム内と似ているだけで効果は違っている可能性もある。
そしてこのスキルをレアちゃんに掛けた奴も恐らく確信犯だろう。スキルの症状を隠すためにわざわざ体の弱い者を選んでいる。
勝手な憶測だが、被害者はもしかするとレアちゃんだけではないのかもしれない。
「そして彼女は気付いていないようですが、その体はかなり弱っています。なので先程彼女に触れた時に、軽くですが気付かれない程度に簡単な治療を施しておきました。今日は《生命力吸収》を解除するための方法をいくつか見繕い、明日は朝一で彼女の体を治療して掛けられたスキルを解除致します。後はルピナに行ったパワーレベリングやMP増幅装備などで魔力値を底上げできれば、魔力欠乏症も治すことができるでしょう」
ミストの中では解決策が用意できているようだ。
これなら任せても問題無いだろう。
「分かった。だが異世界人にパワーレベリングは通用するのか?俺たちはゲーム内のシステムが使えるからパーティーを組んで経験値の配分を設定できるが…」
「はい、その辺りも少々試してみたいことがあるので、実験も兼ねて試してみようと思っております」
「そうか。ではレアちゃんに関することはミストに任せよう。治療経過もできるだけ報告してくれ。スキルの方はこちらでも調べておこう」
リットとリーゼが調査したこの世界のスキルに関しての資料もあったはずだ。
部屋に戻ったらリーゼと軽く調べてみよう。
「畏まりました。私からのお話は以上です。わざわざお時間を割いて頂き感謝します」
ペコリと一礼し、ミストの報告は終わる。
これでレアちゃんに関してはミストに任せておけば大丈夫だろう。
「あ、あっしの報告もいいっすかー?北区とカレアス平原南部のことについてっすー」
食糧プラントの製作が終わってからも、出ずっぱりだったパーシェルが手を上げる。北区と言うことは森の整備状況の報告だろう。
「ああ、いいぞ。整備状況についてだろ?」
「そっすー。とりあえずほぼほぼ完成してきたので、近いうちに改めて視察しに来てほしいっす。あとパニエが森の西側を広げたいって言ってるのでその許可下さいっす」
「視察はいいが、西側を広げる?別に構わないが何かあるのか?」
俺たちが北に向かって森を開拓して行っているのは、カレアス平原南部まで繋げるためだ。
西側か…西側には確か湖があった気がするが…。
「うっす。目的は西にある湖っすね。かなりの広さの湖っすから、そこに浄水施設を造る予定っす」
なるほど。用水路を繋げるつもりか。
「分かった、許可しよう。そこまで計画できているなら上下水道の基礎はできているのか?」
「もちのろんっす。水回りは大切っすからねー」
流石はパーシェル先生。
今更だが、異世界で迷わず未来技術を利用しまくっている。しかも対価として消費される地下倉庫の物資は少し減っているくらいだ。
俺は改めて、生産チートの恐ろしさと頼もしさを認識した。
「よし、じゃあそのまま引き続きパニエとパーシェルは森の開拓を行ってくれ。視察は折を見て行くつもりだ。期待しているぞ」
「了解っすー」
「畏まりました」
その後も軽く現状の報告が終わり、森に生息するアルビノ種の対策も練り、後日に一斉討伐を行うことが決定し会議は終わった。
俺はそのまま大浴場へ向かい、乱入が無いようわざわざ自作した『ご主人様入浴中』の立て札を置くと、風呂へ浸かった。
「ふぃー、癒される…」
安心して浸かれる広い風呂はいいもんだ。
マリウスという貴重な男性が増えたからには男湯の時間帯を作らねばならないな…。
何も考えずぼーっと浸かり、体が温まってきたころに湯から出ようと立ち上がる。
そういえば、前回はこのタイミングでメイとパニエが乱入してきたことを思い出し、辺りを見回す。
誰もいないことを確認すると立ち上がり、湯船から出ると。
「やあ、カナタ君」
今度は仮面の女が正面に立っていた。
ー=≡Σ[布団]ε¦)




