第十七話 正体を問い、詳細を問う・後編
「あの……それについて、少し良いですか?」
「ユウヒ?」
「んい?」
ユウヒが控えめに手を上げれば、アランさんとテオは揃って視線を向ける。俺も視線を向けたことで室内の視線が集中したことを把握したんだろう、若干ユウヒは視線を泳がせる。
「その……実は、皇さんがマスターと知り合いというよりは……いや多分知り合いではあると思うんですけど、それよりも……スミレ、さんが」
「……スミレ?」
「……?」
思ってもない発言が飛んできたな。俺だけじゃなく、スミレも知り合い?……そもそもスミレは俺がここに来てから出会ったはずなんだが。
「それは……一体どういう」
「ぷあー!!!!!!」
「わぁびっくりした」
アランさんが問い掛けた瞬間、急に大声が聞こえて全員固まる。流石にスミレも驚いたのかのっそりと起きて来たな、一番近くにいたテオが声の主……アルカを抱え上げる。
「どうしたんですかアルカさん。というかいつからここに」
「ぷあ、ぷーわ!」
「何やら……ご機嫌斜めですね?」
「ぴー…………」
ミライさんに何かあったんだろうか、アランさんは手短に青藍さんへと連絡を飛ばし、魔術部門が平穏であるかを確認する。ユウヒだけは見えていないのかうろうろと視線を彷徨わせている。
「いつの間に来たんだ……?」
「ついさっき入って来てた。よくあることだしいいか、と」
「よくはないだろうよくは」
「(うとうと)」
声の主がアルカであり、そのアルカもテオに宥められ落ち着いてきたことを確認したのかスミレは既に二度寝の体勢に入っている。一応スミレの話もしているので起きていてほしいんだが……無理そうだな。
「ミライさんと連絡取れました。すぐにこちらに来るそうです」
「やっぱり無断だったんですねぇ」
「なんだか……対応に慣れが見えるんですけど」
「まぁ、よくあることなので……」
「どうやって来てるんでしょうねぇアルカちゃん。明らかに扉とか手が届かないのに」
「(ぐすぐす)」
未だに若干だがむずがるようにテオに顔を押し付けているアルカ。明らかに叫んだタイミングがおかしかったんだが……アルカもまた何かを知っているんだろうか、どうしたってスミレも関係がある、というユウヒの発言が引っ掛かって思考を惑わせる。
「ユウヒ」
「え、はい」
「スミレも関係があるというのは…………遣霊だから、か?」
「…………それも、一理あります」
全てではない、のか。ただ、とユウヒは一度言葉を切った後、スミレをちらりと見てから続ける。
「俺もちゃんと覚えている訳じゃないし、多分記憶があっても確信を持てるような情報は持ってなかったとは思います。……ただ、確実に俺は、かつてスミレに似た誰かに会っていた、とだけ」
「……」
スミレに近い誰か、か。遣霊そっくりの人物というのは……有り得るの、か?
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