第二十九話 鏡合わせの戦い・参
「惜しかったですね入江さん」
「うーん……もうちょっと頑張ればどうにかなったかもしれないけど……」
流石にあそこで対処出来たか?と問われるとちょっと返答に困る。無理矢理挟もうと思えば挟めたかもしれないけど、そこから先に続く方法がなかったので。
「応用力……か」
「なんな」
「天波羽織と武器の応用……って、何だろう」
というか、天波羽織に関してはちゃんと使えているのかどうかすら怪しい。一応致命傷を防ぐような動きは出来るけど、裏を返せばそれしか出来ない。
アルマさんはソウさんと紙一重の攻防を繰り返しながら行動を見据えているように見える。まだ貰って日が浅いだろうに天波羽織を使いこなせているのは場数の差か。
「大雅ならどうやって戦う?」
「そうですね……先程の戦闘も加味した上で……まぁ、腕を狙わせます」
「腕を」
「ええ」
「狙わせる?」
「はい。相手が私の思考を読めないのなら、恐らく腕を飛ばした時点で無力化した、と判断するので」
「うわ」
「うわ」
「なーん……」
「すごい、ちゃんとソウに怒られることしようとしてる」
「ソウさんにはしませんよ。腕が飛んだ程度で止まらないのはバレているので」
「そういう問題じゃなくない?」
シンさんの突っ込みにも素知らぬ顔で大雅は軽く微笑んでいる。多分、大雅も元々かなり頑固な性格だから制止したところで碌に話を聞かないんだろうなという確信を持てるような笑みだった。レンが呆れたように俺の手の中で声を漏らす。
「んー……」
「すっごく怒られそうだけど大丈夫?」
「それアルマなら多分正座して説教して来るよ」
「説教だけなら軽いですよね!」
「うわぁ」
ダメだ感覚が狂いまくってる。大雅にとってはソウさんが安全ならば全部些事、なんだろうなぁ……。でも大雅が無茶したらソウさんも無茶しそうな気がするんだけど、それは良いんだろうか。
「説教に関しては良いんですよ。本質的な話をしますと、一般的には腕が飛ぶというのは戦力の低下でしょう?仮に相手の腕を飛ばせたら経緯はどうであれ一瞬油断します」
「まぁ、そうだね」
「ですので、そのタイミングで一撃を放てば相応の被害が見込めると思うんですよね」
「でも片腕でしょ?左手ならまだしも、右手だと厳しくない?」
「人間って腕力より脚力の方が力としては強い、って聞くじゃないですか」
「ああ成程」
何でわざわざ腕、と限定したのかが気になっていたけれど、そもそもメインウェポンを腕にしていなかったのか。まさに肉を切らせて骨を断つ戦法というか……参考になるかはともかく、案としては成立しているんだな。
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