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21.「願わくば安寧たる眠りを」

「皇帝陛下に向かって、その口の利き方は何だ!!」




「これが最終ね。出て行きなさい」




「イゼベル、そう怒るな。お前の言い方も悪いぞ」




「カイル!」




「お前等レイヴァール様は兎も角、メルキゼデク様を待たせるようなことがあってみろ?一体、何を言われるか分かったものじゃないんだぞ」




「…そうね、メルキゼデク様の説教は長いものね。直ぐに支度して、ルーティをエノクの王女にするわ」





カイル兄上、流石です。イゼベル様のお気に入りっていう立場を上手く利用してますよね!というのも、イゼベル姉上はカイル兄上のことが大好きなんです。多分、どっちの目でも見れますよね。弟子っていう目と愛しい人っていう目で。






カイル兄上、そこそこ若い方なんだけどなぁー。歳の差は気にしないの、そうイゼベル姉上が言ってた。






「それじゃあ、ルーティのことは任せたよ。こっちはこっちで話しを付けておくから」





「お願いね、グレイアス」





「イゼベル姉上に言われると、頑張らなきゃね」






グリフォンの貴方が言うと、お話しが怖くて仕方がないのは私だけだろうか?頭の回転が早そうな海燕殿でも、グレイアス兄上なら呆気なく言い包めることが出来そうだ。末恐ろしい。






「グレイアス、オリアスク、行くぞ」





「カイルってば、何だかすごぉーく機嫌が悪いねぇ」






「ふん、そりゃ悪くなるさ。早く、早くぶっ潰してぇなァ」






「素が出て来ちゃってるよ、カイル」






カイル兄上、グレイアス兄上、オリアスク兄上は同じ年に怪物になったから仲が良い。しかも彼等3人とも同い年。それに加えて、1年に3人も怪物を輩出したのはこの時だけだったみたいだ。






その後に続いた4年前の私が、最後の怪物だし。空白の期間はおよそ10年だっけ。カイル兄上たちは20歳で戴名だったとか。







カイル兄上もグレイアス兄上もオリアスク兄上も30歳代。私の両親である、アシュルとシェザードは50歳代。まだまだ現役可能な年代だ。メルキゼデク兄上やレイヴァール兄上、イゼベル姉上は論外とするけど。







出て行く男たちの背中を見届けて、私とイゼベル姉上はメル兄様が国境を超えるまで寝続けるアマルティア様の身支度を始めた。アマルティア様、眠り続けたから痩せ細ったなぁー。






眠った少女にエノクの伝統的な服を着させる。色は黒と金。黒い生地に金糸の刺繍が施されたものだ。和服と中華服の間の様なモノを考えてくれたらいい。ただ、この服は正装でありながらも喪服でもある。






死を悼み、安寧を願い、転生を望む。





そんな意味の込められた服だ。





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