閑話その31 小さな訪問者は遊びたい・後編
「ちょっと俺が魔術部門に行ってくるよ」
「ん、分かった」
「談話室で待っててくれる?」
流石に魔術部門へスミレを連れて行くわけにはいかないので大人しく入江の提案を受け入れる。リアムさんと一緒にスミレとアルカを連れて談話室へ行けば、談話室で寝ていたらしいリコとリヴィエが寄って来た。
「ぴゅ?」
「(じーっ)」
「(ひらひら)」
不思議そうな顔をしながらリヴィエが寄って来たのでそっとしゃがみ込む。スミレが先に降りてリヴィエを抱え、アルカの手を引いた。
「ぴぃ!」
「(ふわふわ)」
リコもアルカとスミレの近くでうろうろと歩き回ってるな。俺とリアムさんが座れば、アルカとスミレも床に座り込んだ。
「(もふもふ)」
「ぴゅい」
「んなん」
撫でろと言わんばかりにすり寄ってるな。アルカも物怖じしないのかふわふわの毛並みを熱心に撫でている。リヴィエはスミレに抱えられて嬉しそうに揺れているだけだが。
「楽しそうだな」
「(にこにこ)」
リアムさんの言葉に心なしか明るい表情を見せる二人。楽しそうなのは何よりなんだが……本当にミライさんは知っているんだろうな?
「ミライさん連れて来た!」
「あ、アルカちゃんいたー!」
「?」
きょとんとした表情のアルカと、安堵した様子のミライさん。この様子だと、恐らく勝手に来たようだな……?呑気に二人はミライさんと入江を引っ張って近くに座らせる。自由か。
「どうやってこっちに来たのアルカちゃん……扉重い筈なのに……」
「というかドアノブに手が届くんだね」
「た、確かに……!?」
「まぁ遣霊だからな、そういうこともあるだろう」
うぱーというすぐにどこにでも飛び出す存在を連れているからか、説得力が違うな。リコはミライさんの膝にのっそりと前脚を乗せ、撫でられやすいように耳を倒す。
「わぁ……!でっかいねこちゃん!しかもふわふわだぁ!」
「んー」
そんなに撫でられるのが好きなのか……ゆらゆらと揺れるしっぽがスミレとアルカの頬を撫でている。くすぐったいのか顔を振ってるな。
「魔術部門ではこの子を見つけられるのが一人しかいないんだったか」
「そうですね。ミライさんしか無理だと聞いています」
「そうなると今後も勝手にこちらに来る可能性があるな……?いや、来ること自体は別に問題ないと思うが、重戦闘区域内でも見える人が限られるとなると……」
「少々……困りますね?」
「ああ。迷子になったり、閉じ込められたりする可能性がある」
基本的には遣霊達が真っ先に見つけるような気もするが、何が起こるか分からないというのは事実だ。アルカ自身の動きを抑制出来ないならこちらが対処するしかない。
「……鈴と防犯ブザーでも持たせるか?」
「それならミライさんの持っているものと同じものを用意してもらった方が良いですかね」
「そうだな。ちょうど呼びがあるからこれを」
「?」
「わぁアルカちゃん、私とお揃いだね」
「♪」
お揃い、という言葉を聞いて嬉しそうに抱え直したな。……やっぱり主人とお揃いのもの、というのは遣霊の中でも特別な意味合いを持つんだろうか。スミレの方をちらりと見たが、ふん、と自慢げにしているだけで特に反応はなかった。
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