入院生活は本当にダルい
今日で入院してから4日がたつ。ダルかった体も大分回復してきて、気分はいい。
あの事があってから、雪野木は毎日私の病室へ見舞いに来る。両親やお兄様は私に過保護気味なため、忙しいはずなのに毎日誰かしら来るのだ。
今まで私は家族を遠ざけていたのに、私の家族はずっと離れないでくれていた。でも、まだ家族に言えていないことは沢山ある。それは少し落ち着いてから改めて言おうと思った。
めんどくさいとかダルいとかを私が言わなくなる気配は今はなさそうだ。入院生活は本当にダルい。
見舞いに来てくれるときはまだいいんだけど、それ以外の時が暇すぎる。
昔、家で過ごしていたときは本があったから暇をしのぐ事ができたけど、病院では本もなくて暇。いや、本はあるのだ。だだ、早く読み終えてしまって暇なだけで。
あ~~~暇。
でももう少しだと思うのだ。これは退院がとか言うわけではなく、“彼女”が現れるのが、だけど。
多分彼女はクラスメートのお見舞いと称して私に会いに来るだろう。4日目位が丁度いいと思っているだろう。
彼女と会うのは気が重いけど、まあ退屈しのぎにはなるだろう。…次はどのような綺麗事が浴びせられるのだろうか。
今日はまだ雪野木は来ていないし、凄い暇なのだ。病人というのはめんどくさい。
今日来たのはお兄様くらいだろう。本を十冊くれたけど、もう読んでしまって暇。
雪野木、本とか持ってきてくれないかな。
随分と彼と仲良くなったと思う。まだ知り合って日も浅いのに。昔から仲が良かったんじゃないかと錯覚してしまうくらい気があったと思う。
テレビでも見ようかな。
そう私が思っていたときにドアが開いた。誰だろう。雪野木?それとも彼女?
そうウキウキしながらドアを見ると、私の予想は外れ。
正解はどちらも、だった。
「鈴野、今日も見舞いに来たぞ。調子はどうだ?」
「昨日よりも随分とよくなりました」
「あの…亜莎紀さん?入院したって聞いてお見舞いに来たの。体の調子が悪かったのかしら」
「こいつ、入れて大丈夫なのか?」
本人を前にしてそんなことが言える彼にある意味尊敬する。
彼女もニコニコ笑顔を崩さぬまま「いつの間にヒロインと碧斗様が…私の一番の推しなのに…羨ましい…」と小声でぼそぼそと言っていた。彼女の推しは雪野木だったのか。
どうでもいいけど。
「それより、本を持ってきたぞ。どうせもう読み終ったんだろ?二十冊持ってきたんだ。凄く重かった」
さすが雪野木。分かってらっしゃる。雪野木に貸してもらった本二十冊は後で読もう。彼の選んでくる本はどれも面白いから。
「ありがとうございます。いつも助かってます」
「あの、お二人は仲がよろしいのですか?」
「そうだが、それがどうしたんだ?と言うかもう鈴野の顔は見ただろう。帰ったらどうだ?」
雪野木の辛口なコメントに彼女の口の端がピクピクしていた。
彼の言うことに反対ではないけど私は彼女に言っておきたいことがあるんだった。
「その前に、私の話を聞いてくれない?」
「へ?」
私のいきなりの発言に彼女の顔が少し間抜けな感じになっていた。面白くなくもない。
「私、貴方の周りにいる人たちからいじめられていたんですよ。」
「えっ!知らな」
「黙ってろ」
「貴女は私の体が弱くなくなって普通になったと思ってるみたいだけど、私、まだ治っていないんです。でも、いじめられてもどうでもよかったんです。前までは。雪野木君に会ってからそれが間違いだと気づきました。これからは手なんて抜いたりせず本気で頑張ってみようと思います。」
なんで私がこんな発言をしたのか、と思っているかもしれないけど、これは宣戦布告なのだ。
私は彼女を敵と見なした。多分私が悪で彼女が正義だろう。
でも悪は悪なりの考えがあると言うのを分からせてあげたい。人は誰もが綺麗な考えを持っている訳じゃなくて、綺麗な考えが正解だとは限らないということも教えてあげたい。
そして、今まで本気を出して来なかった私がどれ程の人だったかと言うのをわからせてやりたい。
私には強くて頼もしい味方がついているし、沢山の敵がいたとしてもかまわない。
「でも私、貴女とはやっぱり友達にはなれません。私は貴女が嫌いです。そして、貴女は私の敵です。私を敵にまわしたことと、私を本気にさせてしまったこと、後悔したって遅いですよ?」
「え……亜莎紀…さん?」
「ははっ、さすが鈴野だな」
その時の私の笑顔は、満面の笑みだったと言う。
お読み頂きありがとうございます。現実世界(恋愛)にて日間ランキング25位を獲得しました!多分まぐれだと思いますが……これも皆様のお陰です。これからも頑張ります!




