救援
三人はそのまま追い詰められた。
「おい、お前の魔法でどうにかならないのか?」
デニスがそう言ったがジャンニは首を横に振る。ジャンニの魔法ではこの島から脱出できない。
「仕方ないですね」
ベレッタが目の前の老人を狙う。
「あれを人質にしましょう」
ベレッタがそう言って動こうとしたとき。ベレッタを背後から抑え込もうとした相手がいた。
ベレッタは首を決められる前に腕をとってその相手を投げ飛ばした。
ジャンニはそのまま魔力を魔法にする前段階の力の塊にして投げた。
適当にやったので力加減はほぼ適当だった。
なんだか岩壁が砕けた。
「おい、人間に当たったらどうするんだ」
デニスがそう言ったが、ジャンニは単なる威嚇のつもりだった。
「おとなしく死んでいればいいのに」
そう言って老人の背後から一人の男が現れた。
ジャンニのこめかみに冷たい汗が流れる。魔法を使う人間だからこそわかる。この男かなり魔力が強い。
技術はどうだろうかとジャンニは自分の魔力を再びその手に込めようとした。
その時不意にジャンニの懐から強い光が瞬いた。
その光に自分が目つぶしを食らってジャンニはひっくり返る。
「え?え?」
目をしばしばしながらこすっていると武装した魔導部隊が現れた。
どうやら空間転移してここまで来たようだ。
硬質な金属の額当てをした壮年の男性が右手を水平に上げた。
「制圧せよ」
それからはあっという間だった。
次々とその場にいる人間が拘束されていった。ちょっと前に出てきた魔法使いらしい男は数人がかりで攻撃魔法をたたきつけられてあっという間に昏倒する。
ジャンニは自分の手の中のものをじっと見ていた。
さっきまで全く反応しなかった通信の魔道具である水晶玉をじっと見ていた。
「なんで、このタイミングで都合よく反応してくれるんだろうなあ」
デニスがちょっと青筋を浮かべたジャンニを恐々と見つめる。
「これで助かったんだよな」
ベレッタが二人に近づいてきた。
「さすがにまほう攻撃の流れ弾に当たったらまずいぞ」
「さっきの私らみたいに適当な誰かを人質に取ろうとするかもしれないでしょ」
それはありそうだ。魔導部隊に比べればジャンニはくみしやすいだろう。
苦し紛れによってくる相手がいたらその場で血祭りにあげますよ。と言って、本当に突っ込んできた相手の腕を取りそのまま無造作にへし折った。
「さすがにやりすぎじゃ」
「命を取らないだけ優しいですよねえ」
ベレッタがそう言ってにんまりと笑う。
それが最後の抵抗だったらしくすべてが沈黙していた。
そして、魔導部隊隊長はジャンニに手を差し伸べてきた。
その手を握り返しながらジャンニは小さく言った。
「最初から、盗聴してたんだな」
ジャンニはじっとりとした目でそう言った。対照的に魔導部隊隊長はにんまりと笑う。
「ど畜生が」
音をのせずにジャンニがそう呟くとすべてを察したのか相手は苦笑した。




