第五話 龍と龍・前編
「同じ龍種でも、差異って大きいんですねぇ」
「何か分かったのか?」
「おー?」
僕の言葉にれおは興味を惹かれたのかよじ登ってくる。レンリさんはというとなにやら書類を作ってるみたいだな、どうやら話を聞く気があるらしいので、そのまま言葉を続けた。
「ミライさん、びっくりするくらい人間と差異がありませんでした。重戦闘区域にいる龍と比べても明らかに人間寄りです」
「まぁそうだな。数値を見ても明らかにスペックが足りない。本人に自覚はないだろうが、栄養不足かあるいは…………何らかの理由で封じられてるか」
「封じられてる……有り得ますかね?」
「有り得なくはないだろ。俺達はミライの本当の姿も実力も知らないんだから」
それもそうか。ただ、実力が高ければ高いほど何故封じられたのか、どうやって封じているのか、という疑問は残る。封印というのは基本的に劣化するものだし、いくら封じて成長を遅くしたとしても完全に停止させることは出来ない。
「あうああ?」
「あー……アルカはなぁ……遣霊に近い存在ではあるんだが、どっちかってーと別種寄りというか…………ギリギリ天使寄りなんだよな」
「天使!」
「えんい!?」
そんなことあるんだ!?僕とれおの驚いた声にレンリさんもこくこくと頷きを返す。いくらアルカちゃんが不思議な存在でも、天使に似ていたらもっと騒動になってる気が……ああそっか、見えないからそこまで騒ぎになってないのかな。
「でも天使にそんな隠蔽能力って……」
「ま、似てるだけだからな。根黒が見えればもうちょっと詳しいことが分かったかもしれんが、アイツよりによってみえねぇし」
「逆にレンリさんは見えるんですよね」
「そーね。本当に基準が分からん」
根黒さんはアルカちゃんのことが見えなかったけど、月野さんは見えていた。アルマさんも見えなかったし天音さんも見えなかったけど夏音さんだけは見えた、というのも気になっている。大抵遣霊がいるひとが見えてるんだけど……やっぱりレンリさんと大雅さんだけが分からない。
「んー?」
「れおから見ても別にアルカに違和感はないんだろ?」
「あい!」
「じゃあそこまで気にする必要はないんだろうな。少なくともテオにとってミライは障害にならない」
「レンリさんにとっては?」
「どうだろなぁ……ま、ヤギ先輩の紹介なら問題ねぇだろ」
「ヤギ先輩?」
「夜岸智代先輩。何か音沙汰ねえなーとは思ってたけど、シレっと滞在しててびっくりしたわ」
夜岸さんのこと知ってたんだ。同期のサボさんが魔術部門だし、知っててもおかしくはなかったな。
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