第六十四話 見える見えない、いるいない・後編
「喋ってくれれば場所が分かると思うけど……いやぁ本当に分かんないね」
「ちょっと触ってもいい?どの辺にいる?」
「あ、この辺です。ここは頭でこっちが背中」
「…………お、確かに見えないけど感触はあるな……」
「フワフワダァ」
「ふわふわー」
樹さん達に撫でられてアルカはふにふにと口を動かす。どういう感情なんだろうなそれは。樹さん達が手を離せばゆっくりと目を開けて不思議そうに首を傾げる。
「どうしたのアルカちゃん」
「(じー)」
ミライさんが優しく頭を撫でれば満足したように目を閉じる。成程、温もりが消えて気になったのか。一連の動作を見ていたスミレも俺の手を頭に置いたので促されるまま頭を撫でる。ふんふんと嬉しそうにしているな。
「サイズ感は本当に遣霊と同じっぽいよな……?いまいちよく分かってねぇんだけど、食事とかは普通に食べるのか?」
「一応……?ちょっと好き嫌いはあるけど、何でも食べます」
「(むにむに)」
「うぱーくんみたいなタイプってことかな。ゆっきー、解析は?」
「してるけどちょっと怪しいというか……なんつーか、権限が足りない」
「権限……ですか?」
「魔術に権限ってあるんです?」
アランさんとテオも知らないのか。魔術における権限……とは何だろう、鍛錬したら得られるものなんだろうか。
「多分な、世界レベルの秘匿が掛けられてる」
「世界レベルの……それってどれくらい凄い?」
「ピンポイントの解析を掛けて名前しか出ないくらいの秘匿」
「すごいね???」
「そうすごい。すごいからこそ訳が分からんのよ」
「具体的には?」
「ここまで神秘に寄った生き物がちゃんと生物として活動してる意味が分からん」
「?」
神秘……神秘か。正直存在として違うものであることは分かるが体感としては遣霊のようなもの、といっても過言ではない存在。ミライさんに対してもアルカに対しても、警戒や疑念を抱く余地がない。
「確か、この二人は魔術部門に所属するんだろ?」
「その予定ですね」
「現状の魔術部門なら問題ねぇだろうけど、追加職員は問題ねぇの?」
「ああ、そちらに関しては恐らくなぁなぁに……実質延期になると思います」
断言したな。かなり引かれていたので想定より人は来ないだろうと思っていたが、もう既に返答が来たんだろうか。
「どうしても駄目だというのなら考えますが、一人はちゃんと増えたので」
「雑だなー……」
「ぶっちゃけ人が増えても実力的に即時帰還になりません?」
「それはまぁ、はい。今は権力で動いている訳でもありませんし」
「ならいいか。あとで青藍さんにも伝えるけど経過が見たいから直通ルート作るわ」
雪代さんは気になることがあるのか。魔術部門との直通ルートが出来れば単独でも向かいやすくなるな、それは良いかもしれない。
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