閑話その33 遣霊達の抜け出し方・後編
「みーみっ」
「あれみうじゃん、何してんの?」
「み?」
こてん、と首を傾げながら近くに寄ってくるみうくん。隣の椅子を引けばせっせとよじ登って来たので一言声をかけてから飲み物を取りに行った。
「はいみうくん、オレンジジュースで良い?」
「み!」
「うぴゅー!」
うぱーに飛びつかれたみうくんがふにゃふにゃ笑ってる。結構な勢いで飛びついたように見えたんだけど……案外強いのかな、体幹。
「丁度良かった、みうに聞きたいことがあったんだけど」
「み?」
「うぱーが密室から脱出する件について」
「みー」
あ、ちゃんと理解してそう。少しだけ眉を下げたみうくんはうぱーくんの方に向き直ってなにやら喋りかける。うぱーくんは……表情だけは真剣だから聞き入れる気はありそう。
「だんなー」
「どうしたのレン」
「なんな、ななん?」
可愛らしく小首を傾げるレン。なにやら空のコップを叩きながら俺の方に視線を向けているんだけど……どういう意味なんだろう、何か伝えたいことがあるのかな。
「それはコップだけど……おかわりがほしいの?」
「んーん!」
「違うかぁ」
何故かコップの向こう側に回ってからこっちに戻ってくる、を繰り返してるな。多分レンなりのヒントなんだろうけど……だめだ、ひとつもしっくりくる答えが見つからない。
「なんだろう……?」
「なーん……なーな!」
「み?」
「ななな、なん!」
「みゅ……みー」
なんだろう、みうくんに話しかけたと思ったらみうくんも考え込むように首を傾げてる……?二人はひとしきり二人だけで会話を行ったかと思うとこちらに視線を向ける。
「みゅーみ」
「なん!」
「ぴ?」
「大丈夫かみう、なんかうぱーだけよく分かってなさそうだけど」
「み」
いいんだ……。聞いた本人である青藍さんも小さく良いんだ、と呟くくらいには意外だった。なんとなくこう……遣霊間で話し合うべきもの、みたいな様相だったからてっきりうぱーくんも発言してないだけで理解してるものだと。
「みみ、みー」
「コップ……だね、それは」
「み」
「どこにでもあるコップ……ですよね」
「うん。何の変哲もないコップだけど……」
「みん」
「えっレン!?」
「ちょ、なにやって――――!?」
みうくんがコップをレンに被せた、と思った瞬間レンがころんとコップの外へ転がり出る。今……何が起こった?俺だけじゃなく青藍さんも驚いたように動きを止めている。
「なーん!」
「え、えぇ……と?」
「今の……魔術?テレポートってこと……?」
「み」
確かにそれが出来るなら隔離空間から抜け出すことも可能かもしれないけど。……え、遣霊って全員テレポートが使えるの?それはそれでかなり重要なポイントじゃない……?
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