第56話:女性たちの助言
深夜一時。
港区の静まり返った住宅街、デザイナーズマンション402号室。
薄暗い寝室の中、槇原紬は、ベッドの真ん中で厚手の羽毛布団と毛布を頭のてっぺんまで引き上げ、膝を胸の前に抱え込んで小さく丸まっていた。
部屋の明かりはすべて消してある。
パノラマウィンドウの遮光カーテンの隙間から、冷たく冴え返った冬の月光が一筋だけ差し込み、フローリングの床を白く照らしていた。
静かだった。
外界の車の音も、風のざわめきも届かない、完璧な静寂。
けれど――その静けさは、かつて紬が「今日も東京は平和だな」と無邪気に愛していた温かな静寂とは、似ても似つかないものだった。
「…………っ」
布団の中で、紬は自らのパジャマの胸元をぎゅっと握りしめた。
脳裏に焼き付いて離れない、あの六本木のプレジデンシャル・スイートの光景。
壁一面の巨大モニターに映し出されていた、自分の生活のすべて。
通信ログ、心拍数、体温、防犯カメラの映像、そして「害虫排除」と名付けられた数々のファイルの山。
そして――大理石の冷たい床の上で、泥にまみれ、プライドをかなぐり捨てて平伏していた四人の男たち。
『私を軽蔑してくれて構わない……だが頼む、視界から私を消さないでくれ……!』
『ごめんなさい、紬さん……嫌いにならないで……!』
『君の記憶から、僕を消し去らないでおくれ……!』
『命だけは、お前を守るために使わせてくれ……』
あんなに立派で、社会的にも成功していて、誰もが憧れるようなハイスペックな男たちが。
一人の平凡な女性編集者である自分の足元で、子供のように泣きじゃくり、震えながら許しを乞うていた。
その姿を思い出すたびに、胸の奥が張り裂けそうなほど激しく痛んだ。
(……なんでよ)
紬の目から、再び熱い涙がポロポロと溢れ出し、シーツに染み込んでいく。
(なんで……あんなことするのよ。なんであんなに一人で苦しんで、血を流してまで……私の顔色を伺ってビクビク怯えてたのよ……)
裏切られた悔しさ。
お人形のようにガラスケースの中で飼い殺されていたことへの怒り。
けれど、それと同じくらい――いや、それ以上に紬の心をぐちゃぐちゃにかき乱していたのは、自分に向けられていたあの男たちの、あまりにも歪で、あまりにも重たく、そして痛々しいほど純粋な「狂気」の正体だった。
その時だった。
ピーンポーン、ピーンポーン、ピーンポーン!
真夜中の静寂を暴力的に切り裂いて、玄関のインターホンがけたたましく連打された。
「ひゃいっ!?」
紬はビクッと肩を跳ね上がらせ、布団から顔を出した。
時計の針は深夜一時十五分を回っている。
まさか――男たちか?
鷹見副社長か、成瀬くんか、保科先生か、それともお隣の梶原さんか。
あの狂人たちが、我慢できずにドアを蹴破りに来たのかと、紬の全身の毛穴がキュッと引き締まる。
しかし――インターホンの受話器のスピーカーから、ドンドンとドアを叩く音とともに響いてきたのは、ドスの利いた、けれど最高に聞き覚えのある女性の怒声だった。
『おーい! 紬、開けなさーい!! あんたが毛布にくるまってメソメソ泣いてるのは百も承知よ!!』
『紬、鍵開けて。寒空の下で女三人を立ち往生させる気? ルブタンのヒールが凍りつきそうだわ』
『紬様。オートロックの非常解錠キーは副社長室の権限で突破いたしました。……速やかに開扉をお願い申し上げます』
「え……?」
紬がポカンと口を開ける。
関茉莉花。
日下部莉緒。
佐伯千冬。
スリッパも履かずにベッドから転がり出た紬が、恐る恐る玄関のドアチェーンをかけたまま扉を細く開けると、そこには――
近所の二十四時間営業のスーパーとコンビニの巨大なレジ袋を、両手にこれでもかとぶら下げた三人の美女たちが、仁王立ちしていた。
◇
「ほら、チェーン外しなさい! 重いんだから!」
茉莉花が強引に靴を脱ぎ捨てて上がり込んできた。
続いて、コートを優雅に脱ぎ散らかした莉緒と、スーツのジャケットのボタンを外してネクタイ(スカーフ)を緩めた千冬が、当たり前のような顔をしてリビングへと雪崩れ込んでくる。
「せ、先輩!? 莉緒ちゃん、千冬さんまで……な、なんで……!?」
呆然とする紬を完全に無視して、茉莉花はリビングのローテーブルの上に、ガサガサとレジ袋の中身をぶちまけた。
テーブルの上に広がるのは――
キンキンに冷えたプレミアムモルツのロング缶が十本、ストロング系缶チューハイが六本、ポテトチップス、ピザポテト、激辛カラムーチョ、デパ地下の焼き鳥盛り合わせ、カマンベールチーズ、ミックスナッツ、そしてなぜか大容量のティッシュペーパー三箱。
「なんでって、決まってるでしょ!」
茉莉花は腕をまくり、缶ビールのプルタブをパキィンッと威勢のいい音を立てて開けた。
「紬、飲むわよ! 今日は朝まで付き合うから!!」
「ええええええっ!?」
「当たり前でしょ」
莉緒はすでにソファの特等席を占領し、手際よく缶チューハイをグラスに注ぎながら、ふっと妖艶に笑った。
「あんな修羅場をくぐり抜けて、しかもあの大財閥の若き総帥の横面を力いっぱい張り倒したのよ? そんな歴史的快挙を成し遂げた女を、一人で部屋で泣かせておくわけないじゃない。……はい、紬の分のビール」
「あ、ありがとう……って、そうじゃなくて!」
紬がおろおろと缶を受け取ると、千冬がすたすたとキッチンへ向かい、食器棚からグラスを人数分取り出して戻ってきた。
「紬様。副社長、成瀬さん、保科先生、梶原さんの四名には、現在ホテル最上階のスイートルームにて、明朝八時まで【完全外出禁止・監視端末アクセス全面遮断命令】を下して参りました。……今夜、あの男たちがこの部屋の半径一キロ以内に近づくことは物理的に不可能です。安心してお寛ぎください」
「ち、千冬さん……副社長の専属秘書なのに、そこまでして大丈夫なんですか……?」
「構いません。むしろ、日頃の過密労働と理不尽な買収劇に対する、正当な有給休暇の行使でございます」
千冬はポーカーフェイスのまま、ビール缶をカシュッと開けた。
その時――
トントン、と今度は控えめで優しいノックの音が玄関から響いた。
「あら、もう始まってるかしら?」
現れたのは、一階のブックカフェ『月白』の店主・及川志乃だった。
志乃は両手に、ずっしりと重たい鋳物ホーローの特大両手鍋を抱え、ふわりと湯気を立てながら微笑んでいた。
「志乃さんまで!?」
「ふふ、カフェの仕込み用のスープが、ちょうど美味しく煮上がったのよ。……紬ちゃん、泣くにもエネルギーがいるでしょ。温かいものをお腹に入れなさい」
志乃がテーブルの中央に鍋を置き、フタを開けると――
ふわぁぁぁぁ……っ!
冬の夜気を一瞬で吹き飛ばすような、信じられないほど甘く香ばしい香りが部屋いっぱいに広がった。
じっくりと飴色になるまで炒めた玉ねぎと、鶏ガラ、丸ごとのキャベツ、人参、ゴロゴロとしたベーコンを白ワインとローリエでコトコト煮込んだ、志乃特製の具だくさんポトフ。
スープの表面には黄金色の澄んだ脂が浮き、見るからに滋養に満ちあふれていた。
「……うわぁ……」
紬の喉が、思わずゴクリと鳴った。
夕方から何も食べていなかった胃袋が、温かな匂いに反応して小さくキュウと音を立てる。
「ほら、お玉取ってあげるから。紬、食べなさい」
茉莉花が深皿にたっぷりとスープをよそい、スプーンとともに紬の手元へ押し付けた。
「……いただきます」
紬は震える手でスプーンを握り、黄金色のスープを一口、口に運んだ。
ジュワリ。
野菜の自然な甘みと、ベーコンの深いコク、そして隠し味に加えられた生姜の優しい温もりが、冷え切っていた紬の舌の上で優しくほどけていく。
喉を通り、食道を滑り落ち、胃の腑へと届いた瞬間――
カチコチに凍りついていた紬の全身の血管に、じわりと温かな血液が巡り出すのが分かった。
「……おいしい……」
ぽろり、と。
紬の目から、今度は安堵の涙が一粒、スープの表面へと落ちた。
「おいしい……すごく、温かいです……志乃さん……」
「ええ、たくさんお食べ。今夜はね、言いたいことを全部吐き出していいのよ」
志乃は紬の隣に腰を下ろし、その華奢な背中をそっと優しく撫でた。
◇
プシュッ、カシュッ、カンパァァァイ!
缶とグラスがぶつかり合う小気味よい音が響き、前代未聞の【失恋パジャマパーティー】が幕を開けた。
「ぷはーーーーっ!! うまい! 真夜中のビール最高!」
茉莉花がロング缶の半分を一気に煽り、プハッと豪快に息を吐き出した。
「それにしても紬、あんた最高だったわよ! あの鷹見副社長の頬を、パーンッ!!って一発! 私、見ててスカッとしすぎて鳥肌立っちゃったわ!」
「も、もう……先輩、茶化さないでください……」
紬は頬を赤らめ、ポテトチップスを一枚口に放り込んだ。
「私、自分でも何であんなことしちゃったのか分からなくて……手が勝手に動いちゃって……。後から考えたら、あんな大企業の副社長さんを殴るなんて、クビどころか業界追放ですよね……」
「追放されるわけないでしょ」
莉緒が缶チューハイを傾けながら、呆れたように笑った。
「むしろ逆よ。あの男、殴られた瞬間、恍惚とした顔をしてたわよ。『殴られた……! 彼女の手のひらの感触が残っている……!』みたいな目で、赤くなった頬をうっとり触ってたわよ。完全な変態ね」
「ぶっ!!」
紬が吹き出し、千冬が無言でティッシュを差し出す。
「莉緒様の仰る通りです」千冬が淡々と眼鏡を押し上げる。
「副社長は、これまであらゆる人間から阿諛追従と媚びへつらいしか向けられてこなかったお方です。ご自身の理不尽な暴走に対して、正面から怒り、涙を流して平手打ちを食らわせてくださる女性など、人生で初めて巡り会ったのです。……あの平手打ちによって、副社長のあなたに対する忠誠心は、従来の百二十パーセントから【五万パーセント】へと跳ね上がりました」
「五万パーセント!? 増えすぎです千冬さん!!」
紬が頭を抱えると、部屋中にワッと女たちの笑い声が弾けた。
泣いていたはずの夜が、ほんの数十分で、いつもの賑やかで騒がしい日常の延長線へと塗り替えられていく。
◇
しかし――缶ビールの空き缶が何本か転がり、テーブルの上のポトフが半分ほど減った頃。
ふと、店主の志乃が、穏やかな声で切り出した。
「……それで、紬ちゃん。本当のところ、あの子たちのこと……どう思っているの?」
「…………」
その問いかけに、室内の空気がふっと落ち着きを取り戻した。
茉莉花も、莉緒も、千冬も、茶化すのをやめ、静かな眼差しで紬を見つめる。
紬は手元のビール缶の飲み口を見つめ、指先で結露の雫をなぞった。
胸の奥に沈んでいた、一番重たくて、一番言葉にしづらい感情の塊。
沈黙の中、先に口を開いたのは、親友の日下部莉緒だった。
「……あいつら、やり方は最低で狂ってるわ」
莉緒はグラスを置き、苦笑交じりに、けれどどこまでも真剣なトーンで言った。
「盗聴、監視、都市機能の私物化、路地裏の暴力……世間一般の法律と倫理の物差しで測れば、全員が一発でブタ箱行きよ。あんなの、普通の恋愛じゃないわ。異常者の集団防衛よ」
「……うん」紬が小さく頷く。
「でもね、紬」
莉緒は身を乗り出し、紬の目を真っ直ぐに見据えた。
「あのハイスペックな男たちが、自分のプライドも、社会的地位も、何千億の資産も全部かなぐり捨てて……あんたの一挙一動に怯えて、床に額を擦り付けて泣いてたのよ。……あんたに嫌われることだけを怖がって、自分の心臓を差し出す勢いで震えてたのよ」
莉緒は優しく微笑んだ。
「あんなの、狂気だけど……嘘の愛じゃないわ」
「…………っ」
「世の中の男なんてね、大半が保身と見栄の塊よ。ちょっと都合が悪くなれば女のせいにして、逃げ出す生き物なの。……それなのに、あの男たちは、あんたが泣いたというそれだけの理由で、世界を敵に回して、自分たちの身を削ってまで、あんたの笑顔を守ろうとしていた。……手段は最悪に狂ってたけど、あの熱量だけは、紛れもない本物よ」
莉緒の言葉を引き取るように、佐伯千冬が静かに口を開いた。
「副社長は……」
千冬は手帳を膝の上に置き、遠い目をして語り始めた。
「副社長は、あなたに出会うまで、他人に全く興味のない冷血漢でした。人間を単なる『数字』と『リソース』としてしか見ておらず、他人の痛みにも、笑顔にも、何の関心も抱かない……まるで精巧な人工知能のようなお方でした」
千冬は小さく微笑んだ。その鉄の秘書の口元に浮かんだ笑みは、驚くほど温かかった。
「その冷徹な男が……あなたが企画した小さなライフスタイル記事を読んだあの日から、変わったのです。あなたの書く、泥臭くて、温かくて、真面目な言葉に触れ……あなたがオフィスで失敗して落ち込み、それでも笑顔で立ち上がる姿を見て……副社長は、初めて【心】を持ったのです」
「千冬さん……」
「あなたが残業で疲れたと言えば本気で心を痛め、あなたが風邪を引けば仕事も放り出してパニックになり、あなたが笑えば世界を手に入れたように喜ぶ。……副社長は、あなたと出会って、初めて人間になったんです」
「成瀬くんも、保科先生も、梶原さんも同じよ」
茉莉花が、優しく紬の頭をポンポンと叩いた。
「成瀬くんなんて、普段は生意気な天才ハッカーのくせに、あんたにお茶を淹れてもらっただけで手が震えてキーボード落としそうになってたんだからね。保科先生だって、あんたの健康カルテを抱えて胃潰瘍になりかけてたし、お隣の梶原さんなんて、あんたにもらったクッキーの包み紙を金庫に祀って拝んでるらしいじゃない」
「えっ!? 包み紙を金庫に……!?」
「本当よ、志乃さんから聞いたわ」茉莉花が笑う。
志乃がクスリと笑って頷いた。
「ええ。梶原さん、うちのカフェで私にお惣菜の味付けを相談してくる時、いつも耳まで真っ赤にしてたわよ。『塩分濃度は〇・八パーセント以下だ、あいつの血圧に障る』って、真顔でメモを取って帰るの。……あんなに不器用で、一生懸命な男たち、私、長い人生で初めて見たわ」
◇
四人の女性たちから語られる、男たちの真実の姿。
それは、冷酷な支配者などでは決してなかった。
ただ一人の少女の笑顔に救われ、
その笑顔を失うことを何よりも恐れ、
不器用で、過剰で、重たくて、滑稽なまでに必死だった――あまりにも純粋な、四人の信徒たちの姿だった。
ポトフの温かい湯気が、静かに揺れている。
紬は両手で顔を覆い、深く、深く息を吐き出した。
胸の奥で、カチコチに凍りついていた何かが、完全に溶け崩れていくのが分かった。
「……私ね」
紬の口から、ぽつり、ぽつりと、本音の言葉が零れ落ちた。
「私……みんなのことが、嫌いになったわけじゃないんです」
女性陣が、静かに紬を見守る。
「ただ……悔しかったんです。悲しかったんです」
紬は顔を上げ、涙の乾きかけた瞳で、三人を見つめた。
「私は……みんなのことが大好きでした。尊敬できる副社長も、頼りになる成瀬くんも、優しいタカちゃんも、頼もしい梶原さんも……みんな、私の大切な人たちでした。……だからこそ、腹が立ったんです」
紬の拳が、ぎゅっとパジャマの膝の上で握りしめられる。
「なんで……そんなに苦しい思いをして、血を流してまで、一人で全部背負い込んでたんですか。なんで私の前で、あんな情けない顔をして、ビクビク怯えてたんですか……! 私がそんなに、頼りないですか? 私がそんなに、脆いですか?」
紬の瞳に、強い光が宿る。
「私、みんなに守られるだけの、お人形になんてなりたくない。……もし誰かが苦しんでるなら、私が話を聞いてあげたい。もし危険があるなら、一緒に立ち向かいたい。……対等な人間として、目を見て、笑い合いたいんです」
その言葉を聞いた瞬間。
茉莉花が、莉緒が、千冬が、そして志乃が――
心底から誇らしそうに、満面の笑みを咲かせた。
「……やっぱり、あんたは最高の後輩だわ」
茉莉花がビール缶を掲げた。
「そうよ、紬。あんたの言う通りよ! あいつらに守られるんじゃない。あんたがあいつらの手綱を握って、躾けてやるのよ!!」
「ふふ、大賛成ね」莉緒が妖艶に微笑む。
「あいつら、野放しにしておくとまたすぐビルを買収したり、監視カメラを増やしたりする狂人たちよ。……あんたが正面から立ちはだかって、新しいルールを叩き込んでやりなさい」
「はい」千冬も静かに頷いた。
「副社長の手綱を引けるのは、世界であなた一人だけです。……明朝、スイートルームにて、あなたによる【新条約の締結】を強く推奨いたします」
「ええ」志乃が優しく微笑む。「あの子たち、今頃ホテルで、あんたに捨てられたと思って死にそうな顔をして待ってるわよ。……明日、ビシッと言ってやりなさい」
「……はい!」
紬は力強く頷いた。
その顔には、もう迷いも、怯えも、涙の跡もなかった。
真面目で、前向きで、不屈の芯の強さを持った――いつもの、いや、それ以上に強く輝く、槇原紬の笑顔が戻っていた。
「よーし! 決まりね!」
茉莉花がポテトチップスの袋を豪快に開けた。
「明日の朝まで、まだ時間はあるわ! 今夜はとことん飲んで、あいつらの悪口を百個言って、明日あいつらに突きつける【新ルール】の原案をみんなで練り上げるわよ!!」
「「「おーっっ!!」」」
真夜中の402号室に、賑やかな笑い声と乾杯の音が響き渡る。
女たちの温かな絆と、美味しいスープと、心地よいアルコールに包まれて。
傷ついた日常は、完全に再生へと向かっていた。
そして――
翌朝、スイートルームで絶望の淵に沈んでいるであろう四人の狂人たちを待ち受ける、運命の審判の朝が、静かに、けれど確実に近づいていたのだった。




