第四十六話 敵の輪郭
「悪いな宇月、レイスから呼び出して」
「構いませんよ」
リアムを医務室に運んだタイミングでレンリさんが顔を覗かせる。一応俺だけが重戦闘区域に向かうのはいくらテレポートを使うと言っても不安だから、といってついて来た泰誠も一緒だ。
「レンリさん、どうでしたか……?」
「まぁ、情報はぼちぼち取れたってところだな。最低限の情報はとれてるし、抜け道の補強もしたから当分は落ち着いてほしいんだが」
「抜け道の存在は把握したんですか」
「ああ。任意の抜け道だった」
「任意の……?」
聞けばシンさん達が勝手に抜け出す際に使っていた抜け道を利用されたらしい。いいのかそれで。レンリさんはちらりとリアムを見てから何があったのかを問う。
「クローゼット……白糸診療所から持って来た人の皮を処分しに来たらしい侵入者と戦ったみたいです」
「処分…処分?なんだ、回収すると思ってたんだが」
「どうやらこちらに利用される方が不都合のようですね」
「そんなもんか……?まぁ処分するってことは回収は絶望的だと判断した可能性もあるし、あるいはもう白糸診療所に居座る理由がなくなった、ってことだよな」
「そうなりますね」
そもそもなんで居座っていたのかがよく分からないけど、これ以上利用されないのなら僥倖だろう。もう帰ることはないだろうけど。
「ところでレンリさん、先程情報が取れた、と言っていましたが。詳細を聞いても?」
「西の他に協力者がいた」
「協力者?」
「ああ。蒐集機関、らしいが」
「蒐集機関……」
泰誠が深刻そうな表情で呟く。聞いたことない名前の組織……だな?泰誠の反応を見る限りそれなりに悪名高い組織の可能性があるけど。
「知ってんのか」
「種族を蒐集する……個人、ですよね。ええ、知っています」
「え、個人なの……?」
「はい。ただ一人、されど集団であり、群である。目を付けられれば最後逃げ切ることは出来ず、生きたまま標本にされると……」
「スマン俺はそこまで詳しくないんだが……雪代さんも同じようなこと言ってたんだよな、何で当然のように生きたまま標本にされることが確定してんだよ」
意味の分からない説明と、身の毛もよだつような発言。当然のように人間を標本にしないでほしい、よかったなつ達がいなくて。
「……ん?つまりその蒐集機関……さん?が協力してるってことは誰か狙われてるってこと?」
「……まぁ、そうなるよな」
「穏やかじゃないですね」
「ああ。正直誰が狙われていても厄介極まりないんだが……」
そこまでいうとレンリさんは一旦言葉を切り、ちらりとリアムの方を見る。眠っていることを確認したんだろうか、レンリさんはそれ以上言葉を紡ぐことなく、報告をしてくるとだけ残していなくなってしまった。
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