第五話 ブラックボックス・後編
「そもそもこの特性で作られた領域内で発生する”特性遮断”とは何か、という話だよ」
「えぇ……そこから?」
いやまぁ確かに訳が分からないのはそうなんだけど。藍沢先生のことについて聞きに来たのにまさか特性遮断区域についてから話してもらえるとは思わなかった。
「特性遮断区域、成立が確認されたのは案外古くノーウェア時代に遡る。まだこの空間をお前が掌握するよりも前に特性遮断区域としてあった、ということだな」
「……え、そんなこと有り得るの?」
そもそも俺が手を加えなきゃ不死性も安定性もないはずじゃん。不安定な空間でわざわざ怪異への対抗手段がない状態でのエリアを生成するとかメリットがまるでない。
「有り得るからこうなっているのでな。特性遮断区域を含むこの空間を青藍が掌握したが故に、既存の空間は保持されたまま融合された。故に青藍の支配下にない空間が出来上がった形となる」
「へぇ……」
そもそも順序が逆、ということね。正直俺以外の誰かが空間を掌握するとは思えないから確認を怠ったっていうのはある。だっていると思わないじゃん俺を出し抜けるレベルの空間掌握者とか。
「じゃあええと……特性遮断をする特性持ちでもいる訳?もしくは魔術?」
「そのどちらでもないな。第一、魔術でそんなことが出来るのならとっくのとうに雪代が言及するだろう」
「まぁそうだろうけど」
どちらでもない、っていうのはおかしくない?普通に空間を掌握しただけで特性が遮断されるだなんてこと有り得ないし、その土地特有っていうんならそもそもどうやって空間を掌握したのか分からなくなるし。
「あとは……体質とか?」
「それが一番答えとしては近しいだろうな」
ちゃんと答えは知ってるんだ。……知ってるのにここまで情報を能動的に開示してないの、多分何かあるな。確かに普段から情報を出し渋ることはあるけど、同時に答え合わせもちゃんとする奴ではあるし。
「ジャック」
「何だ?」
「結局のところ、藍沢先生が巻き込まれてるのって”安全”なの?」
「はは、そう来たか」
軽い笑いを零すジャック。口調からはそこまで深刻そうな気配を感じられないけど……正直藍沢先生が倒れるレベルだと何一つ安心出来ない。シンも何らかの情報を隠してる節があるし。
「安全かどうか、でいえば現状としては安全だ。薄々気付いていると思うがこちらから干渉しない限りは何の影響も及ぼさない」
「……干渉したら?」
「しっぺ返し……とも違うが、手痛い代償を払うことになることは覚悟しておいた方が良いだろうな」
「……」
確か今、医療部門にアランと皇が行ってるはずだよね。……大丈夫かな。
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