第二十話 合理的判断で無理をする・中編
大人しくしていろ、と言われたので壁に寄りかかる。既に意識が持って行かれるような感覚はない。それどころか不調、という感覚もないのでただただ暇なだけなんだが。まぁ顔色が悪いと周囲に心配をかけてしまうので大人しくしていた方が良いだろう。手持無沙汰なので気配察知を狭めて詳細を探る。
「……」
やはり気配から偽者かどうか、を判別するのは厳しいものがあるな。目の前にあるのにも関わらず異常として知覚出来ない。恐らく気配で判別できないように念入りに偽装されているんだろうが……少々厄介だな。
「……二人は影響を受けない、と言っていたが。本当に何も影響がないんだな」
「え?うん。というか、影響を受けてたのって布袋さんとシンさん、それに皇くらいっていうか……」
「理由は不明なんですが、今のところ殆どの人が無影響なんですよね」
「そうなのか」
寧ろ影響を受ける方が珍しいとは。そういうこともあるだろうと思いつつも、少々の気まずさがあるな。影響を受けるかどうかの違いは何だろう、体質だと言われればそれまでだが、外的要因で変わるのなら対策した方がよほどいい。
「皇さんは触れない限り影響はないんですよね?」
「一応、そうみたいだな」
「布袋さんとシンさんも触れてから影響を受けた、と聞いているんですが」
「シンさんは持ち帰って来た張本人で……布袋さんも確認のために触ったんだっけ」
「はい。やはり接触がトリガーになっていると見て間違いないですかね」
そうなるとアランさんの偽者も接触していた場合戦闘不能になっていたんだろうか。人質に取られていたレンリさんはピンピンしていたが。仮に同じ影響を及ぼすとした場合、レンリさんがあれだけ啖呵を切っていたにも関わらず違和感を覚えていないことが疑問としてあげられる。つまりこの影響を持っていない個体もいる?
「……何のためにこんなことを?」
「布袋さんは長時間一緒にいるとボロが出るからって言ってたよ」
「触れられるほど親しい人間であれば見抜かれる可能性が高い、と?」
「多分」
「だがその場合万人に効くものを用意しないと意味がないんじゃないのか」
「そこなんだよね……」
やろうとしていることの想像はつく、だがそれをするには今一つ性能として未熟であることが引っ掛かる。ただ未熟なだけだと断じれるならばいいのだが、ここまでクオリティの高い偽装技術があって何故?と言われてしまえばそこで思考は止まってしまう。
「順当に考えると効かないのがおかしい、ということになるですが……」
「その場合、あまりにも重戦闘区域内で効かない人が多すぎない?」
「そうなんですよねぇ……」
何がどうなっているんだろうな。
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