第六十二話 異種族同存在
俺だけで確認しに行くのはレンリさんから止められたので、泰誠を誘って確認に向かう。向かった先にいたのはテオさんと皇、それに見知らぬ職員と小さな子供。
「宇月と東雲」
「あ、ごめん急に来て。今時間大丈夫?」
「ああ」
「おや……」
泰誠が不思議そうな表情で子供を見ている。スミレくんにもちもちと頬を揉まれているけど……されるがままなんだよな、心底興味がなさそう。
「はじめまして、ええと……」
「あ、ミライです!はじめまして……!」
「ミライさん、ですね。宇月です」
「東雲泰誠です」
子供の説明はなし、か。一応座ってからその真意について問い掛ける。
「ところで、その膝上にいる子は?」
「宇月も見えるのか」
「……え、見える?」
「ミライさんの膝上にいる子供……ですよね?見えるのか、とは?」
困惑して言葉を発し損ねた俺の代わりに、泰誠が皇へ問い掛ける。皇は一度テオさんの方に視線を向けてから、子供を示して端的に本来は見えない、と言った。
「……本当に?」
「ああ。事実魔術部門の先輩方は見えなかった」
「今までは見えるひとなんていなかったんですけど……」
成程、俺達が見える方が異常なのか。とはいえこの場にいる全員が見えてそうなんだよな……ミライさんは子供のことをアルカちゃんと呼ぶ。
「その……アルカちゃんは遣霊じゃない?」
「違う……はずです。ある日急に現れたんですけど、別に私が落ち込んでた、とかでもないし……」
「(うとうと)」
眠そうだなアルカちゃん。そっとミライさんを見たけれど、成程確かに明確な傷は見えない。レンリさんの言う通り自認がないのも気になるところだった。
「ミライさんは……どうして重戦闘区域に?」
「ええと、実は……」
ミライさんからの説明を聞いている間にもアルカちゃんは頭をゆらゆらと揺らし始め……やがて、こてんと前のめりになった。慌ててミライさんが抱え直せば、すよすよと幸せそうに眠っている。
「あ、寝ちゃった……」
「……なんだか、スミレくんみたいだね」
「まぁ、言いたいことは分かる」
「口数も少ないというか、喋りませんからねぇ」
「案外……近しい存在の可能性もありますね」
近しい存在……か。泰誠も同じ存在、と断言しなかったのは遣霊じゃないと気付いているんだろうか。珍しく起きているスミレくんは暇になったのか皇の手を揉んでいる。
「それにしても龍種を狙う組織……ですか」
「東雲さん、何か思い当たる節があるんですか?」
「そうですね……確か、私がいた研究所で、なにやら龍種に対する研究をしていた記憶があるな、と」
泰誠がいた研究所、か。……関係があるのかな。
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