第二十五話 柔らかな笑みの裏側
「いやー本気?」
「本気ですよ?」
「そりゃソウは本気だろうけどさぁ……」
囮を用意して相手を釣り出す。言ってることは割と普通の事なんだけどその方法に自分の気配被せた別人を起用します!は大分珍しいよね。そりゃソウが出るとなったら猛反対されるだろうけれども。
「誰に被せるの?入江くん?」
「いえ、入江くんはちゃんと分かるから、やるなら皇くんか、あややかなって」
「どういうこと???」
わざわざ判別出来ない子を囮にするってこと……?それはちょっとリスクが高すぎるというか、やるならちゃんと本人含めて分かる子で固めた方が良いと思わない?皇君に関しては接触も厳しい筈だし。
「皇くんは流石に危なくない?あの子別に判別出来ない上に体調も崩しちゃうんだよ?」
「でも一番近しいのは皇くんなんですけど……」
「まぁそう…………えっ、皇くんが一番近いの???」
それは初めて聞いたんだけど?あややが近しい存在なのは当然として、皇君が????正直一番ピンと来ないと言っても過言じゃないよ?
「いやでも流石に厳しいかなぁ……?本人は良いって言いそうだけど、やっぱ対応出来ないのは不味いというか」
「そうですか……じゃああややかな。ちょっと無理はあるけど、多分余程の事がない限りは気付かれないでしょうし」
……なんだろうな、このあややよりも近しいと思われる皇君。アランはこのこと知ってるのかな、こんなことにならなければ聞くようなことでもないから知らないような気もする……まだこの話もアランに通してはいない訳だし。
「取り敢えず……ソウの名前を出したら来るかな?」
「来るとは思いますよ?多分というか確実に俺の事も知っているみたいですし」
「……ソウ、もしかしてちょっと探りでも入れた?」
「ふふふ」
ソウの事を知ってるか、は情報として出てないはずなんだよね。それなのに存在がバレてることを確信してるってことは……俺達が知らない内に探りを入れたんだろうなぁ、流石に外には出てないと思うけど、大人しくしてたら絶対に知り得ない情報なんだよね。
「もーあんまり勝手な事しちゃだめだよ?いくらソウが強いって言っても、ソウにはちゃあんと弱点があるんだからね」
「はぁい。気を付けまーす」
分かってるのかなぁ……?どうにもソウは警戒心が足りないというか、基本的に圧倒的強者なせいであんまり自分が害される、っていう感覚がないんだよね。
「ところでシンさん」
「んー?どうしたの?」
「多分相手の用意周到さ加減から見ると誰が出ても相当苦戦することになるんですけど…………どうしましょうか、ね?」
「え、えぇ……?」
俺に言われても困っちゃうんだけど……ソウが断言するってことは事実なんだろうね。……どうしよっか。
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