第五十七話 今後のあと始末・後編
「レンリさんレンリさん」
「おうどうしたよテオ」
「今後もなにかあったら僕、天宮ひよりを名乗りたいんですよね」
「まぁそうだな」
「だからミライさんに天宮を名乗ってもらいたいんですけど」
「ああそう……え?」
「お姉ちゃんです」
「えぇ!?」
「(びっくり)」
レンリさんとミライさんだけでなく、アルカも目を丸くしてテオの発言を聞いている。確かに天宮という名前を調べられたときに誰も出ないのは不自然ではあるし、ミライさんも情報を改竄しておいた方が良い、というのは分かるが。
「駄目ですか?」
「いや確かに合理的ではある、が……」
レンリさんがアランさんの方へ視線を向ける。アランさんは特段動揺した様子も、悩む様子もなくこくりと頷いた。
「そうですね。今回の件も加味しますと、出来ればミライさんのことは隠しておいた方が良いかと」
「まぁそれならやるが……あんまり期待はするなよ、基本的には騙せると思うが、”アカデミーでのミライ”を知ってる相手には分が悪い」
「逆に言うと、そこまで調べた、あるいは事前知識がある相手だと分かるという事ですね」
「そういうことになる……か?ものは言いようか……」
今後天宮ミライと名乗っているにも関わらず龍種であることを認識している相手が襲撃してくれば、その相手は今回の侵入者と同じ、あるいは近しい存在だと分かる、ということか。相手の情報量すらも判断材料にする貪欲さに若干引きながらも、レンリさんは頷く。
「えーと……ミライ職員候補、あんたはそれでいいのか?」
「あ、私……ですか?」
「おう。”天宮ミライ”として魔術部門に所属してもらう。経歴等はこっちで捏造するから心配しなくていい、一応、ひよりのことは兄弟だと言ってくれると嬉しいが」
「全然大丈夫です!寧ろ、私としては助かるので……!」
「そう言ってくれると助かる。じゃあまずは……というか検診なら藍沢先生呼べよ」
「藍沢先生は今連絡が取れないんですよね……三日ほどで戻ってくるとは思いますが」
「じゃあそれまでに偽造も済ませる。だからその間は……魔術部門か?」
「……いえ、先程の侵入者が本当に撤退した、という確証が取れません。藍沢先生が帰ってくるまでに出来る限り調査をするので……安全を保障できるようになるまでは、こちらにいてもらおうかと」
「いお?」
「そうですね、一緒です」
「おー!」
「ご迷惑をおかけします……」
「いえ、こちらこそすみません」
ミライさんとアランさんが互いに頭を下げる。アルカは良く分かっていないのか、それとも単に興味がないのか近くにいるテオの手をぺたぺたと触っているな。
「私はこれから調査を開始するので……志葉さん、テオさん、お二人はミライさんの護衛を頼めますか」
「分かりました」
「分かりました」
俺も別に偽者か否かを判断することは出来ないんだが……大丈夫なんだろうか。
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