第一話 予兆
「藍沢先生が倒れた?」
「正確には倒れる前に重戦闘区域に飛び込んできたからギリ倒れてはないんだけど……」
「俺を宇月だと勘違いしたまま倒れましたよこの人。何があったらそうなるんだか」
夜中に藍沢先生が急いでこっちに来てるな、と思ったらこれだよ。一応弱みを見せるのは不味い、と判断してこっちに来たんだろうけど……藍沢先生が倒れるって相当じゃない?
医務室内にいるのはレンリと布袋、それに呼ばれたアランと俺とシン。何か布袋は藍沢先生がこっちに来る前に連絡を貰ってたみたいなんだよね、頼みごとがあったらしいんだけど、詳細は不明、と。
「状況は?」
「俺の方から藍沢先生に協力要請出した、ということにしてます。正確には最近俺が重戦闘区域に移動になったんでその辺の引き継ぎ資料の確認、ということになってますね。まぁ割といつものことですし難癖付けようにもわざわざ重戦闘区域に来ることはないんで大丈夫でしょう。藍沢先生も疲労というよりは急激な魔力濃度の落差による失神、が近いっぽいんでちょっとしたら目覚めると思いますよ」
「魔力濃度……?」
「どういうこと?」
普通に考えたら藍沢先生が魔力濃度の濃い?薄い?場所に行ってた、ってことになるんだけど……この空間内にそんな場所あるかな、俺の認識だと藍沢先生がどこかに行ってた訳じゃないと思うんだけど。
「すみませんレンリさん、魔力濃度の差が問題になるような場所、とは?」
「あー……恐らく一般的に職員が出入りするような場所ではない、とだけ。魔術部門や研究部門でもないとは思いますよ。ンな場所が近くにあったら周囲に影響が出る。怪しいのは……」
「……特性遮断区域、ですか?」
「まぁ、そのうちのどこかじゃねえかな、とだけ」
久し振りに聞いたなその名前。俺の掌握してる空間にも関わらずブラックボックスと化している区域。正直なところ是が非でも暴いて再度掌握しておきたいところなんだけど、特性遮断とか言う謎の技術のせいで俺も手出しが出来なくなってたりする。何だよ特性遮断って。
「……」
「シン?どうしましたか?」
「いや……んん」
「……」
俺とアランがさっと視線を交わす。明らかにシンは何かを隠してるんだけど……開示したくないってことは何らかの口止めでもされてる?可能性があるとしたらジャックか……あるいは、藍沢先生本人か。
「……レンリさん、藍沢先生が目覚めたら連絡を」
「了解。アラン職員は?」
「私はこれから――――医療部門に、顔を出してきます」
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