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22.「信頼を向けるのは誰でもない。民だ」

「ルーティにはこの服、似合わないわねぇ」




「似合うとすればメル兄様ぐらいですよ」




「何を言ってるの、ルーチェも似合うからね?」




「…これ、仮にも喪服。喪服が似合うとかヤだ」




「メルキゼデク様に言ってる辺り矛盾してるわ」




「それはそれ、これはこれ。イゼベル姉上、もしよろしければアマルティア様を抱いてお風呂に入りませんか?」





「…ルーチェ、疑問符が付いているように見えるけど実は肯定してるわよね?」




「いえ?ちゃぁんと、選択肢にしてありますよ」




本当かしら、とイゼベル姉上は呟きながらもアマルティア様を抱き上げて私が倒れていた風呂場へと姿を消した。イゼベル姉上、軽々と抱き上げて行ったよ…。その間に私はイゼベル姉上が準備してくださっていた服などをお風呂から上がったらすぐに着替えれるように用意する。





そして、アマルティア様を着付けるのはイゼベル姉上の担当だ。私はアマルティア様の綺麗な御髪を整え、素の良さが崩れない様に化粧を施していく。






「あぁ、綺麗になったわぁ」





恍惚としたイゼベル姉上の言葉に私も同意するように頷く。綺麗に、美しく、幼さが消えたアマルティア様の顔を見つめて――準備が終わった。会議室までイゼベル姉上が抱き上げていくことになっている。





私が抱えて行っても良いのだが、先ほど倒れたこともありイゼベル姉上が甘えろということで今回は有り難く身を引いた。





「それでは、参りましょうか」





「そうね。もう少しすればメルキゼデク様たちも到着するだろうし、アシュルとシェザードはもう城に入って来ているわね」




「そうでしたか…。では少々、急がなければなりませんね」




「メルキゼデク様やレイヴァール様もお気づきになっている筈だし、ルーチェも準備しなさいな」





「はぁい」





イゼベル姉上は自分の黒髪を綺麗に結いあげて、鈴の音を奏でる簪を付けていた。チャイナ服とよく似た黒生地に金糸の服を着ている。それがまた似合うこと…。大人の色気を、これでもかと感じさせられる。羨ましい、その色気どうやって培ったんだろう。





私が着るのは、ベトナムの民族衣装であるアオザイだ。まぁ、作ったのはエノクの裁縫師だけど。アオザイ最高。前世の私が、各国の民族衣装の中でこよなく愛してきた民族衣装がアオザイになる。愛刀を賜る時に一緒に作ってくれて、着るのは2度目となる。戴名式の時と、今。






「いつ見ても似合うわねぇ、その衣装」




「裁縫師絶賛の自慢の一品ですから」





黒い生地に描かれた金色の水蓮の花。背中に水蓮を背負い、足元や前側には長い蔦と蝶が刺繍されている。





水蓮の花言葉は信頼。





私の信頼は、国に、民に寄せている。




それを見せる為に刺繍してもらったのだ。





黒髪を頭の高い所で鈴の着いた紐で結いあげる。りん、りん、りん。鈴の清らかな音がイゼベル姉上の鈴と二重奏を奏でる。





ちょっと煩いかな?そんなに大胆な動きをするつもりがないから付けたけど、煩かったら外してしまえば良いか。





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