海と火山
街につくとジャンニとベレッタは海にデニスは街の中心にと行き場が分かれた。
ジャンニは安堵のため息をつく。
「喧嘩でもしているんですか」
ベレッタがそう尋ねた。
「どうしてそういう判断をしたんだ」
「なんか空気がぎすぎすしているし、喧嘩しているんならさっさと謝ったほうがいいですよ。ご近所さんでもめているといろいろ大変ですし」
「なんで俺が謝る前提なんだよ」
ジャンニのこめかみに青筋が立った。
もとはと言えばこいつが家まで押しかけてきたせいだ。
そこでふと思った。きちんと状況を説明しておいたほうがいいだろうか。こいつは当事者なのにその自覚が全くない。
つまりあの男がお前に一目惚れして俺がお前の男だというとんでもない誤解をしているんだ。
要約すれがそれだけだ。しかしこの話を聞いてこいつはどんな反応をするのだろうか。
怖いもの見たさという気持ちが先に立つ。
「あの、どうしたんですか」
ベレッタは薄気味悪そうにジャンニを見ていた。
「さて、海に向かうぞ」
ジャンニがこれから探すのは魚だ。場合によっては適当な漁船を乗組員ごと仮受けなければならないかもしれない。
本日のお仕事は魚を探すこと。
魚は水晶のように澄んだ魚だという。
「水の中の透明な魚なんてどうやって探すんです?」
ベレッタが眉をしかめた。
「たまに疑問に思うんですけど、これわざわざ税金使ってやるような仕事ですかね」
そう言うベレッタにちょっとひるむ。
ジャンニの仕事が国の役に立つこともたまにある。本当にたまにだ。しかしそういう仕事なので仕方がない。
ジャンニは海に向かう。
海岸はごつごつとした岩場で形成されていた。港は岩場を削って奇麗に整えられていた。
「こっちの海鮮料理はどういうものがあるんですかね」
ベレッタは仕事上唯一の楽しみである料理について聞いてきた。
すでに思考は夕飯に飛んでいるようだった。この辺りはなかなか涼しいので魚介類の揚げ物があるらしいと教えておく。
こういうところを見ればデニスの熱も冷めるんじゃないだろうかと考えたが、こいつは最低限猫を被る程度の頭は持っているらしい。
見たことはないけど。
岩場も状況を調べてみた。岩の性質は模様を見てみたら火山性のもののようだった。
「地図を確認したらどのあたりに火山があるかわかるかな」
「それ何の関係があるんですか?」
「魚じゃない可能性もあるからな」
前回の話を思い出してベレッタは虚ろに笑う。
「大昔の人の見間違いまで考えるんですか。大変なお仕事ですね」
本日の資料は百年前の古文書からだが。やはり極めてあいまいな書き方をしている。




