第四十三話 ログ・前編
「雪代さんそこ」
「おう見えてる。……ったく脆弱性を突くのはいいけどもうちょっと上手くやれよな」
「ヨクナイヨ」
「脆弱性つくの、駄目絶対」
「野生のデバッカー扱いですねぇ」
「一応補足しておくと別に今回利用されたバックドアは想定された挙動ではあるぞ。普段シンさんとかルコンが使ってるやつだし」
「ダメジャーン」
「いいんですかそれ」
「よくはないんだけど変な抜け道作られるよりかはマシ」
抜け出さない、っていう選択肢はないんだ。でも確かにあまりにも閉鎖的環境にいると情報が足りなくて対応が後手になるから多少外との経路は残しておくべきなのかもしれない。
レンリさんと雪代さんはずっと医務室で魔術を使って襲撃者達の動向を追っている。僕は万が一接敵した場合気絶する可能性があるからっていうことで医務室に匿われている。ワカバさんとラリマーさんは別にそこまで影響はないらしいけど、万が一に備えての護衛らしい。
「想定された抜け道ってことは?」
「そりゃちゃんと誰が通ったのかも記録してるし解析出来るように術式も組んでるぜ?」
「さっすが」
「まぁ組んだの大分前だし解析用術式どっかやったんだけど」
「組み直しかい」
「組み直すだけで記録が見れるなら御の字だろ」
「それはまぁそうなんすけど」
「手伝いますか?」
「いや、テオはそのまま周囲の警戒頼む。流石に術式使いながら警戒は無理」
「はぁい」
「あーい!」
普段なら青藍さんが遣霊達のことを隔離するけど、今回に関しては流石に厳しいって言う事でれおは僕と一緒にいる。一応襲撃されてるんだけどな、れおに怯えも困惑も見えないのは自分が害されることはないと確信してるからなんだろうか。
「なんすかこの術式、骨董品?」
「そんなにひど……いな、うわこんな書き方してたっけ……?まーじで初心者のことに組んでるから最適化もされてなくて散々じゃねーか。あとで組み直しておくか」
「ソンナヒドイ?」
「酷い酷い。必要じゃなかったら全データ一旦消去して組み直したいくらいには酷い」
「まぁ今回は必要なんで解析術式組みますけどね」
そんなに酷いのか……と思って術式を覗き込めば、どこからどういう風に繋がっているのか分からない回路と、手動で暗号化したのか?と言わんばかりの無秩序な術式隠蔽に思わずちょっと変な声が出る。これを本当に解析するの?初心者が構築したにしては秘匿のされ方が巧妙すぎてかなり苦戦しそうな気がするんだけど……術者本人もいるしどうにかなるのかな、少なくとも僕は絶対にやりたくないぞ。
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