第四十四話 ログ・中編
「大丈夫っすよね雪代さん、さっきから変な抵抗くらってるんですけど実は先にセキュリティ解除が必要とか言わないっすよね?」
「必要に決まってんだろ」
「その情報を後出しするのは酷いと思うなー!!!」
大変そうだな……それはそれとしてセキュリティがあることを伏せてたのは酷いと思う。まぁ基本的にセキュリティは考慮して然るべき、と言われればそうなんだけど。
「ガンバレー」
「ふぁいとー」
「因みにこの辺多分お前らどっちかの書き方だと思うんだけどどう思う」
「しらなーい」
「シラーン」
「雪代さん覚えてないんすかこの辺のパスワード」
「覚えてたら苦労しねぇな!」
「セキュリティ管理が雑過ぎる!」
これはかなり時間がかかりそうだな……と思っていたら、レンリさんがちらりと僕に視線を向ける。
「んい?」
「テオ、ちょっとマスターキーしてくれ」
「はーい」
「は?マスターキー?」
「ちょっとだけずるします。てことで頼んだ」
レンリさんが僕を抱えて魔術式を展開する。目の前にあるのがセキュリティであることを確認してから、指先を切って血を垂らした。
「え、え、え」
「ウオォオオオオ!?」
「知らない仕様だぁ」
三人が驚きの声を上げるのを見つつ、指先の血を拭う。レンリさんは解除されたセキュリティの奥、必要なデータを探すために魔術式の構築に移ってしまったので邪魔にならないように移動する。
「うおー」
「いつの間にうどんを取って来たんだ……?」
どや顔でうどんを食べているれおに呆れていればがっしりと雪代さんに肩を掴まれる。そんなに変な事したかな、仕組み自体はとっても簡単なんだけど。
「何したんだお前。つかマスターキーってどういうことだ、もしかしてどんなセキュリティでも抜ける……!?」
「えっと、簡単にいうとそうです」
「嘘だろ……!?」
「でも別にそんなホイホイ使える訳じゃないですよ?一時的なパスコードとして承認してますし、使用中は僕魔術使えませんし」
「それでも破格だろ」
「そうですかね?一種の魔術というか、制限つけて効果を底上げしてるだけなんですけど」
「ウーン」
「底上げ……で、マスターキーかぁ」
「いやまぁ、理論上は間違ってないし何らおかしなこともいってはないんだが……」
「それに僕だけじゃ意味ないですからね。他に魔術に詳しい人がいないと」
「それは……まぁそうだけど」
「そうっすよー俺も大分びっくりしましたけどやってること的には別に何らおかしくないんすよ。寧ろ真っ当な理論でマスターキーしてました。発想がおかしいだけで」
「なんですと」
「おかしいのよ魔術師が複数人いる想定自体が」
……実は魔術解析が面倒だから考案したって言ったら呆れられるかな。
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