二十八話 エピローグ
俺は駅ホームにいた、ルキナス市場をそっから見ていた。朝日がやや登り、始発の列車が止まる。
車内からシエルが降りてくると俺に気がつく。
「あ、先生」
「墓参り? 」
「あはは……うんそうだよ。私ねあの日感情的になって、先生に酷いこと言ったから謝ろうって悩んでた」
「別に気にしてない、すっごくね」
「気にしまくってるじゃん……。それでなんで先生はここに?」
「色々とな」
「せっかくですし、一緒に墓参りしよ?」
「そうだな」
シエルと共にルキナス市場へ行き、一枚扉の前に花を添えて拝んだ。
「今日は命日、私はずっと……独りだと思ってた。けど、私には仲間がいる。 ずっと恐れていたのかな……誰かを失うのを」
シエルがそんなふうにどことなくスッキリした様に言った。俺は父からの伝言をシエルに伝えた。
「え? またまた……先生、お父さんは既に亡くなってるよ?」
信じてもらえてないようだ、まぁ確かにだけど……証拠は貰ってきてた。
ポケットから一つの装飾を取り出した、それをシエルに見せると驚いた。
「あ、これ……! お父さんにあげた、ネックレス……! お母さんと一緒に作った装飾……!? 先生なんでこれを!?」
「過去に行った証拠品、お父さんから預かってたんだ。これがシエルのお守りになればって」
「あ……先生……胸を貸してください」
「いいぞ」
俺の胸でシエルは泣いた、ずっと一人で孤独を抱えてたんだ。数分後、泣き止んだシエルは枯れた噴水にあるベンチに座る。
「恥ずかしい……私、一生の不覚」
「まぁそんなことあってもいい」
「良くないです! あ、先生……思い出したことあった」
「ん?」
「何故、先生が気になるのか……。言えないけど、いつか言えたらいいかな」
「なんだそりゃ?」
「乙女の秘密事項です! 」
その顔はいつも通りのシエルだった。
そして、ルキナス市場を思い出混じりながらシエルは教えてくれた。
時間はあっという間で日差しが真上に到達。
昼頃に再び列車が着く……。通常タイプとは異なる構造である。
「やぁ、こんにちは。 カイトくん」
「貴方は……イルビナ!?」
「ふむ、まさか生徒と二人っきりとは。隅に置けないね」
「ち、違いますから!! 今日命日だからお墓参りです!! 変な勘違いしないでください!!」
「シエルちゃん、ようやく吹っ切れたみたいだね。さて、そろそろ話しとかなきゃならないことがあるから……乗車してくれ」
皇族専用車両車、内部はかなり豪華である。
だけど、モニターは戦線……生々しい布陣映像だ。
「さて、私が話ときたいのは……。愛の教団さ」
「愛の教団ってあのキモイ人?」
「シエルちゃん、ああいうタイプ好き?」
「無理無理無理無理!! あれは、変態の極みすぎます!!」
「あはは、だろうねぇ? ふむ、実を言うと……近々帝国軍が廃墟都市へ乗り込むつもりなのさ」
俺は冷や汗が滲んだ、なぜならそこにアリア……燦がいるかのうせいがあるからだ。
このタイミングで踏み切ってくる帝国軍、一体どうゆうつもりだ?
「カイトくん、君がなぜ廃墟都市に行かない理由を僕が答えよう。君は恐れてるんだね?」
「ーーー!!?」
「事情は把握済みさ、君が好きだった子がいるかもしれない。だけど、踏み切らないのは……。生きている可能性がないからだよね?」
アネモスを救ってカールドを倒して数日後の話だ。
一通の電話が俺の動力携帯を鳴らした。
手に取り「はい」っと耳に当てて応答すると「久しいなカイト」っとエルドの声だった。
「なに? お前ついに目覚めたのか? 俺、電話教えた覚えないぞ」
「な、何を言う!? い、今はそれより……アリアの行方の話だ」
「……聞かせてくれ」
「あぁ、アリアは確かに貴族に抗って廃墟都市送り。追放生徒って前言ったのわかるか?」
「わかるぞ」
「その後、さらに調べたんだ。それで衝撃受けてな……アリアって奴は殺された。愛の教団によってな」
俺は手が震えた、全身から力が抜けた。
絶望感が俺の心を蝕む、後悔してまた……失うのか? その言葉だけが脳内ぐるぐると回る。
「カイト? 大丈夫か?」
「だ、大丈夫だ……」
「それで、あるダイレクトメッセージが発見された。"私が死んでも自分を恨まないで、憎しみに負けないで……。この言葉の意味が君ならきっとわかる。さよなら'ってな」
俺はその言葉の意味を理解する、燦が必ず俺の気持ちを察して……暴動にさせない為の言葉。
けど、それだけじゃダメなんだ……。あいつを守れる強さがないとまた……繰り返す。
そんな強い後悔がしがらみとなる、結果イルビナに言われたのはごもっともだ。
シエルは俺を気にかけてなんだか視線を向ける、何かを言わなきゃな。
「そうです、イルビナさんの言う通りです。今の俺のメンタルはズタズタで引きちぎられた服のようにな。けど、俺には……生徒がいる」
悩んでる姿を誰にも見せない、自分だけで留める。
俺の悪さでもある、けどこうしなきゃ俺は俺じゃなくなるぐらい……苦しい。
「無理しちゃだめだカイトくん、もう限界が来てるはず、愛の教団はその心理状態では勝てない」
「ですが……。そうしなきゃきっと俺はまた自分に呪ったように後悔します」
いつもそうだ、なにかあと一歩言葉が足りない。
俺に何かが足りないならきっと……共感。
変な真面目が今のように一方的な好意はキモイだろうな。そんなのわかってるんだ…………。
「気持ちだけ先走らない、それが君の悪さだ。ただ、君に知らせがある。朗報か悲報かは分からない」
イルビナは言い出しずらそうに口にする。
「なんですか? 聞かせてください……」
「アリアの遺体さ、見つかってない」
俺は何かが止まったように思考は停止する。
死んでない…………? ならなんで、優先を間違えたんだ? そんなはずは……。受け入れられない。
「墓いじりをしたのさ、死んでるはずだけど。遺体が無いとなると……意図的誰かが回収した説ある」
「ちょっと待ってくれ! 何が、どうなってんだ……? 死んでるとか生きてるとか……なに? 俺をそんな弄んで楽しいのか……?」
思考は混乱、理解不能だった。
俺は元カノを救う為に来た、けど死んでた事実。
それがひっくり返ったんだ。感情的にならないわけないんだ。
「カイトくん冷静に……」
「なれるか!」
「!?」
「死ぬ気でこっちは、色んな苦痛を耐えたんだ! なのにだ、ふさげてる…………」
俺はついに限界が来た、三人目救ったのに………。
心がざわつく、くそっ…………。
内なる何かが騒いでる、誰かを殺せじゃない。
これは……………………?!
砂嵐が視界を映し出した、何が起きたか分からない。気が付けば暗い部屋で俺一人ポカーンっと立っていた。
次回から間章が1話入ります。
あるキャラに触れて描かれてますのでよろしくお願いします。




