第十五話 正体を問い、詳細を問う・前編
「失礼しまーす」
「(ふんふん)」
「……テオ?」
おかしいな、スミレはともかくテオも来るとは。アランさんとテオの表情もやや不思議そうなので……もしかしてスミレが連れて来たのか?
「(ててて)」
「スミレ、テオが困惑しているんだが」
「(ふんす)」
謎に自信満々の表情を浮かべているのでわざと連れて来たようだな。スミレがそうするべき、と判断したのなら俺に否はないんだが……大分強引だろこれは、せめてもう少し教えてやってくれ。
「すまないなテオ、何かスミレが無理言ったみたいで……」
「あ、いえ……引っ張られたのはびっくりしましたけど、別に困ってはないです。……寧ろいいんですか?僕ここにいても……」
「俺は構わない」
「俺も構いませんよ」
「(ふんす)」
スミレは少しくらい反省してほしい。せっせと膝上に登り満足そうな表情を浮かべていたので取り敢えずつついておいた。そういえばイデアはどこだろう、置いて来たのか……?
「藍沢先生はまだ目覚めていませんでした。なので、出来るなら先に情報を擦り合わせておきたいのですが……」
「「分かりました」」
「(ごそごそ)」
俺とユウヒが頷いている間にスミレはせっせと寝心地の良いポジションを探っている。大体いつも通りの位置に抱え直せば、満足したのかこてりと身体を預けて来る。……イデアがいないので近くにブランケットを渡しておこう。
「では……まずはきっかけの話から。医療部門にて藍沢先生の手記の……とあるマークに志葉さんが触れたところ術式が発動した、というのは間違いありませんね?」
「はい」
「事前にユウヒさんも触れていましたが、その際には影響がありませんでした。故に志葉さんが何らかのトリガーを踏んだものだと考えられるのですが……」
「それが……手記なんですか?」
「はい。見ますか?」
「ちょっとだけ」
テオがアランさんから日誌を受け取り、パラパラとページをめくる。やがて、該当のマークを見て、困惑するように顔を上げた。
「あの、アランさん」
「はい」
「多分とあるマークってこれ……ですよね?」
「そうですね」
「てっきり僕らは保護術式が発動したものだとばかり思ってたんですけど、これは……」
何やら歯切れが悪いな。ただひたすらに困惑しているのが反応からも伝わってくる。一体何がテオをここまで困惑させているんだろう、魔術的な観点からの疑問のように思えるので俺達にはとんと見当もつかないのだが。
「あの……志葉さん」
「ああ」
「貴方……何者ですか?」
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