第十三話 感じ取る者、考察する者
「っ!」
何の前触れもなく空気が変わる。ここは範囲外、そう理性は判断したのに脳がエラーを吐いて勝手に体を強張らせた。
「……何か起こったな」
「方角的に、医療部門……?」
「確実にアラン職員達では?」
「まぁそうとも言う。……テオ、大丈夫か?」
「んい……」
肌がぞわぞわして気持ち悪い。悪意も敵意もないのに、遍く全てを拒絶しているような。スミレくんがいつも通りの表情で僕を見上げたかと思うと、ぎゅ、と抱きしめてくれた。僕以外は影響を受けていないのか、全員平気そう。
「おあおあおあ」
「落ち着けれお。ここからじゃ何も出来ねぇよ」
「おあー!!!」
「待て待てイデアを伸ばすな千切るな広げるな……!アロン止めてくれ!」
「は、はい!」
錯乱してるのか無制限にイデアを拡張し始めたれおをアロンさんが慌てて止める。ナタさんがれおにすり寄れば、興味が逸れたのか大人しくなった。イデアもころころと転がる内にいつも通りの大きさに縮小していく。
「レンリ、何が起こってるのか分からない?」
「いやまぁ、魔術式が起動したことくらいしか……流石にこの距離だと何にも分からんぞ」
「レンリ定点カメラ!」
「駄目です魔力障害」
流れるように医務室に入って来た雪代さんにノータイムで返すレンリさん。そのままいなくなるのかと思いきや、何を思ったのか雪代さんはつかつかと室内へと入って来る。
「可能性が高いのは……どっちだ?」
「まぁアラン職員ではないのは確かでしょうね。ただまぁ皇だった場合関連性がなさすぎる」
「そう……そうなんだよな。ユウヒは確実に関係者がいるからまだしも、皇は本人すら分かってないみてぇだし……」
「でもユウヒだとしたらあいつのいう”マスター”の存在が……」
「そうなんだよな……」
……なんか、思ってるよりもややこしいことになってるみたいだな。スミレくんは特に動揺する様子もなく僕に抱き着いている。正直スミレくんがここまで落ち着いている辺り、志葉さんに危険はないんだろうと思っているけれど。
「(ふんす)」
「……スミレの反応的にもユウヒである可能性が高いんだが……」
「何者だよユウヒのマスター……つか魔術部門の職員じゃないのにこれだけの魔術を使えるんだとしたら相当の手練れだぞ」
「……まぁそうっすね」
「それを君達が言うんだ……」
レンリさんは咄嗟の判断で飲み込んだけど、ナタさんがバッサリと思ったことを口に出す。実際僕も思ったけれども、流石に口には出さなかったぞ。
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