第六十三話 見える見えない、いるいない・前編
ミライさんがクッションの上にアルカを座らせる。ゆらゆらと数回身体を揺らしたかと思うとこてん、と仰向けに寝転がり、そのままころりとうつぶせになる。何度かクッションを叩いた後、満足そうに目を閉じた。座らせてからおおよそ一分、流れるような入眠である。
「見えないねぇ……え、いるんだよね???」
「いますね」
「魔力反応はあるからどこにいるか、くらいは分かるが……いやどうだろうな、人だと判別する方法がねぇ」
「ナンモミエナイ」
「みえなーい」
雪代さん達はおろか、シンさんも見えないのか。アランさんはふむ、と納得したような声を一つ出してからシンさんへ問い掛ける。
「気配はどうですか」
「いやぁ……いるって分かってるからギリギリ分かるって感じだね。何か今一つ人として認知出来ないっていうか、影が薄いとかじゃなくてそもそも存在しない、みたいな感じじゃない?」
「……やはり、シンも同じ認識ですか」
俺もアランさんも、アルカの気配が希薄だと断じた。二人だけならば偶然で片付いたかもしれないが、シンさんも同じ判断を下したことで何らかの意味があるのではないか、という疑念が生まれる。
「テオは……違和感は覚えていないのか?」
「そうですねぇ、僕は別に……強いて言うならスミレくんに似てるなって思うくらいで。入江さんは確か、僕に似てるって言ったんですよね」
「そうだな」
個人的にスミレとテオは割と似ている部類だと思っているのでテオと入江の認識は近しいものだと判断して良いだろう。スミレ、或いはテオによく似た気配の希薄な存在、か。
「どういう存在なんだろうね?遣霊じゃないっていうのは分かるんだけど、人間とか別種族って訳でもなさそうだし。なんなら俺は見たことない」
「俺も記憶にないんだよな……そもそもどういう基準で見える、見えないが発生してる?ユウヒみたいなもんか?」
「ユウヒさんと同じ種族なら、見え方が同じじゃないとおかしいのでは?」
「それはそう」
ユウヒは見えないがアルカは見える、その違いは何だろう。同種族であろうと見え方が異なる、という可能性もあるが、そもそもユウヒとは気配が違う、と全員が判断している。
「今見えてるのが?お前等と入江か?」
「大雅も見えましたね」
「レンリさんってどうだったんでしょうね……?あ、宇月さんと東雲さんも見えました」
「遣霊持ち……かと思ったが大雅もいんのか。じゃあ違うな」
やはり最初に疑うのは遣霊の有無か。実際大雅を除けばそれで説明がついてしまうのが困る。
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