第六十六話 この身は正常か・後編
「じゃあ次はそっちの……アルカの方な。大人しくしてたらすぐ終わるぞー」
「(ぱたぱた)」
お、ちょっとだけ抵抗する気はあるんだ。とはいえ腕が短いのと全力で暴れている訳ではないので両手を掴まれた途端大人しくなる。
「ミライさん、今後の事なんですが……」
「あ、はい」
「”天宮ミライ”として魔術部門に所属するとして、先日のような襲撃者への対策を考えないといけないんですよね」
一応アランさんがいうには、ミライさんを狙って来ていた擬態する襲撃者が再訪してきている気配はないらしい。ただ音沙汰はなくとも捕縛は出来ていないので警戒を解く訳にはいかず、情報も少なく術式で対抗しようにもどこまで効くのか分からないらしい。
「仮に見抜けたとしても、今回のように人質を取られると少々厄介になります。ですので、こちらを」
「これは……?」
「まぁ防犯ブザーのようなものと思っていただければ」
「思考検知型のビーコンか」
レンリさんの言葉通り、アランさんが渡した石のようなものをよく見れば発信機のようになっているのが分かる。発信機と違うところは魔術式が色々と組み込まれていることと、それとは別に機械が組み込まれていることだろうか。
「ええ。青藍が直通ルートを敷いてくれたので、ここからなら一分で」
「誰に連絡が行く?」
「今持っているのは私だけですが……対処出来る方に渡そうと思いまして」
「あ、じゃあ僕も持ちます」
「分かりました」
既に数があったのか、僕が立候補すれば特段抵抗なく渡される。大きめのキーホルダーみたいだな。落とさないように一旦ポケットにしまう。
「迷惑になりませんか……?」
「安心してください。寧ろ、侵入者をスムーズに発見出来る方がこちらとしては嬉しいので」
アランさんの言葉に嘘はない。侵入者なんて基本的に百害あって一利なし、なら迅速に見つけて処理した方が良い。……その処理の人員として僕も参加して良いのは意外だったけど。
「俺もひとつくれ。基本的にはあんたらが出るだろうが、万が一のために保険は多い方が良い」
「構いませんが……くれぐれも自爆はしないようにお願いしますね」
「早々しねぇよそんなこと」
「最近やろうとしたじゃないですか」
「あれは不可抗力だっての」
釘を刺しつつも渡しはするんだ。会話をしつつもアルカちゃんの検診を済ませたレンリさんは、受け取った連絡用のビーコンをぎゅっと握り込む。もう一度手を開いたときにはイヤーカフのような形状に変化していた。
「レンリさんレンリさん。僕も」
「テオはこれじゃなくてブレスレットで良いか?あんたも必要なら変えるが」
「いいですよー」
「あ、じゃあお願いします」
僕にはブレスレット、ミライさんにはネックレスに加工し直してくれたレンリさん。魔法みたいで気になったのか、アルカちゃんがミライさんのネックレスをしきりに触っていたな。……あれどうやってるんだろう。
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