第二十七話 鏡合わせの戦い・壱
最初に手合わせをするのは大雅、ということになったので俺とアルマさんは一度端に避ける。大雅と対峙しているソウさんはあくまでも自然体、特に緊張や興奮はしていなさそうだった。
「ふふ、じゃあやろうか」
「お手柔らかにお願いします」
呼吸を交わして一瞬、瞬きの間にソウさんの姿は大雅へと書き換わる。踏み込んだのは大雅の方が先で、勢いよく二人が衝突する。
「っ!」
「力押しじゃ勝てないよ?」
大雅の攻撃を軽くいなして笑うソウさんは余裕そうだな。ちゃんと力の流れを見極めた上で流しているから、大雅にしてみればとてもやりづらいだろう。大雅が一歩踏み込めば同じ分だけ下がり、逆に大雅が一歩下がれば同じだけ前に出る。過不足のないやり取りはスムーズだが付け入る隙がない、大雅はどうにかしてこのリズムを崩す必要があるが。
「くっ……!」
「大雅、ちゃんと動きを見て?」
「見てますっが……!」
「駄目だよ大雅、小手先だけじゃなく、全体を見ないと」
「ぜ、全体……!」
「あいつ……思ってた数倍はスパルタだな……」
「いやーあれでもかなり丁寧にやってる方なんだよ?本来はもっと適当というか、ソウはあんまり言語化しないほうだからさぁ」
「もしかしてソウさん、教えるのは向いてない……?」
「身も蓋もない話をすれば、そう」
……なんというか、基本的に教えられる人、って希少なのかな。大抵の人が教えるのは向いていないって言われているような気がする……。そりゃ教えるのって戦うこととは別の技能だから向いていなくてもおかしくはないんだけれども。
「まぁ分かっちゃいたが……同程度の技量だと決着はつかねぇか」
「そうね。ソウの方もわざわざ寄せてる部分はあるし……あれ相手によっては普通に押し切られそう」
アルマさんとシンさんの言葉通り、大雅はソウさんに対して有効打がないせいで攻めあぐねている。一方でソウさんは大雅の動きに合わせているだけ、にみえるので多分本気を出せばすぐに押し切れるだろう。同じだけの技量がある、というだけでこんなに苦戦する羽目になるのか。
「あのシンさん、聞きたいんですけどソウさんって特性の模倣は?」
「うーん……流石に今回はしないと思う。そもそも完璧な模倣は無理だし」
「完璧じゃなけりゃ出来はするのか……」
「それはまぁ、ね?」
特性すら模倣される可能性があるのか……。俺の場合模倣されてもそこまで問題はないけれど、人によってはとっても苦労するんだろうな。というか大雅って模倣されると普通に困るんじゃないだろうか。仕様が複雑だからそこまで影響はない、のか?
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