真相究明
虹色に輝くものは瞬き続けている。そしてくすんだ緑の蝶がその光に近づいた。
それは虹色の蝶だった。そしてくすんだ緑の蝶と虹色の蝶がひらひらと近づきその胴を絡ませた。
虹色の蝶と緑の蝶が近づいたと思ったら絡まりあう。
その中を飛び交う小鳥が蝶をつついて食べ始めた。
飛び交う小鳥の間を縫って二匹の蝶が絡まりあう。
命がけの愛の交歓だった。
そしてジャンニは視線を元に戻す。いつの間にかジャンニの周囲も蝶に覆われていた。
木にもたれたまま口と鼻をハンカチで覆う。
大量の蝶の鱗粉が飛んでいた。
虹色の蝶は次々と落ちていく。どうやら一回交尾を成功させるとそのまま死んでしまうようになっているようだ。
落ちた蝶はその虹色の輝きが一気に褪せそのまま朽ち果てていくのだろう。
ジャンニは懐から小さな枠を取り出した。そして飛んできた蝶が落ちる前にその枠に収めた。枠の中ガラス状のものが満ちてそのまま蝶を閉じ込めた。
虹色の蝶を収めた標本を懐に収めると徐々に蝶が減っていった。
「そろそろ終わるようだな」
そう言って元の場所に戻ることにした。
しばらく歩いていたらジャンニを見つけたベレッタが隠蔽のネックレスを外して姿を現した。
「ご苦労さん、ちゃんととれたか」
ベレッタがそっと先ほど渡された道具をネックレスと一緒に返してきた。
ジャンニが確認してみると空を行く帯のようなものが映っていた。
「まあ、こんなものかな」
思ったよりまともな映像が撮れていたのでジャンニは二つの道具を懐にしまう。
「あのですね、もしかして竜がいないって知っていました?」
ベレッタの言葉にああとジャンニは頷く。
「気が付いたのか?」
「そりゃ気が付きますよ、竜なんてでかいものがいたら相応の音がしますよ、まったくそんな音しませんでしたし、それに竜がよく来るなら木とかへし折れてるんじゃないですか?」
まあ、気が付くかとジャンニは笑う。
「そりゃお前、本当に竜がいるなら俺とお前だけ派遣して終わりってことがあるわけないだろ」
くすくすとジャンニが笑う。明らかにからかわれたと知ってベレッタのこめかみに青筋が浮かぶ。
「それなら最初に行ってくれればいいんじゃ」
「ちょっと考えればわかるのに随分怖がってたな」
にんまりと笑うジャンニにベレッタはギリィと歯を食いしばる。
「人や家畜がやられてないって情報があるだろ、竜がいるなら相応の被害があるはずだ。草食の竜がいるって話は聞いたことがないしなあ」
たまにはいいだろうとベレッタをおちょくっていたジャンニはそのまま街に戻る。
「この仕事どういう意味があったんですか」
「竜がいるっていう話を払しょくするためだ。お前みたいに怖がる人もいるからな。実際は虫の大群だったが。これはこれで観光資源になるんじゃないか、街の人間も竜なのかそれとも違うのか確かめたいがもし竜だったらというので二の足を踏んでいたし、これで安心だろう?」
この辺りの人民の心の平安のためと言われればベレッタも何も言えない。
「まあ、竜の新種なんて国内じゃまず無理だ、あいつらはとにかくでかいからな」
「そうですか」
ベレッタは怒りすぎてむしろ平坦になっていた。
「もし竜の新種が出たら好きなもんおごってやるよ」
その言葉にベレッタは唇を引きつらせながらうなずいた。
「その時はぜひお願いします」




