第三話 人選思案・前編
「白糸診療所に行くの?メンバーは?」
「俺は無理だろうから志葉かアルマに頼もうかと」
確かにアランが行くのは無理だよね。いくらなんでもアランが出ると色々と文句言われちゃうもの。リアムとテオ君も同様に無理だから皇君かアルマ君を連れて行くっていうのは良く分かる。
「拉致……は大丈夫なんだよね?」
「存在としてどうなってるのかにもよるが……一応根回しはしておこうと思う。万が一指摘されると厄介だからな。シン、あややに連絡を頼めるか」
「任せてー」
流石に一般区画に出るならあややは必須だよね。特に今回はほぼ人さらいみたいなことをするわけだし。俺達は一般人じゃないって知ってるからいいけど、近隣住民からちょっかいかけられても困るからなぁ。
「ただ……」
「ただ?」
「仮に所属が楽園教だった場合、志葉達でもバレる可能性があるんだよな、と」
「あー……確かに。最近の襲撃を考えると顔を知られててもおかしくないか」
「ああ。恐らく警戒されたところで問題はないと思うが……そこから目をつけられるのは望ましくない」
「でも秘匿するってのも厳しくない?顔隠してたら怪しまれるでしょ」
「そうなんだよな…………いっそ認識阻害をかけるか?」
完全に接触なしで問答無用の捕獲、が可能なら別に問題はないけど、流石に人違いというか、勘違いだと困るから接触する必要はあるんだよね。勘違いだと困るというか、俺達はその生前の白糸夫妻の事を知らないから調べる必要があるというか。
「それよりももっといい方法があるよ」
「え」
「ソウ?」
にゅるん、と上から落ちて来たソウに俺とアランは揃って驚きの声を上げる。何してんの一体、勝手に部屋から抜け出してるよね?
「俺が行けばいいよ」
「大雅に怒られるぞ」
「だいじょうぶだいじょうぶ。そんなに時間はかからないからさ」
「時間の問題じゃないよね?ソウが外に出るって知ったら大雅くん泡吹いて倒れると思うよ」
そもそも許可が下りないのでは?という疑問は流石に口に出さなかった。下手なことをいうと強行突破するからね、それが出来るから困っちゃうんだよ。
「でも俺なら擬態かどうかは一瞬で見抜けるし、怪しまれることも絶対にないよ?」
「それはそうだけど……」
「リスクが高すぎる」
アランも止めたいよね。この場合のリスクは失敗するとかじゃなくソウが周囲を魅了する可能性があるっていう方向性だよ。存在の希少性もさることながら、普通に何も知らない一般人を魅了することくらいわけないからねソウは。本人無自覚だけど。
「でも擬態の方向性が直近の相手と同じなら……皇くんでも判別出来ない、よね?」
「…………」
おっと、これは……どうすればいいんだろうね?
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