20-26 空論に近い現実論・前編
「特性遮断区域全域が魔力濃度高い訳じゃないからなぁ……魔力濃度上限ってどの辺に設定すればいいんだろ?」
「高ければ高いほどいいだろ」
「そういう訳にもいかないんだよ。あんまり濃度上げると魔力爆発が起きるし」
「そういうもんか」
「そういうもんなの」
いくら藍沢先生が強いと言っても魔術とか布袋さんが行う方向性の技術は専門外。かくいう俺も何一つ詳しくはないんだけど……一応保険としていてほしい、と布袋さんに頼まれて工房に滞在してる。
「藍沢が失神するレベルとなるとかなり濃度としては高いんだろうけど……うーんリソース問題もあるかな……重戦闘区域内で実行するとなると競合も心配だし……」
「競合?どこと」
「ゆっきーだね」
「雪代さんと?」
「うん。ゆっきーの魔力源はシンとその辺の魔力だまりだからさぁ」
雪代さんは魔術を使うから魔力を集めているとその魔力を利用してしまう、ということかな。……魔力源の一つにシンさんがいるのは何なんだろう、シンさんの魔力も利用出来るってこと?
「入江くん入江くん、ちょっとこれ見てほしいんだけど」
「あ、はい」
布袋さんに呼ばれて足早に近付いていく。なにやら半透明な液体に漬けられていた金属片を二つ見せられた。
「これ、違い分かるかな」
「ええと……?」
世界視にはどちらも魔力充填済、と書かれている。多分詳細が違うんだろうと判断してもう少し集中すれば……充填率と魔力提供者が見えた。
「これ……こっちの方が充填率は高いですね。でも劣化しやすいのもこっちです」
「やっぱそうなるかぁ。自然回復は?」
「術式が刻まれてないので恐らくは……」
「うーん……そうなると直に刻んだ方が安定性がある?でもそうするとかなり手間というか目立つ……」
「目立つと問題が?」
「簡単にいうとね、上位存在に気付かれる」
「そもそも目をつけられているのでは……?」
「いやぁ、仮にそうだとしても現在進行形で異常が起きてないってことは、何らかの隠蔽工作がされてるっぽいんだよね」
それもそうだ。その隠蔽工作が場所なのか人なのかによっても話が変わってくるが、どちらにせよ場所として目立ってしまうと何の意味もない。揃って黙り込んだ俺と藍沢先生には構わず布袋さんはひたすら改善案を考えている。
「……そもそも、連れ出した時点で目をつけられるんじゃねえのか?」
「どうだろ……移動がトリガーになる可能性は高いけど、栄養失調ってことは普通に活動はしてる訳じゃん?その場合本当に――――何らかの方法で認識を阻害してると思うんだよね」
上位存在を欺ける認識阻害って……かなり高度なものじゃないか?
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