帰還
また勢いで書いてしまった。
後悔はしていない。
「これにてリフ大森林の防衛戦の完了です」
目の前にある複数のモニターから映し出される各戦線の状況が全て終了すると、リーゼは機械的に終了を宣言した。
いくつかイレギュラーがあったものの、大凡計画通りに進み全員が怪我一つなく終わり安堵する。
「何というか…凄まじかったな」
膝の上にはリーズリットとリリルが乗っている。右隣にはリーゼが控え、後ろにはツインとショコラが控えている。
メイがお茶を淹れ、ソーニャも共にモニターを眺めていた。
「私はとんでもない者達の仲間になってしまったのか…」
ソーニャは作戦の開始から今の今まで静かにモニターを眺め、たまに自分の頬を抓っていた。
「私はたまにシスターズの皆様のスキルチェックにお供させて頂いたので、この程度じゃもう驚きません」
今まで映し出されたものを見て、異世界で個人戦力最強と言われる紫持ちより驚かない元村人代表のメイ。
だが俺もたまにソーニャと同じように少し驚いていたりしている。
「そもそも何だこの映像は。遠くのものを映し出すマジックアイテムはいくつかあるが、どれも高価でおいそれと手を出せるものでは無いぞ?」
「まぁあれだ、魔法の一つだ。あまり気にするな」
間違ってはいない。リーゼが使役しているアンデッド達が見ているものを、リーゼが経由して俺たちに見せてくれているだけだ。
原理は分からない。異世界に来てリーゼもスキルの変化でできるようになっていたらしい。この複数のモニターも実験として今回使ってみただけだし。
別に遠くのものを映し出すアイテムなら、それこそ腐る程持っている。魔法細工スキルの修練で作ったやつだが。
「この映像もそうだが、あれ程の魔法が扱える貴方がたは一体…」
「そこもあまり気にするな。俺はただ皆と静かに暮らしたいだけだし、襲って来るから戦ったまでだ」
自分達から理由もなく戦う訳がない。
意思を持ったこいつらと平穏に暮らしたいだけだ。
「……あまり詮索はしない方がいいのだろうな。メイもこうして追われる事もなく笑顔で過ごせているみたいだ。ならば私からは何も言うことはない」
「そうしてくれ。メイ、すまないがもうすぐ皆戻ってくる。お茶を用意してやってくれ」
「畏まりました、ご主人様」
にっこりと微笑み、戦闘に出払っている人数分のお茶を淹れ始めるメイ。
ここ数日でメイの家事スキルは上がりまくっている。いずれは俺付きのメイドの一人にしてもいいかとツインに訊ねられているくらいだ。
「うし、なら俺は皆を出迎えて来るか」
リットとリリルを膝から下ろすと、固まった腰を撫でながら立ち上がる。
「ジジくさいのぉ」
「うるせい。誰のせいだと思ってるんだ」
確実にリットとリリルのせいである。
最近ナチュラルに膝の上に乗って来る二人。あまりにも二人の動作が自然過ぎて俺も気付かないうちに撫でている。
幼女怖い。
「ふふん。儂やリリルの尻の感触を楽しんでいるのは知っておるぞい。ご主人様は幼子の尻が大好きじゃからな!儂はそんなご主人様の期待に応えておるだけじゃ」
ピキッ
リットとリリル以外からの女性達から形容できない音が聞こえた気がする。
「ご主人様はリリルを抱っこするときいつも胸を揉んでる。ペタンコ好き」
パキッ
今度はリーゼから何かが折れる音が聞こえた。
その手に持っていたはずのペンが二本に増えているのは気のせいだろう。
「リ、リリルさん?嘘は良くないよ!ご主人様泣いちゃうからやめようね!」
何故か勝ち誇った顔の幼女二人組。
設定的にはリリルは少女の年齢だが、リットと背丈や身体つきが大差無い。
「嘘じゃない。ご主人様寝てる時いつも私の胸揉んでる」
バキバキバキッ!
今度はリリル以外のリットを含めた全員から奇妙な破壊音が聴こえてくる。
危険を察し、この場から離れる言い訳を必死で考える。
「ご、誤解だ。その話はまた後でな?イーリスや鈴達を出迎えに行かないとな!早く行かないと戻って来ちゃう!」
会議室の扉を開くためドアノブを持とうとすると、俺が触れる前に扉は開かれた。
「おや、ご主人様え?何しとるんえ?」
「あっ」
開かれた扉の向こうには、鈴達が全員既に屋敷に帰還し会議室まで戻って来ていた。
「御姉様お二人とパニエ、ラザエラ、ルピナ。お疲れ様なのじゃ。全員の報告を聞きたいところじゃが、緊急案件が浮上したのじゃ。お疲れの所申し訳ないが、付き合って貰いたいのじゃ」
連合軍のリフ大森林侵攻計画が判明したときより神妙に語り出すリット。
ツインやリーゼ、メイまでもが真剣な表情である。
「リット、それは何ですか?」
いつのまにか席に座り、メイが淹れた紅茶を啜っているイーリスがリットに問う。
「ご主人様が寝床にリリルを持ち込み、抱っこして寝ているそうじゃ」
ガタッ!!
普段何があっても動じないイーリスが、椅子を後ろに倒す勢いで立ち上がる。
そして信じられないものでも見たかのように目が泳ぎ、動揺しているのが分かる。
何故だろう、100万の軍勢がやってくるより俺に関する問題の方が皆の関心が高い気がする。
「それは…本当なのですか?ご主人様」
「うっ」
今にも泣きそうな顔で俺を見ているイーリス。イーリスだけかと思ったら全員がイーリスと同じような表情で俺を見つめている。
ここで思い出してみよう。
俺が作ったパートナーNPC達の設定は全員俺が作ったものだ。
そして今更だが俺はハーレムが大好きだ。憧れている。ハーレムしてみたい。そんな欲望を満たすため、女性型のパートナーNPCは、まぁ、うん。そう言う設定なんだ。
特にシスターズである彼女達の設定はかなり濃い設定だ。
もちろん、一人一人個性がかなり強い。
ゲーム内であればそれはただの設定で、反映されることのないただの自己満足の類である。
だって異世界に来て意思持つなんて思わないじゃん!
取り敢えずこの窮地を何とかしなくてはいけない。
「リ、リリルと寝たと言うのは本当だが手は出していないぞ?大体俺が寝惚けて抱き枕にしてしまっただけなんだ。そ、それよりほら!報告、そう報告をしような?」
何がいけなかったのだろうか。
皆一様に俯き沈み込んでいる。
悲壮感が会議室に漂い、ひたすらに気まずい空気が流れ出す。
「り、鈴!何か欲しいものはあるか?防衛に出てくれたパニエ達も何でも言え!俺にできることであれば何でも与えるし、やってやるぞ?」
ピクッと戦いに出ていた全員が反応した。
このチャンスを逃してはいけない。
「うんうん。皆よく頑張ってくれたからな。リーゼやリットもよく働いてくれた。ツイン達メイド組も影で支えてくれたからな!俺にできることであれば何でも言うといいぞ!」
どうなるかは予想はしていたが、今の俺にそれ以外回避する術は無かった。
後に俺はこの時の発言を後悔する事になるが、それはまた別の話である。
作者はハーレムが大好きです(真顔)




