第二十八話 鏡合わせの戦い・弐
大雅は一旦時間切れ、ということで対戦相手が俺に変わる。大雅は結局有効打を見つけられなかった、俺が俺と戦う場合、一体どうすれば勝てるんだろう。
天波羽織で致命打を防ぎつつ攻勢に出る。選択としては間違いじゃないと思いたいが如何せんあと一歩が届かない。舞うように紙一重で躱されて咄嗟の判断で傾けた頬に赤い線が走り、防戦を強いられる。
「判断は良いね。でも対応が遅い」
「くっ……!」
「思考と反応は出来るだけ縮めないと出し抜けないよ?とはいえ、入江くんの斧は模倣出来ないものだからそこまで気にしなくてもいいかもしれないけどね」
思考がぐるぐると回って俺の動きを鈍らせる。違う、思考が原因じゃないな、ただひたすら慣れない動きに俺の身体が追い付いていないだけだ。
「……っ」
「うん、攻勢に出るのは良いことだよ。あとはどれだけそこから俺を出し抜けるのか、だけど」
斧を二つに割る、速さだけで抜ける相手ではない、俺だけが持つ優位性を活用する必要がある。天波羽織と武器の二つを有効活用して、俺が俺の動きに勝る……!
「模倣、というのは」
「うん?」
「行われた動きの再現であって、想定された動きの実行じゃないですよね?」
「……ふふ、よく気付いたね」
思考を読んでいる訳ではない、ということはただ同じ実力を持った他人を相手にしているだけ、と捉えてもいい。武器も違えば戦い方だって違う、そう考えれば何も問題なんてないだろう。
「っ……なら……!」
取れる手は同じ、つまり俺がやられたら嫌な事を熟知していると思っていいだろう。得意な手、苦手な手、対応手段だってバレていると思っていい。じゃあどうするべきか。
同じような武器を使うなら、速さあるいは威力が落ちていると見ていい。速さがそのまま威力になる、だなんて特殊なギミックが早々あってたまるか。そして俺の攻撃に対処するためには威力を捨てるしかない!
「正々堂々、正面から抜いてみせる……!」
「出来るものならやってみて?」
謳うような軽やかさに誘われて、強く柄を握りしめる。打ち込みタイミングをずらして対応を飽和させる。唯一俺が上回るであろう威力を利用して相手の選択肢を狭める。
「ふふ、上手上手」
「っ余裕そうですね……!」
「そうだね。まだ焦る段階ではない、かな?」
幾ら威力が勝っても受け流されたら意味がない。俺が苦手な動きを、対処出来ない動きを極めろ。俺の肉体が物理的に対処出来ない動きなら何も問題はない。
「うーん着眼点は正しいしもう少し洗練すれば苦戦するだろうけど――――残念、まだ応用力が足りない」
擦れ違うように刃を喉に突き立てられて、俺は敗北した。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
面白かったらブクマや高評価お願いします。喜びます。




