第五十九話 実在を晒す・中編
「マジで見えるようになったんだけど……」
「ダイジョウブ?」
「だ、だいじょうぶだ、もんだいない」
「だめそう」
驚きすぎて舌が回らなくなっている雪代さんを横目に見つつ、青藍さんは侵入者の傍らにしゃがみ込む。何か興味をひくものがあるのかな、雪代さんはワカバさんとラリマーさんに手を借りつつ俺から魔導具を受け取る。
「見たことないタイプの構造してんな……」
「ゆっきー取り敢えず情報だけ抜いて」
「お、分かった分かったちょっと待ってな」
片手間で術式を構築しつつ、雪代さんの視線は魔導具に向いている。俺もざっくりと情報を見たけど、どうやら構造を隠すような術式か何かが刻まれていて、俺も詳細は分からなかった。
「これでいけると思う。情報はそのまま渡しとくな」
「助かる。お前はそれの解析?」
「おう。ワカバ、ラリマー、行くぞ」
「ハーイ」
「ウロは?」
「俺はもうちょっとここにいるかな」
「そうか。入江はどうする?」
雪代さんにそう聞かれて俺はちょっとだけ考え込む。一応俺が出来ることはやり終えたからここにいる意味はないんだろうけれど……皇達の方に合流した方が良いかな。
「俺も戻りますね」
「おっけー。確認ありがとね」
青藍さん達に挨拶をしてからその場を後にする。どこにいるのか探そうかな……と思っていたら、レンを連れている大雅に遭遇した。
「あ、レンと大雅」
「だんなー!」
「あ、入江さん。丁度探していたんですよ」
「探してた?何かあったの?」
「実は、スミレさん達が行方不明で……」
「え、スミレくんが!?」
「はい。れおさんと一緒に」
れおくんとスミレくんがいない……もしかして皇達の方に行った?大雅からレンを受け取って一緒に皇達を探す。
「おあー!」
談話室を越えて歩くこと数分、比較的他のエリアに近しい廊下でれおくんの声が聞こえて三人で顔を見合わせる。足早に声がした部屋へ向かえば、気配に気付いたであろう皇と目があった。
「何か大声が聞こえたけど……」
「入江と大雅か」
「なんな!」
「レンさんもいたんですね。どうしたんですか?」
「いえ……れおさんとスミレさんがいなくなったので探していたんですが」
「やっぱり探されてるじゃないか」
「(こてん)」
我関せず、と言わんばかりにスミレくんは首を傾げているな。室内にいたのは皇とテオさん、ミライさんの他にアルカちゃんとスミレくん、れおくんの六人。れおくんが叫んでいたのはどうやらミライさんに魔術を見せてもらっていたから、らしい。
「入江の方の用件は済んだのか」
「ああうん。皇の方は?」
「まぁ終わったといえば終わったし……終わってないと言えば終わってない」
どういうことだろう……謎かけかな?
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