第二十七話 空論に近い現実論・中編
「有り得るのかそれ」
「有り得るから逃げれてるんだよね?」
「まぁそうか」
藍沢先生も疑問には思ったみたいだけど、布袋さんの発言にすぐ納得の声を返す。前例はない、けれどその仮定を肯定しなければ成立しない状況だ。どんな人なんだろう、ユウヒさんのマスターと言うことだけは知っているけれど。
「無茶苦茶してるから栄養失調?」
「知らん。魔術が肉体に影響を及ぼすとは聞かないが」
「まぁそうね、肉体に影響を及ぼす魔術はあるけど、副産物でそうなるとはあんまり聞かないかも。詳しいことは分からないけどさ」
「その辺はレンリに聞いた方が確実か」
「うん」
「仮にその魔術が場所単位で実行されている場合、解析すればどうにか……?」
「それやると魔力濃度の維持がなぁ……いや本当、どうやってるんだろうね該当のエリアは」
あちらを立てればこちらが立たず。布袋さんでも難易度が高いとなると俺や藍沢先生じゃ見当もつかない。試しに、といって作られた空間を覗き込めば魔力濃度が違う小さな箱庭がいくつも見えた。
「これは……」
「魔力濃度をちょっとずついじって、安定するか見てる」
「進捗は?」
「やっぱり上げると不安定になるのはどうしようもないね。だから魔力充填した素材で作ろうかと思ったんだけど……劣化が」
「ああ……」
「レンリは何も言ってないのか?」
「今別の検証してもらってるー」
ちゃんと巻き込まれてるんだなレンリさん。重戦闘区域で魔術に詳しい職員、となると巻き込まれるのもやむなしという感じではあるけれど。続けて雪代さん達も別の検証をしている、といわれたので魔術の心得がある人全員に何か検証を依頼しているみたいだった。
「ねぇ藍沢、記憶がないことは分かってる上で聞くんだけど、特性遮断区域のどの辺、とかは全く分からないの?」
「分からん」
「即答……」
「が、ヒントはある」
「どういうこと?」
「入江、この日誌を見てくれ」
「あ、はい」
藍沢先生に促されるままに日誌を見る。若干ノイズが掛かってるけど……情報自体は読めるな。多分場所を探ってほしいんだろうと判断して目を細める。
「――――…………見えます、はい」
「地図いる?」
「はい。ちょっと待ってくださいね……」
間違えないように慎重に、いくつかの候補をピックアップしつつ確実に数を減らしていく。確信を持って場所を指定できないのはちょっと痛いけど……どうにか二か所まで絞り込めたな。
「これは……」
「……」
示された二か所をみた二人が言葉を失う。数秒顔を見合わせたかと思うと、黙ったままアランさんに連絡を取った。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
面白かったらブクマや高評価お願いします。喜びます。




