第四十五話 ログ・後編
「っと……そうこうしてるうちに出来ましたよ解読術式」
「お、流石仕事が早い」
「おー」
「すごーい」
「ハヤーイ」
いつの間にか作業を済ませていたレンリさんが解読術式を起動して中身を読み取る。数秒間の沈黙の後、怪訝そうな表情を浮かべた。
「西の……楽園教だけじゃないのか?」
「だけじゃない?」
「知らん名前がありますね。ちょっと待ってください書き出すんで」
「西の楽園教の、一部門とかですかね?」
「その可能性もあるにはあるが……それにしちゃあ目的が……」
「何か煮え切らねぇな」
一旦レンリさんが書き出すまで待つ必要がある、か。少し時間がかかりそうだったので食べ終わったれおのほっぺを揉む。もちもち。
「一つ聞いておきたいんですけど、今まで西からの干渉は?」
「そもそも楽園教からの干渉がそこまでないんだよな。あるにはあったけど、俺達だって余所の問題組織よりかは対策するわけだし」
「まぁそうっすよねぇ……」
「なんなら楽園教と関わったことがあるやつは職員としても採用はされないはず。これは重戦闘区域としての意向じゃなくヒュリスティック全体の認識だぞ」
「あーそれは聞いたことあるような……あれ噂じゃなかったんすね」
「楽園教だけはちょっとな」
そんなに楽園教って警戒しないといけないんだ。ワカバさんとラリマーさんも苦い表情を浮かべているので周知の事実らしい。
「因みに詳細はアランに聞かねぇと分からんが、確か西の関与は今回が初めてのはずだぞ。一応ここ中央判定だし」
「そうっすよねぇ……っと、こんな感じですかね」
「お、どれどれ……?」
雪代さんに渡された書類を全員で覗き込む。正直あまり見覚えのない言語が羅列してあったけど……どうやら雪代さんには読めたらしい、苦い表情を浮かべて一言だけ呟く。
「蒐集機関か……」
「知ってるんすか」
「まぁ有名……逆にお前知らない???」
「意外だぁ」
「ソンナコトアル?」
「そんな有名なんすかこの組織」
「いやまぁ、有名かと言われるとそこまでではないんだが、あんだけ普段謎の知識を見せつけて来てる奴が知らないのは不自然というか」
「ああー」
「そりゃ知識の偏りくらい幾らでもあるでしょうに……」
「そりゃあるけど、警戒の方向性的に知ってると思ったんだよ」
「……つまり、テオに関係がある、と?」
雪代さんの言葉に呆れたような声から一転して真剣な表情を浮かべるレンリさん。僕に関係がある……となると、どういう存在なんだろう、少なくとも友好的存在ではないことだけは分かるけど。
「関係があるっつーか……簡単に言うと珍しい存在を捕獲して生きたまま標本にするんだよ」
「なんすかその悪意しかない組織は」
「蒐集機関だって言ってんだろ。ただ西がアイツと絡むってのは……妙だな。方向性が合わねぇ気がする」
「目的は違うけど手段が一緒?」
「イッセキニチョウ?」
「その可能性は……まぁ、あるな」
「碌でもねぇ協定だ」
「全くだ」
生きたまま標本にされるとか、実験体として扱われるより嫌かもしれない。
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