姦し娘達の狂乱記
少しだけキャラ崩壊注意かも。
「第一回、ヒストリア会議!緊急開催なのじゃ!」
それは異世界転移3日目の朝、まだ陽も顔を出していない時間帯に幼女は現れた。
「うぅ…今何時だ…まだ4時じゃねぇか…ダメ、朝はダメだ…人が起きる時間じゃない…ぐぅ…」
おふとぅんあったかいなり…
あったかいは正義だ…つまりおふとぅんは正義…それを邪魔する朝は悪である…ぐぅ。
「おーきーろー!ゆけ!パーシェルよ!お主の本当の力を見せてやれ!」
「パーシェル、いっきまーぐぇ!!」
「ご主人様を殺す気ですか?リットも何をしているのです。こんな時間に非常識ですよ?」
殺すって…何をする気だったんだ?
こちらへ走り出そうとしたパーシェルを拳で沈黙させた"白"のイーリス。
何故長女のお前までそこに居るんだ、と小一時間問い詰めたい。
確かイーリスの設定はぼちぼちお堅い感じに仕上げたつもりだったんだが…。
「ぬぅ!儂は我慢ならんのじゃー!御姉様は良いのですか!?リーゼが秘書ですぞい!仕置きしてる間にもニヤニヤと気味の悪い笑顔で嬌声ばかり上げておったわ!問い詰めてみれば案の定よ!鈴お姉様は不貞腐れて部屋から出て来ぬし!あーもう!にゃーーー!」
「にゃ…お姉様…ルピのキャラ取らないでにゃ…」
「申し訳ありません。ご主人様の護衛に任命された私が、まさかご主人様と鈴お姉様を見失うとは…」
ラザエラ…お前までいたのか…。
「ご主人様が本気を出されたら儂でも見失うわい。ぶっちゃけると鈴お姉様がおるなら護衛はいらん。プレイヤーが100人来ようとお姉様には勝てん。今回の件は気にせんで良い。次に活かすがよい」
「…はい」
直球で鈴が居ればお前はいらんと言われたように感じてしまうラザエラ。いつも無表情な彼女の表情に、若干の翳りが見える。
あーもー。仕方ないなあ!
「リット、うるさい。ラザエラ、来い」
「にゃんと!?」
「は、はい!」
ルピナ化していく幼女を放置して、寄ってきたラザエラの腕を引っ張り、そのまま布団の中へ引きずり込む。
「あ"ー。あったかい…」
「ご、ご主人様!?」
無駄に高いSTRとAGIを利用した早技に、ラザエラは抵抗することも出来ずに俺の抱き枕になる。
「黙って行って悪かった。次からは気をつけるから、許してくれ。ほら、なでりなでり」
暴れもしないラザエラの耳元で、気にしているであろう昨晩のできごとを謝罪しながら手触りの良い髪を優しく撫でてやる。
驚いた表情から一変して、真っ赤なリンゴのように顔色が変わっていくラザエラ。愛いのぉ。
「ふふん。ラザエラの表情がコロコロ変わってるなー。ほれほれ、なでりなでり」
ラザエラの表情がコロコロ変わるのが楽しくて、調子に乗って撫でまわしていると、とんでもない位置からの攻撃がやってくる。
「ご主人様、キャラが崩壊していますよ。……あぁ。普段はそちらが素の表情でしたね。オラ付いている感じを出していたのは、上に立つ者の意識改革の一つでしたか。これは出過ぎたことを申しました」
イーリスの言葉が寝起きの心に突き刺さる。
なんで分かるんだよ!!
お前ら纏めてる俺がなよっちかったら馬鹿にされちゃうじゃん!
くそぅ…。
「…イーリス、無礼だぞー。後で肩揉みの罰を下すー」
なんとかイーリスをぎゃふんと言わせたかったが、そもそも思考がまともに働いていない。自分でも驚くくらいのしょーもない罰をイーリスに告げた。
ダメだ。寝起きはダメだ。もう何度言ったか分からないがもうダメだ。目もまともに開かないし、もうダメだ。
朝に弱いことを自覚している俺は、早くも姉妹同盟軍に白旗を上げることになる。
何だよ姉妹同盟軍って…。
「ふふ。後じゃ無くても良いですよ?今からゆっくり丁寧にさせて頂きます。罰ですもの。仕方ありませんよね?」
「わ、儂も騒いでご主人様を起こしてしまったからのー!仕方ないのー!罰ならばのー!なっ!離せー!パーシェルお主、先程まで沈んでおったろー!!はーなーせー!」
「い、行かせないっすよ!もとはあっしが今のラザエラの位置に居る筈だったんスから!一番先にご主人様の下へ行くのはあっしっすー!」
「にゃー!ルピもマッサージするにゃー!」
「うるさい…もう許して…」
異世界3日目の朝。
俺は泣きながら許しを請い、マッサージを受けつつパーシェルのダイヴをトドメに眼を覚ます事になった。
「失礼します、ってあら…」
「おはよ、リーゼ」
リーゼが静かに部屋の扉をノックし、入ってくる。だが残念ながら俺は既に起床済みであった。
「おはようございます。起きていらしたのですね」
「あぁ。パーシェルに危うく殺されかけた。イーリスにもガラスのハートを傷付けられたよ。やはり朝は人間が生きていい時間じゃないんだ…」
「あら…ふふ。まだ寝惚けていらっしゃるようですね。朝はきちんと起きて下さいね。私が毎朝起こしに参りますから」
リーゼに昨晩の泣き腫らした跡はもう無く、いつもの黒髪ロングの別嬪さんに戻っていた。
変化があったのは着ているものにだった。
深く被っていたフードは脱がれ、その見惚れるような黒い髪は、今は外に出している。
だがリーゼは、近々バッサリと切りたいとも言っていた。
「似合ってるよ、リーゼ」
「え?急にどうされました?あぁ、髪ですか。嬉しいです。ありがとうございます」
開かれた窓の傍にいるリーゼは朝日を浴びて、入ってくるそよ風にその黒く長い髪を靡かせている。
きらきらと輝く黒い宝石のようにも見える。
「綺麗だな…。やっぱりその髪は切るのか?」
「ええ、まぁ…はい。この髪はご主人様が作ってくれた私の自慢の髪です。でも、ご主人様や御姉様たち、妹達にも迷惑をかけました。髪を切るのはそのけじめです」
けじめ…か。
NPCだったリーゼ達がここまで自分で考え、動き、何かを成し遂げようとしてくれる。俺はその意志のある言動に改めて感動を覚える。
だが、なぁ…。
「リーゼのその髪、気に入っているんだけどなぁ…」
「そう…ですよね。ご主人様好みに設定された髪型…ぁ」
「ん?どうした?」
リーゼは何かを閃いた!と言わんばかりに満面の笑みで迫ってくる。
「ご主人様ご主人様!」
「お、おぉ?どうした?」
「私の髪を貰って下さい!」
「………は?」
「私の髪でアクセサリーを作ってご主人様が装備するのです!!きっといろんな能力が上がりますよ!」
………は?
「ごめん。よく分からないな…」
「えへへ。これで本当の意味で片時も離れなくて済みますね!私はご主人様に秘書に任命されましたが、昨晩リットお姉様に諜報の強化と防諜の任も与えられましたからね。中々片時もお側に控えているのは難しいですからね!まぁ、それも時間の問題ですがっ!」
「そ、そうだな?」
「ですから!私が居ない時でも私の代わりになる物を置いておけば、私の代わりになります!どうぞ、夜のお供にもご使用下さい!」
「よ、夜のお供?」
「えへ。それじゃあ早速パーシェル姉様に言って髪もバッサリ切ってきますね!少々お待ち下さいね!!」
いろいと謎で危ない発言を残し、リーゼは見たこともない速さで部屋を出て行こうとする。お前INT極振りの筈だろ…。
その後、なんとかリーゼを押し留め、後日に断髪する事が決まった。
結果、一番キャラ崩壊していたのはリーゼだった。
「ご主人様、村人の生き残り代表、メイ様がご主人様との会談を希望されていますが、如何致しましょう?」
自室で欠伸をしながら計画書に目を通していると、後ろに控えていたマロンから突然尋ねられる。かれこれ2時間は黙って後ろに控えていたので、マロンの声に少し驚きながらも振り向く。
本日の俺付きのメイド、マロンである。マロンの種族はエルフで耳が長く、薄い色素の金色の髪を持つ少女。髪を両サイドで結ってあって、お淑やかな雰囲気を感じさせている。服装は当たり前だが地味目のメイド服だ。そのマロンが通称"メイドネットワーク"を駆使してツインから連絡を貰ったようだ。
秘書になったリーゼは今、会議室で新たな諜報ネットワーク網をリーズリットと話し合っている。
「ん?もうか?早くないか?」
俺と話がしたいと言うことは、村人雇用計画の話だろう。昨日はツインをメイに付けて生き残りの間で話し合いをさせた筈。
ツインからこちらになんの連絡も来ていないし、朝も俺の部屋へ朝食を持ってきたのはリリルだった。
「どうやら昨日の午前中に女性達の意見は纏まったようですが、子供達の意見が纏まらなかったようでして…」
「ん?子供達が?何故だ…?」
確か一昨日の夜に話し合った時に、子供達の待遇も提案してやった筈だが…。
「如何されます?」
「んー。お前たちメイドを通して会話をすると業務に支障を来すな。いいよ。ここへ呼んで貰えるか?」
今、会議室は使えないからな。第三者には見せられない書類もわんさかの筈だ。
「畏まりました。では早速お呼び致します」
「あぁ。すまんが頼む」
このメイとの話し合いが後に、この異世界の情勢を大きく変えることになる切っ掛けとなる。
それをまだ知らないカナタは、呑気にも昼食何かな?としか考えていなかった。
少しだけ平和な期間が続くのじゃ!(‘、3_ヽ)_
ちょっぴり誤字していた箇所を訂正。2時間くらいで書き上げたからね。仕方ないね♂
他にもあったらごめんね三( ε:)




